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多頭飼育崩壊の地獄は動物好きが招いている 正しい飼い主の在り方とは何か

♦犬を囲む問題
この記事は約10分で読めます。

近年は、犬や猫などのペットと暮らしている人が増えています。

生き物達は、私達の暮らしに、計り知れないほどの幸せをもたらしてくれます。

しかし、命ある彼らと暮らすことは決して簡単なことではありません。

そこには多くの課題が存在しています。

最近では、深刻な問題として取り上げられるものの一つに「多頭飼育崩壊」があります。

このような問題は増えており、ニュースでも報道されるようになりました。

この記事でも、多頭飼育崩壊に陥る原因や飼い主の在り方について、考えてみたいと思います。

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多頭飼育崩壊はなぜ起こるのか

多頭飼育崩壊とは、飼い主が所有している多数の犬や猫などの動物を適切に飼育できず、動物達が劣悪な環境に置かれる状態を指します。

多頭飼育崩壊が起きてしまう原因は様々あり、飼い主の経済状況・精神的・身体的な問題・動物への理解不足などが主な原因となります。

多頭飼育崩壊の飼い主は、飼育している動物に対して、清潔な環境や室温調整、食事、飲み水などの世話ができず、動物達は必要な医療にも繋げられることなく置かれています。

そのほとんどの動物達が過密な状態で暮らし、排泄物にまみれ、皮膚病などの病気が蔓延していることも多々あり、健康を害していて、まさに地獄のような環境での生活を強いられます。

長い間そのような環境下に置かれているうちに命を落とすこともあります。

飢えに耐えられず、共食いという悲惨な状況が確認された例もあります。

そして、多頭飼育崩壊が起こる原因は様々あるとしても、その現実と矛盾して、飼い主の多くは動物好きを自認しています。

飼い主のいない犬や猫をたくさん引き取っていたり、保護活動に参加していたりと、一見して、善意から始まっている場合も少なくないのです。

それは、保護活動を行っているボランティアの中にも発生しています。

ブリーダーとして繁殖業を営んでいたはずの場所が、崩壊現場になっていることも多く見られます。

そして、一般家庭において、避妊去勢をしてなかった犬や猫が家庭内繁殖で増え、飼い主の手に負えない頭数になってしまっていることもあります。

それがどのような飼い主であろうと、多頭飼育崩壊は動物虐待以外の何でもありません。

社会問題化

多頭飼育崩壊の問題は、すでに社会問題化しています。

多頭飼育崩壊は、さまざまな方面から表面化します。

たとえば、近所から異臭がするなどの行政への通報であったり、飼い主亡き後に近親者から行政や愛護団体への相談であったり、時として本人からのSOSであったりもします。

このように表面化するだけでもまだましであり、誰にも存在を知られていない地獄のような現場が、今もあちらこちらにあるでしょう。

何かきっかけがない限りは、外から実態がつかめない為、表面化した時にはすでに手が付けられない状態になっていることが多いのです。

最近は、動物愛護団体やボランティアなどが、多頭飼育崩壊の現場に入った様子をSNSでも発信していたりするので、画像なり動画なりを目にしたことがある人もいるのではないかと思います。

多頭飼育現場の地獄にいる犬や猫達は、問題が表面化して初めて、そこから抜け出すことが許されます。

救い出され、医療やトリミングを施され、団体のシェルターや預かりボランティアのところへ移動して、いずれは里親へと繋げられるようにケアをされます。

ただ、そこには「動物の所有権」という問題が立ちはだかっていて、飼い主が所有権を放棄しない限りは無理やり先に進めることは法的に困難です。

そこが交渉者にとっての課題でもあります。

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実際に報道された多頭崩壊事件

多頭飼育崩壊による事件は、多数、ニュースなどで報告されています。

以下にその例をあげてみます。

一般の飼い主による多頭飼育崩壊

劣悪な環境で犬約30匹を飼育し虐待したとして、群馬県警沼田署は7日、動物愛護法違反の疑いで、桐生市、建設業の男(69)を逮捕した。病気やけがの処置をせず、死骸を放置していたという。逮捕容疑は7月21日、沼田市利根町高戸谷の犬飼育場で飼っていた犬約30匹のうち、病気やけがのある犬に適切な保護をしない虐待を行っていたほか、8月16日には犬の死骸を放置した状態で飼育を続けて虐待した疑い。

(2022年 群馬県)

引用元 https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/171393

ブリーダーによる多頭飼育崩壊

甲斐犬や柴犬計10匹を劣悪な環境で飼育し、虐待をしたとして、警視庁保安課は29日までに、動物愛護法違反の疑いで、東京都八王子市の元ブリーダー尾川隆容疑者(46)を逮捕した。逮捕容疑は、22年12月~23年1月、愛護動物である犬を虐待している恐れがあるとして、東京都から改善命令を受けるも、必要な措置を講じず、犬10匹を劣悪な環境で衰弱させた疑い。数匹を同じケージ内で飼っていたり、十分にエサが与えられていない状態だったという。

(2023年 東京都)

引用元 https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202303290001297.html

 

①ペットとして売り出すために育てていた小型犬10匹の病気やけがを放置して虐待したとして、大阪府警は8日、動物愛護法違反の疑いで、犬の繁殖・販売業者「フィスドシェリー」のブリーダー橋本千代子容疑者(57)=住所不定=を逮捕した。府警によると、10匹には子宮の病気や膝の脱臼があった。橋本容疑者は「病院に連れて行っていたので納得がいかない」と容疑を否認している。
関係者によると、容疑者は大阪府寝屋川市で繁殖施設を営み、犬舎では小さいかごに数匹ずつ押し込まれていた。夏も冷房が効かず高温となり、半年間で約100匹が死んだという。約400匹を5人ほどの従業員が飼育していたとみられる。

②アンモニア臭が基準値を超える劣悪な環境で犬209匹を飼育したとして、大阪府警は15日、動物愛護法違反の疑いでブリーダー橋本千代子容疑者(57)=同法違反罪で起訴=を追送検した。捜査関係者への取材で分かった。捜査関係者によると、悪臭下の飼育を犬への虐待とみなし、同法違反容疑を適用するのは珍しいという。府警は昨年11月、橋本容疑者が営む大阪府寝屋川市の犬繁殖施設を家宅捜索した際、臭気を測定。悪臭防止法で定める規制基準の上限5ppmを大幅に超える40~130ppmを記録した。 追送検容疑は同月8日、アンモニア濃度が著しく高い環境下で犬209匹を飼育した疑い。

(2023年 大阪府)

引用元 ① https://www.sanyonews.jp/article/1360737 

② https://jp.reuters.com/article/idJP2023031501000534

保護活動者による多頭飼育崩壊

那覇署と沖縄県警生活保安課は30日、沖縄県内離島の家屋で、ふん尿や害虫を放置し衛生状態が劣悪な環境下で猫38匹を飼育したなどとして、動物愛護法違反容疑で住居不定、職業不詳の50代の女を逮捕した。「悪い環境だと思うが、私の感覚では虐待ではない」と容疑を否認している。関係者によると、家屋は南大東村にあり、飼育過多で適切な管理ができない「多頭飼育崩壊」の状態とみられる。女は島内で野良猫の保護活動をしており、交流サイト(SNS)などで全国から活動資金の援助や猫のえさ、ペット用品の提供を呼び掛けていた。飼育する建物は元倉庫で、床は猫のふん尿や猫の毛などが数センチの高さに堆積し、数カ月前には猫の死骸が多数放置されていた。電気や水道などの設備はなく、飼育環境は崩壊した状態。衰弱や病気がうかがえる猫もおり、虐待とみなされてもおかしくはないという。

(2022年 沖縄県)

引用元 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1624600.html

 

京都府警の八幡署も6月5日に女性宅を家宅捜索して、数十匹の死骸を確認した。白骨化、ミイラ化したものもあり、家の中はゴミも散乱していた。19年3月ごろから、「犬が朝方吠える」「悪臭がする」と近所から苦情が寄せられ、20年5月には、虐待を疑う通報もあったが、女性に断られたため家の中には入れなかったという。   女性は、20年ほど前からボランティアを始め、年老いたりケガをしたりした犬や猫も引き取ったので、関係者から「神様」扱いされていた。年間200匹ほども引き取っていたが、生きて見つかったのは、犬21匹と猫4匹だけだった。

(2020年 京都府)

引用元 https://www.j-cast.com/2020/06/12387896.html?p=all

京都の事件に関しては、過去にこの女性が、たくさんの犬猫を引き取ったり預かったりして感謝され、神のように崇められる様子を私もSNSでリアルタイムに見ていました。

そして、事件として多頭飼育崩壊が表沙汰になり、かつて女性を信用し犬猫を預けたボランティア達が、その救出に自宅に入った時に流れた情報も目にしました。

ここで書くことはためらうほど悲惨な亡骸があったと記憶しています。

関係者にとってはまさに晴天の霹靂だったでしょうが、それほど多くのボランティアの信頼を集めていた人の現実がこれだったということには、恐怖しかありません。

以上の事件はほんの一部です。

多頭飼育崩壊による事件はこの他にも全国各地で多数発生しています。

多頭飼育崩壊とゴミ屋敷

多頭飼育崩壊の犠牲になっている動物達は、栄養状態が悪く、病気であっても医療処置が何も行われてなく、ワクチンやフィラリア予防などもされてないことがほとんどです。

十分な運動や刺激が与えられることもなく、運動不足やストレスで行動異常などをきたしていることもあります。

亡くなった動物の遺体が放置され、白骨化しているなどの壮絶な環境も珍しくはありません。

そして、動物達とともに、飼い主の住まいそのものが、いわゆるごみ屋敷の状態であることは往々にしてあるようです。

全てがそうだとは言いませんが、多頭飼育崩壊の根底に潜む飼い主の病理もまた、看過できないことを感じます。

正しい飼い主の在り方とは何か

動物を飼育するにあたって、正しい飼い主の在り方とは何でしょうか。

少なくとも動物を飼う時には、以下の点について、飼い主として最低限考え、その条件を満たすべきなのではないかと思います。

  1. 動物を養うだけの経済的な余裕があるか
  2. 動物に十分な時間や労力をかけられるか
  3. 動物の飼育方法を理解しているか
  4. 動物を飼う環境が整っているか

 

適正な数の動物を飼育する

適正な数の動物を飼育することは絶対条件です。

飼っている動物に対して、十分な管理ができるのか、責任を持って医療や介護を施せるのかは必ず考えなければなりません。

必要な世話を適切に行い、健康的な状態を維持することができる頭数に留めなければなりません。

可哀想だからと引き取った動物であっても、結果的に世話もできず、劣悪環境に留めておくのは、単に新たな地獄に送ったに過ぎません。

十分な飼育環境を整える

動物の健康的な状態を維持していくには、飼育環境を整えることが必要です。

適切な広さのスペースを確保し、動物がそれぞれに適した環境で暮らせるように努めなければなりません。

適切な医療処置や食事を提供する

動物の健康を維持するには、適切な医療処置や食事の提供は不可欠です。

ワクチン接種や予防医療の実施、栄養管理が必要です。

必ずしも最先端の医療に限らず、動物の苦痛に対しての最善を尽くすことが重要と考えます。

日々の健康管理を怠ることなく、早期発見・早期治療を心がけ、病気を放置せず適切な医療を提供することで、動物の健康を守ることができなければならないと思います。

動物の感情や行動を理解する

動物の健康的な状態を保つためには、その動物の感情や行動を理解することも必要になります。

特に身近な存在である犬や猫は、飼い主や周囲の環境に大きく影響を受けます。

飼い主は、彼らが安心して暮らせるように努力を続ける義務があると思います。

その気持ちに寄り添い、適切な行動を取れるように根気よく導くことが飼い主の務めであるはずです。

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まとめ

多頭飼育崩壊は、多くの動物達が地獄のような悲惨な状況に置かれ、命を落とすことも多々あります。

それは、動物達の健康や命を奪うだけでなく、周辺の環境にも悪影響を及ぼします。

多頭飼育崩壊は、動物にとっても飼い主にとっても、辛く悲しい問題であり、その地獄を招いているのは他の誰でもない、動物好きなはずの飼い主です。

多頭飼育崩壊は一つ間違えば誰でもが陥る可能性があり、決して他人事ではなく、無関係な事象ではないです。

動物と暮らすことは命を背負うことであり、私達はその重みを正しく認識すべきです。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

 

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