『犬の十戒』~犬との約束~のページを開く

犬の認知症の症状「夜泣き」への対策と治療薬について

♦ストレス/脳神経

犬の認知症の症状は、個体差はあるものの次第に進行していきます。

中でも「夜泣き」の症状は、介護疲れや近隣トラブルなど何かと深刻になりやすい問題です。

介護を少しでも楽にして余裕を持つことが、犬と飼い主の良好な関係を保つ為にも重要だと思います。

手段の1つとして、安定剤のような薬を使う選択は、抵抗のある飼い主さんもいるかもしれませんが私はありと考えます。

今回は、夜泣きへの効果的な対応について、みなさんと情報を共有したいと思います。

スポンサーリンク

夜泣きは認知症の代表的な症状

認知症の犬の脳には、人のアルツハイマー病に似た病変があることがわかっています。

夜泣きは、認知症の症状には代表的なものであり、夜から早朝まで、普通なら寝ているような時間帯に起こります。

《夜泣きの特徴》

  • 何時間も泣き続ける
  • 断続的に鳴いてはやめるパターンを朝まで繰り返す
  • 遠吠え
  • 唸るように鳴き続けている
  • ワンワンと吠え続ける
  • キュンキュンと甘え鳴きを続ける

夜泣きのほとんどが昼夜逆転とセットと考えられます。

夜間は起きて夜泣きするけれど、昼間は熟睡しているという行動パターンです。

夜泣きが招く問題

認知症の症状の中でも、夜泣きは問題行動として取り上げられやすいと言えるでしょう。

対処方法に悩んでいる飼い主さんは多いと思われます。

夜泣きが深刻な問題になってしまう理由は大きく二つあります。

飼い主が不眠になりその生活リズムも崩れる

鳴き声が近隣とのトラブルの原因になる

犬の夜泣きがひどい場合、世話をしている飼い主さんも眠れなくなり、日常生活に支障をきたしてしまうでしょう。

昼間に仕事をしている場合など、昼間に仮眠するというわけにいかないので、そのような日が続くとかなり辛いと思います。

近隣とのトラブルについては、日本の住宅事情も大きく関係しています。

認知症で夜泣きが続く愛犬を介護している飼い主さんが、近所からのクレーム対応にも疲れているというケースはいくつもあります。

その中には、犬の夜泣きが騒音として訴訟を起こされかけているところまでこじれてしまったご家庭もあるようです。

睡眠不足で疲れている上に、近隣から夜泣きへのクレームという心労が重なり、飼い主さんの方がうつ病になってしまうこともあります。

最終的には夜泣きする犬を安楽死させるという残念なケースもあるようです。

症状をコントロールできなければ、悲しいですが、安楽死を選択する理由にもなるという現実があります。

夜泣きには理由がある

夜泣きは、病状の進行に伴って表れやすい症状ですが、決して理由がないわけではありません。

認知症は認知機能が低下していきますが、たとえ意思疎通がうまくいかなくなったとしても、健全な感情が残っている可能性があることを理解してあげて欲しいです。

夜泣きに考えられる理由

1.寂しさや不安

認知症を発症する犬は老犬である為、身体機能も低下していると考えられます。

耳が遠かったり、目が見えにくかったり、匂いが感じ取れなかったりします。

そのような理由で周囲の様子がよくわからないので、不安になり、飼い主さんを探していることがあるようです。

実際に、飼い主さんが撫でたり匂いを嗅がせたりして、傍にいることを確認させてやると、夜泣きが止まることも多いと言われます。

2.昼夜逆転による勘違い

認知症には見当識障害があります。

昼夜のサイクルが逆転していることが多い為、昼間は熟睡し夜になると覚醒するというパターンに陥りがちです。

それで勘違いして、散歩に行こうと飼い主さんを呼んでいるとも考えられます。

飼い主さんにしてみればこんな夜中にという時間でも、犬はそれが認識できていないのです。

3.不快感を訴えている

犬が自分で思うように動けなければ、時間ごとに体勢を変えてやらなければなりません。

同じ部分が長時間圧迫されると床ずれの原因になり、痛みが生じて泣いていることも考えられます。

今の体勢は大丈夫でしょうか?

喉が渇いていないでしょうか?

オムツを装着しているのであれば、汚れていて冷たいとか気持ちが悪いと言っているのかもしれません。

犬が飼い主さんに何らかのケアを求めて夜泣きしているとも考えられます。

夜泣きに効果的な薬を検討する

2019年の現時点では、犬の認知症を完治させる治療薬はありません。

でも、症状を緩和する目的で使われる薬はあります。

犬の認知症の治療薬には次のようなものがあります。

塩酸セレギリン(商品名アニプリル)

人のパーキンソン病の治療薬にエフピー(商品名)という薬があります。

アメリカでは、それと同じ成分(塩酸セレギリン)アニプリル(商品名)という薬が犬の認知症の治療薬として認可されています。

でも日本では(2019年時点)まだ標準治療薬としての認可はされていません。

日本でこの薬を治療に用いているとすれば、同じ成分の人の薬エフピーを使っているのではないかと思われます。

この薬は、認知症の犬に対する実験で、その70%に症状の改善が認められたという結果が得られているようです。

アニプリルの成分塩酸セレギリンは、ドーパミンという脳内の神経伝達物質の分泌を刺激します。

ドーパミン濃度を高め、神経系を保護して脳の活性を高めます。

また、認知症を進行させるフリーラジカルを除去する働きも期待できるようです。

特に不安が強い症状などの治療には、この薬が有効であるとされます。

ドネペジル塩酸塩(商品名アリセプト)

アリセプトという薬は、人のアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の治療に使われる有名な薬で、服用している患者さんはとても多いです。

どちらの病気も、脳内神経伝達物質アセチルコリンが極端に減少し、それが病気の進行の原因になります。

この薬は、脳内のアセチルコリンがなくならないように働きます。

犬の認知症にこの薬を使用することで以下のような治療効果が報告されています。

このことから夜泣きに対する治療効果も期待できると考えられます。

犬痴呆の診断基準100点法」を用いて認知障害と判断した犬に,人のアルツハイマー型認知症治療剤であるドネペジル塩酸塩製剤(アリセプトR)投与した。その結果,2週間後にはスコア合計が改善し,特に「鳴き声」のスコアに軽減効果が著しかった。

出典元 https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/19/3/19_3_91/_article/-char/ja/

トランキライザー

この薬は精神安定剤のことです。

マイナートランキライザーとメジャートランキライザーがあります。

一般的に前者は抗不安薬、後者は抗精神病薬を指します。

夜泣きに対しては

  • ベンゾジアゼピン系抗不安薬(マイナートランキライザー)アルプラゾラムなど
  • フェノチアジン系抗精神病薬(メジャートランキライザー):鎮静作用を持つクロルプロマジンなど

が催眠目的で処方されることがあります。

薬の形態は、内服薬だけでなく座薬などもあります。

その他の薬

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)という種類の抗うつ薬が使われることもあります。

また、漢方薬で抑肝散という薬があり、不眠やイライラの症状を抑える目的で人の精神科などで処方されることがありますが、犬の認知症にも応用されることがあります。

サプリメント

夜泣きに対しては、サプリメントにも多少の効果が期待できるとされます。

サプリメントは薬ではないので、気軽に導入しやすいのが利点です。

期待できるサプリは、不飽和脂肪酸であるオメガ3系脂肪酸や抗酸化成分などあります。

夜泣きへの対応の工夫

夜泣きする犬は昼夜逆転していることが多い為、それを正して生活リズムを整え、夜間睡眠を習慣付けることが重要です。

昼間は日光浴などで自然光の明るさをしっかり感じさせ、体内時計を調整してやることが効果的です。

体調を確認しながら、日中はできるだけ可能な活動に誘導し、昼間に長時間の熟睡をさせないようにして下さい。

日向ぼっこで気持良くまどろむのは良いですが、本格的に寝かせたままは良くありません。

日中の過ごさせ方具体策

  • 散歩や日向ぼっこ(老犬の散歩は短時間を数回に分けておこなう方が負担も少ない)
  • 撫でる、マッサージするなどで体に触れて刺激を与える
  • ご飯、水、おやつなどを少しずつ頻回に分けて与え、起きるきっかけを作る
  • 話しかける
  • 昼間と夜とで違う居場所を作りメリハリをつける
  • 犬のデイケアを利用する

 

夜は熟睡しやすいように、できるだけ静かでくつろげる環境を作ってあげて下さい。

犬が不安を感じないように真っ暗にしない、飼い主さんのにおいのする衣類などを寝床に入れてあげるのも効果的と思います。

できれば飼い主さんの傍で眠れるようにすると、犬も安心できるのではないでしょうか。

寄り添って寝るようになったら夜泣きが止まったというケースもあるようです。

近隣対策には部屋の防音の工夫ができるとよいかもしれません。

防音カーテンや防音パネルなどはネットでも手に入ります。

期待するほどの効果はないかもしれませんが、手軽に試すことができます。

昼夜逆転や夜泣きの解決が難しい場合、上記した安定剤などの薬を使うことを獣医師と話し合ってみて下さい。

現在の病状を何でも獣医師と相談できる関係を築いておくことが必要になってきます。

このような薬は、安全な薬と言っても得られる効果には個体差があり、やはり老犬にはリスクもあります。

獣医師は、普段診ていない犬や体力の弱い老犬にこの種類の薬の処方はできかねると思います。

薬の調整について相談できるよう病院との連携が大事です。

薬で眠らせることに罪悪感を持つ飼い主さんもいますが、薬は要所要所で上手に利用するものと割り切った方が良いと思います。

犬をそのままにしておくこともまた可哀想なことです。

薬を使って症状が緩和し、飼い主さん自身も楽になることは、犬の介護をしていく上ではよいことだと思います。

飼い主さんも休養を取れなければいけません。

飼い主さんが疲れている時は、病院や老犬ホームなどに何日か預けることも1つの手段です。

その為にも、いざとなったら柔軟に対応してくれる獣医師や施設などを選び確保しておいた方がよいかもしれません。

最近は、介護が困難な老犬を対象にした入所施設も増えているので、どうしても自宅で介護できない時は、費用はかかるでしょうが施設に入れるという選択肢もあります。

保健所に認知症の老犬が多く収容されている現実もあります。

そのようなことにならないよう、飼い主さんも追い詰められる前にできることを全て試してみて下さい。

人も犬も必ず年をとるのです。

最後に

夜泣きは、犬の認知症の症状の中でも、飼い主さんが対応にとても苦労する現実があるようです。

まずは夜泣きを症状と決めつける前に、シンプルに「なぜ鳴いているのか?」と考えてみると、もしかしたら解決策も見えてくるかもしれません。

そして、人の介護と同様、介護者が頑張りすぎて共倒れしないようにして下さい。

夜泣きに余裕を持って対応するには、飼い主さんの精神衛生は重要です。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

 

 

コメント

テキストのコピーはできません。