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犬の腎臓の病気は食事療法が重要!ポイント3点をチェックしよう

♦尿路/生殖器

気が付かないうちに進行し、気付いた時には末期に近い状態になっている、そういう危険性が高いのが犬の腎臓の病気です。

腎臓の病気は、発症していても最初はそれほど症状がありません。

でも、腎臓の機能は、一度失われたら元には戻らないのです。

早期発見し、その機能をできるだけ長く保てるような対処が必要で、それには食事療法がもっとも重要です。

今回は犬の腎臓病の食事療法のポイントについて解説したいと思います。

腎臓の主な働きは血液の濾過

腎臓がおしっこを作ることは一般に知られていることですが、そもそもおしっこは何でできているのでしょうか?

おしっこには、体には必要のない毒素などが含まれています。

血液中には、代謝の副産物で体にはゴミになる物質が増えていきますが、腎臓は、その不要な物質と体に必要なものを振り分けるフィルターの役割を果たしています。

必要な物質だけを血液中に残し、不要なものはおしっことして排泄し、水分も再吸収しておしっこの量を調節し、腎臓→尿管→膀胱へと送り出して、体外に排泄します。

腎臓には、振り分けるフィルターが無数にあり、それぞれが独立して働いています。

このそれぞれのフィルターのユニットをネフロンと呼んでいます。

腎臓の機能不全

腎臓の機能が壊れてしまう原因は様々です。

  • 腎炎などの腎臓病
  • 尿路結石
  • 感染症
  • 毒物など

腎臓の機能が壊れて正常に働かなくなった状態を腎不全といいます。

腎不全には、急性慢性があります。

急性腎不全は、その名前通りに急に発症します。

そして、みるみるうちに病気は進行し、治療しなければ数日以内に亡くなることもあるほど、急速な経過をたどります。

一方、慢性腎不全は、主に高齢の犬に見られやすい病気です。

じわじわと進行して、何となく具合が悪そうなのは高齢のせいと思っていたら、実は腎臓の機能がかなり悪くなっていた、というパターンも多いです。

【犬の腎不全の参考記事】

犬の腎不全と余命 検査数値と腎臓病のステージについて

腎臓病の進行は食事療法で食い止める

2つのパターンのうち、食事療法による日常のケアが必要になるのは主に慢性腎不全です。

急性腎不全は、入院による集中的な治療が必要になります。

慢性腎不全は、腎臓の残された機能を長持ちさせるために、できるだけ負担をかけないようにしなくてはなりません。

腎臓と食事はとても関係が深いものなのです。

体は、口から栄養素を摂りこみ、それを体内でエネルギーに変えます。

その代謝でできる老廃物を体外に排出しています。

腎臓は、3大栄養素である糖質・脂質・蛋白質のうち、蛋白質から出た老廃物の排泄を担っています。

蛋白質を多く摂取すれば、腎臓は処理に追われ、それだけ負担がかかることになります。

蛋白質は、エネルギー代謝の過程で、インドキシル硫酸という老廃物質を発生させます。

この物質は、尿毒症物質になるものであり、ネフロンの中の血管を硬くしてダメージを与えてしまいます。

つまり、腎臓の残された機能にできるだけ負担をかけず、長く持たせる為には、蛋白質の摂取量を制限することが必要なのです。

腎臓病の食事療法で制限が必要な3つの栄養素

腎臓に負担をかけない為には、制限をしなければならない3つの栄養素があります。

  1. 蛋白質
  2. リン(P)
  3. ナトリウム

注意すべきは、この3点です。

蛋白質制限

蛋白質の老廃物は、窒素(ちっそ)です。

窒素は、腎臓で最終的に尿素に変えられて体外に出されます。

しかし、腎臓の機能が悪いと、体外に排出されることのない窒素が血液中に蓄積します。

この状態で血液検査をすると、尿素窒素(BUN)という項目の数値が高くなります。

血液中にある窒素は老廃物なので、体にとっては毒素です。

蛋白質は生体に必要な栄養素ですが、腎臓の病気においては、老廃物である窒素の蓄積を避けなければなりません。

そのためには蛋白質の制限が必要なのです。

ちなみに、蛋白質には動物性と植物性がありますが、植物性の方が窒素の含有量は少ないです。

腎臓病の犬に蛋白源として与えるには、植物性の方が良質と言えるでしょう。

リンの制限

リンは、検査データなどを見ると「P」と表示されている項目のことです。

リンは、その80%が骨や歯にあります。

また、DNA、RNA、ATP、細胞膜などを構成する大事な成分でもあって、地味ですが重要な栄養素です。

リンは、体内でカルシウムと共に動きます。

そして、それに関わっているのが、副甲状腺から出されるパラソルモンというホルモンです。

リンを多く摂りすぎると、パラソルモンはリンの濃度を下げようとします。

リンを下げる為には、一緒に動くカルシウムが必要なので、骨や歯にあるカルシウムを溶かして血液中に放出させます。

リンは腎臓から排出されますが、リンとカルシウムが結合した物質は、腎臓に蓄積されやすいです。

この物質は、ストロバイト尿路結石の成分です。

リンを摂りすぎると、カルシウムと結合させて排泄させることになり、腎臓にダメージを与えるため、リンの制限が必要になります。

【参考記事】

頻尿や血尿で急変の危険?尿路結石はあなどれない犬の病気

ナトリウム制限

ナトリウムは塩分のことで、Naclと表現します。

ナトリウムもまた腎臓が体外に排泄するのですが、腎臓の機能が悪いとフィルターが効かずに血液中に残ってしまいます。

血中のナトリウム濃度が高くなると、血管内の濃度を一定に保つために、浸透圧で血管内に水分を引き込んで薄めようとします。

ナトリウムは血管内の水分を増やし、その結果、心臓への負担がかかり、血圧は上昇します。

血圧が上昇すれば、腎臓に血流が一気に増えるので、腎臓にかかる負担は大きくなります。

これを避けるためには、ナトリウムの制限が必要なのです。

腎臓病の療法食に早期に切り替える

失われた腎臓の機能はもう元にもどりません。

腎臓のネフロンは、その75%が破壊されるまでは症状が目立たないのですが、それを越える頃になると症状が現れるようになり、やがて完全な腎不全の状態へ陥っていきます。

腎臓病は、無症状でまだ軽度のステージのうちに、いかに早期に腎臓の異常を発見でき、そして残った機能を長く保っていけるかがポイントです。

その中でも、食事療法は、開始が早ければ早いほど良好な経過が望めるとされ、早急に腎臓の療法食に切り替えた方が良いです。

腎臓の療法食は、動物病院でもお勧めがあると思いますが、蛋白質の含有量は20%以下が標準になっています。

ただ、療法食はフードの味がそれまでとは大きく変わってしまうので、なかなか食べてもらえないという悩みも多いようです。

療法食は数種類ありますので、お試しをしてみて、その中で食べてくれそうなものを選んであげて下さい。

ナチュラルハーベスト (療法食) キドニア 腎臓ケア 

腎臓にトラブルがある犬のための食事療法食です。

日本の獣医師と、米国の獣医師が共同で開発した腎臓の療法食ドライフードです。

 

フォルツァ10 Forza10 リナールアクティブ(腎臓ケア療法食)

高品質のタンパク質と、タンパク質とリン、ナトリウムの含有量を抑え、カリウム:ナトリウムの比率にもこだわった腎臓病の療法食フードです。

心不全の犬の療法食にも適しています。

 

【ヒルズ】 犬用 腎臓ケア k/d チキン&野菜入りシチュー缶詰 

腎臓病の犬のためにたんぱく質、リン、ナトリウムを調整した特別療法食です。

こちらは缶詰のウェットフードです。食欲がない、療法食ドライフードではなかなか食いつきがよくない、高齢で食べにくいという時などにお勧めだと思います。

 

エランコジャパン ドクターズケア 犬用 キドニーケア 食事療法食ドライ 

腎臓病の犬のためにリン、たんぱく質およびナトリウムの含有量が調整された療法食です。

腎臓の健康維持に配慮してオメガ3脂肪酸も配合されています。

 

 FORZA10 リナール(腎臓ケア) アクティウェット 100gX12缶(フォルツァディエチ)療法食 

パテタイプの腎臓療法食ウェットフードであり、トッピングとしてもそのまま食事としても与えることができます。

無農薬など、食材にこだわったプレミアムフードになっています。

腎臓病の食事療法のコツ

腎臓病の食事療法を手作りするのはかなり難しいと思います。

しかし、市販の療法食は、それまでのフードとは栄養構成も違っているので、味がずいぶん変わってしまい、食べてくれないということもあるかもしれません。

飼い主さんも腎臓の食事療法のポイントを理解しておき、時々は手作りにして、飽きないように工夫することも必要かもしれません。

1.良質な蛋白質

候補にあげられる食材は、

鶏肉、豚肉、卵、ヨーグルト、カテージチーズ、納豆、豆腐、豆乳、枝豆などです。

卵はアミノ酸スコアが高く、とても良質な蛋白質です。

そして、植物性の蛋白質を上手に足して取り入れるようにするとよいと思います。

【参考記事】

卵は完全栄養食品!犬の食べ物として問題なのはこの2点!

犬も食べていいの?大豆を犬の食べ物にする時の注意点

ただし、蛋白質は最低限の量に抑えなければなりません。

《蛋白質の量の目安:体重×2.2g~体重×3.5gの範囲内で調整!》

肉の生食は、腎臓の機能に負担がかかるようですので避けましょう。

蛋白質を制限する分、ささみの煮汁なども大いに活用し、食事に少しでも変化を持たせるようにしてあげて下さい。

煮汁を製氷皿で凍らせてストックし、スープとして使っている飼い主さんもいらっしゃるようです。

2.エネルギー源

蛋白質を多く使うことができない分、エネルギーを脂質や糖質で補わなければなりません。

最近は、穀物不使用で肉中心のフードが多く、そのようなフードを選んで食べさせていた飼い主さんも多いのではないかと思います。

しかし、腎臓の食事療法は、それと真逆の食事に切り替える必要があります。

脂質はカロリー源に重宝しますので、良質の脂を少量足してあげると良いです。

オメガ3などは犬にも良い栄養素でお勧めの脂質です。

【参考記事】

犬の認知症にサプリメントが期待される理由とお勧め7品

食事ができずにカロリー不足になると、腎臓の機能だけでなく全身状態の悪化の原因になります。

これは人間の話ですが、私が透析室の看護師をしていた時、腎不全で透析を受けていた患者さんの食事には、羊羹などの甘いデザートが大抵付いていたことを思い出します。

蛋白質が制限されている分、そのようなカロリー調整がされていたのです。

3.ミネラル分の調整

カルシウム:リン=1.2~1.4:1

とされていますが、これを手作りで測って作ることは、現実的には無理だと思います。

リンに関しては、リンを腸内で吸着させて体外へ排出させるサプリメントなどもありますが、処方として病院で出される可能性もあるので、獣医師にご相談下さい。

人の場合も、透析を受けていてリンの数値が高い場合は、やはりリンを吸着させ排出する目的で炭酸カルシウムが処方されています。

ナトリウム(塩分)は、腎臓が良いか悪いかに関わらず犬には良くないものです。

ナトリウムを含んでいるような食べ物は、腎臓の食事にはまず論外です。

カリウムは、野菜や果物に多く含まれるミネラルですが、これも制限が必要になることがあります。

カリウムの数値は、腎臓の機能がどの程度悪いかにもよります。

治療に利尿剤を使っている時には、反対に低カリウムになってしまうこともあります。

カリウムは高すぎても低すぎても重大な影響があります。

ナトリウムやカリウムの数値は、血液検査をすればわかります。(Na、Kと表記される)

もしカリウムの排泄がうまくいかず、数値が上昇するようであれば、制限する必要があります。

腎臓病の食事療法は複雑で難しいです。

しかし、進行した腎不全で残された機能が少ない場合、犬には継続的な透析治療をおこなうことはできないので、食事が命を左右すると言っても過言ではないのです。

 

まとめ

犬の腎臓の病気の治療は、食事療法がメインとも言えます。

しかし、腎臓病の食事は、人に行う場合でも簡単なものではなく、しかも日常的なことになるので、なかなか守られないことも多いです。

犬の腎臓食の書籍もいくらかあるようですが、それよりも人の腎臓食の本などに一度目を通されてみると、基本的なことがわかるのではないかと思います。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

【おすすめ記事】

糖尿病で治療中の犬 おやつも食べさせてはだめ?


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