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老犬介護時の床ずれ3大要因とグッズ利用による予防法

♦皮膚/アレルギー

近年、犬の健康に対する飼い主の関心が高まったことや動物医療の発展などによって犬の寿命は延びてきました。

それでも老化は止められるものではないので、長生きになった分介護の必要な老犬が増えた点は人間と同じですね。

老犬介護の中で切り離せない問題に「床ずれ」があります。

床ずれ=褥瘡(じょくそう)は人間の医療介護の現場でも常に大きな課題です。

今回は、看護師の立場から床ずれの発生と予防についてご説明しようと思います。

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寝たきりになった老犬は床ずれの発生リスクが高まる

老犬には特有の病気もあり、たとえ治療をしても完治することなく慢性的に経過していく種類のものもあります。

身体機能や体力も衰え、若い時とは同じように動けなくなったとしても、それは自然なことと覚悟しなければならないでしょう。

病気や怪我がきっかけになり、それまでのADL(日常生活動作)を取り戻せないまま寝たきりになってしまう老犬もいると思います。

このような場面で問題になってくるのが床ずれ(褥瘡)の発生です。

床ずれは、同一姿勢で過ごすことにより、同じ部位が圧迫され続けてその部分の正常な血流が低下したり停止されることで起こる、循環障害による皮膚の異常です。

血液循環が悪くなって組織に栄養分や酸素が届かない状態が一定時間続くと、その組織は阻血性障害を起こしやがて死滅してしまいます。

この状態になったものが床ずれです。

寝たきりの犬の床ずれは人と共通の問題だと思います。

ただ、犬は全身に被毛がある点が人とは異なり、それがクッションになるなどして皮膚を保護する効果もあります。

でもその半面、被毛に覆われた皮膚の異常が分かりにくく、清潔に保ちにくくて感染源になりやすいという欠点もあります。

今は老犬というカテゴリーで書いていますが、床ずれは年齢にかかわらず、例えば麻痺があって体を自由に動かせないなどのリスクがある若い犬にも発生します。

床ずれは一度できてしまうと治りにくく、あっという間に悪化してそれが全身状態を左右することもあるので、その予防はとても重要です。

床ずれは骨の突出部位に好発

床ずれは、強い圧迫を受けやすい骨の突出した部位に好発します。

頬部(ほお)、肩~肩甲骨、前肢や後肢の外側、肘、大腿部、腰など、触って骨を感じるようなところと考えるとわかりやすいです。

そのような部位が下になって圧迫され続けていたり、骨ばった部位同士が重なり長時間経過している場合などに床ずれが発生しやすくなります。

老犬には他の要因も重なりやすい

同一部位の長時間圧迫という原因以外に、床ずれができやすくなるには他の条件もあります。

老犬は栄養状態も低下していることが多いです。

低栄養だと低アルブミンにより浮腫も起こりやすく皮膚の抵抗力が弱いので簡単に傷つきやすくなるのです。

また、皮下脂肪や筋肉が不足して全体的に痩せていると、骨も突出して圧がかかりやすくなります。

皮膚の状態が悪ければリスクはさらに高くなります。

  • 乾燥している
  • 炎症性の皮膚病がある
  • 失禁による排泄物で常に汚染や湿潤する
  • 浮腫のある皮膚
  • 黄疸が出ている皮膚

このように皮膚が弱っていると外からの刺激に弱くなって床ずれを起こしやすくなります。

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床ずれの予防策・皮膚の清潔

寝たきりの老犬には排泄の問題も切り離せないことで、排泄の上手な管理と清潔の保持は、床ずれ予防に重要な課題です。

オムツを活用する場合も、こまめに取り替えて清潔を保つようにしなければなりません。

オムツの中はただでさえ蒸れやすいので、排泄物が付いたまま蓋をしたような状態では皮膚には最悪です。

汚れて湿った皮膚の状態は、床ずれ発生の温床になります。

【参考記事】

老犬のお漏らし対策 その原因と必要となる介護について

被毛のカット

普段でも汚染を防ぐために、肛門周囲やおなかの毛をトリミングでカットすることはあります。

寝たきりになるともっと汚れやすくなるので、できる限り肛門周囲の毛はカットしておいた方が良いです。

慣れると足裏カット用の小さいバリカンなどで安全にカットできると思いますが、せめて長い部分だけでもカットしてあげると良いのではないでしょうか。

尻尾の毛も長くて汚れが付くようなら、カットしてあげるとよいでしょう。

尻尾をサポーターなどで包んで保護するのも1つの方法ですが、その時はそのままにせず、はずして着け直しすることを忘れないで下さい。

部分浴

シャンプーは無理でも清潔を保つことはできます。

人の医療や介護の現場では、寝たきりでも毎日全身を温タオルで拭き、排泄物で汚れる陰部はお湯で洗浄します。

犬用にも水が不要なシャンプーは市販されています。

拭き取り不要のシャンプータオルなど手軽なものも有効に使うと良いです。

シャンプータオルをビニール袋に入れてお湯に浸けて温めて使うこともできます。

 

《水がいらないウォーターレスシャンプー》

 

お尻を部分浴する時は、ペットシーツを敷き下の画像のようなお尻洗浄用のボトル(このボトルは人用なのですが応用利きそうです)を使用すると便利だと思います。

百均で使えそうなボトルを探してみても良いかもしれません。

《ベビー用おしり洗浄ボトル》

 

拭く時も洗う時も皮膚を強くこすったりはしないで下さい。

弱っている皮膚をこすると皮膚の表面を傷つけ、これも床ずれのリスクになってしまいます。

部分浴をする時は、石鹸やシャンプーの成分を残さずにすすいで水分はタオルで抑えるようにしっかり吸い取って下さい。

床ずれ予防策・栄養状態の改善

老犬が寝たきりになってしまうと、食欲も低下してしまうことが多いと思います。

栄養状態が悪いと、床ずれができやすくてどんなにケアしても治りにくいのです。

創傷の治癒にはアミノ酸(蛋白質)が欠かせない栄養素です。

脂肪や筋肉を少しでも増やし栄養状態を改善しなければなりません。

流動食

自力で食べることが難しい状態であれば、市販のシリンジを使って介助で流動食を食べさせてあげましょう。

流動食を食べさせる時は、できることなら寝せたままで口に入れるのではなく、抱き起して頭を起こした方が自然な飲み込みの形です。

抱き起した方が気管に誤嚥することなく安全です。

《介護食や水分補給に 流動食注入器》

 

流動食も市販されていますが、フードをふやかしてミキサーにかけても良いです。

ただ、必要量を食べることができなくなれば、少量でも高カロリーでバランスのよいものを考慮したいところです。

そうなると栄養補助食などを併用していく方が効果的だと思います。

好みの味の食事をミキサー食にすれば何とか自分で食べられるようなら、もちろん自分で食べられるように体を支えて介助してあげるのが良いでしょう。

《流動タイプの総合栄養食24個セット》

体圧分散マットと時間ごとの体位変換

寝返りなどもできない寝たきりの場合、血流を停滞させず床ずれを予防するためには2時間おきの体位変換というのが基本です。

人間の看護では、その人の身体条件から褥瘡発生のリスクを判定して、ハイリスクスコアの患者さんはエアーマットというベッドマットを導入します。

エアーマットにもいろんな種類がありますが、電源に繋げばマットの内部を自動的にエアーが膨張や収縮を繰り返しながら対流し、体圧を分散させることができるので褥瘡予防に効果的です。

犬の介護用品では、電動式ではないですが体圧分散の効果が得られるようなマットは市販されています。

寝返りが打てない老犬は、普段寝かせるベッドも是非そのようなものを活用してあげると良いです。

低反発のものは体が沈み込み、湿度もこもりやすくなるのでお勧めはしません。

通気性のよい体圧分散マットは効果が期待できると考えられます。

そして、体位変換(寝返り)の際は必ず一度抱き起して下さい。

肩の下に手を差し入れ片手は腰を抱えながら抱き起します。

体制を整えて、老犬の手足を安全に曲げて背中を上にした伏せの姿勢から、それまでとは反対の向きに寝かせます。

犬の体をそのまま仰向けにして反対側に転がすような寝返りは危険なのでしないで下さい。

また、ひきずったりすると床ずれの原因になりますのでやめましょう。

抱き起こすだけでも血流が改善されるのですが、せっかくの機会ですので、起こしたら関節の曲げ伸ばしや軽いマッサージなどすると関節の拘縮の予防にもなります。

【参考記事】

犬もリラックスして免疫アップ!ドッグマッサージの素敵な効果

寝たきりになると関節が拘縮し不自然な形に固まって動かせなくなることにもなるので気を付けてあげて下さい。

 

《通気性抜群・中身も丸洗いできる体圧分散マット》

シーツ類のしわ・手足の重なりに注意

寝床に敷いたシーツやタオルなど敷物のしわなどもできるだけ伸ばしてあげて下さい。

しわの寄った部分の圧迫など小さなことのように思えますが、これも床ずれの原因になります。

そして寝かせた姿勢でできるだけ手足が重ならないようにしてあげて下さい。

骨が突出しているかかとや肘の部分は、保護するように靴下など履かせてあげるのもよいです。

上下重なってしまう部分の間に小さいクッションを入れたり抱かせるなどして体制を工夫して下さい。

やわらかいビーズクッションなどが結構使いやすいですよ。

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まとめ

床ずれの3大要因は「長時間の圧迫」「栄養不良」「皮膚の汚染や湿潤」です。

床ずれは一度できてしまうと治療が難しく、悪化して敗血症など深刻な病状に繋がることもあります。

床ずれはできてから治療するのではなく予防が重要です。

今は介護用のグッズも多数あり、人用のグッズで応用できるものもあると思います。

グッズを上手に活用し、お互いに少しでも介護生活を快適に過ごせるように工夫しましょう。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

 

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