私達にも苦手な音があるように、子犬にも嫌いな音があります。
日常の中には音が溢れています。
子犬の頃に音に少しでも慣れていられれば、その後のストレスも少なく暮らしていけるようになりますよ。
今回は、子犬が音に慣れるしつけについてご説明しますね。
犬の聴力は抜群にいい
「犬は耳がいい」という話は、私達の間でも常識ですよね。
では、どのくらい耳がいいかご存じでしょうか?
- 飼い主が帰って来る靴音がわかる
- 家の車のエンジン音がわかる
- 他の人の足音と聞き分けられる
など、犬の耳にまつわる話はたくさんあります。
犬が音として聞き分けることができる周波数の範囲は、40Hz(ヘルツ)~65000Hzと言われています。
人間は20Hz~20000Hzです。
高周波になると、3倍以上違うということになりますね。
超音波は、20000Hz以上の高周波の音で、人間にはとても認識できません。
だけど、犬の耳には超音波がしっかり認識できるということになります。
さらに犬は、人間に聞こえる距離の400倍離れた距離から音を判別できるそうです。
犬は、外から帰ってくる飼い主さんの足音には、早くから気づいているということなのですね。
音を聞きとれる方向をみると、人間は16方向からと言われます。
なんかそれだけでもすごいのに、犬はさらにその2倍の32方向から聞きとることができるそうです。
犬の聴力がどれだけ優れているかがわかりますね。
そして普段から犬は、人間にはわからないたくさんの音を聞きながら暮らしているということがわかります。
子犬が嫌いな音・苦手な音
では、子犬が嫌いな音にはどんなものがあるかを見てみましょう。
子犬は次のような音が嫌いなようです。
- 掃除機やドライヤーなどの電化製品の音
- 工具を使用する時の音
- 花火や爆竹などの破裂音
- 雷や台風や大雨などの自然の中の大きな音
- 電話の呼び出し音
- 電話の受話器から聞こえる相手の声
- インターホン
何となく納得しますね。
子犬でなくても、あまり気持ちのいい音ではないです。
他にも、消防車などのサイレンが聞こえたら吠える犬も時々いますが、こちらはちょっと意味が違うようです。
サイレンの音は、周波数がちょうど犬の遠吠えと同じで30000Hzくらいなのです。
遠吠えは遠くにいる仲間からの呼びかけの合図で、サイレンはそれに似ているのです。
そして、犬の習性で、それに答えようとしているのではないかと考えられます。
ついでに、人の声というのは、20Hzから4000Hzです。
女性の声の方が一般的に周波数が高いですよね。
犬は高周波の音を聞きとるのが得意ですので、聞き取りやすい女性の高い声の方が好きなんだそうですよ。
嫌いな音には理由がある
電化製品が作り出す音は、人工的な機械音であり子犬にとっては得体の知れない複雑な音です。
自然にはない音なので、理解ができず子犬を不安にさせます。
インターホンや電話も同様で、そこに姿がない人の声が機械音として聞こえる状況が子犬を不安にさせます。
花火など、大きく破裂するような音は、私達でもびっくりしますよね。
でも私達はそれが何であるか正体を知っています。
子犬には、ただ意味不明に不規則で大きく響く音であり、恐怖になります。
台風や嵐の時の雨風の音など、空気を振動させるような音も苦手です。
そして、過去にその音と重なって何か嫌な経験をしたことがあれば、音と経験がリンクするのでその音も苦手な音になってしまいます。
嫌いな音がまねくトラブル
嫌いな音によるストレスがあまりにも大きいと、深刻な問題に発展することもあります。
大きなストレスで子犬はパニックになり、集中力を失って、飼い主さんの指示に耳を傾けることができなくなります。
ストレスを逃すために自分の体を噛んで傷つけるような自傷行為が現れることもあります。
パニックで暴れると、思わぬ怪我をする危険もありますよ。
花火や雷の音に驚いてパニックになり逃走して、そのまま迷子になっている犬の話は珍しくありません。
留守番中にそのような恐い体験をすると、留守番に不安を持つようになり、分離不安の原因にもなります。
でも、ストレスになる音を日常から完全に遮断することはできません。
だからこそ、少しずつたくさんの音に慣れ、嫌な音がしようとも嫌なことは何も起こらないのだと繰り返し学習して不安を解消するしかないのです。
子犬の安心感を育てる為には、音に慣れるしつけが必要なのです。
よくある日常音を聞き覚えよう!
日常音に慣れるしつけは、子犬が成長してからも不安におびえずにその環境で暮らせるためです。
どうしても避けられない日常音を恐怖に感じない程度のボリュームで少しずつ聞かせ慣れさせます。
その音とおやつなど、嬉しい出来事をリンクさせて、音のイメージを良い方向に植え付けていくしつけです。
苦手な音と嬉しい体験とセットにするということですね。
サンプルに聞かせる音はネット上にも結構あります。
サンプル音を集めたCDも販売されていますので、こういうのを一つ持っておくと便利ですよ。
↓いろいろな効果音を集めたCDです♪面白いですよ
音のしつけの進め方
最初はボリュームを一番小さくして聞かせてみて下さい。
平気でいられるようなら、ご褒美のおやつをあげて褒めてあげましょう。
そのボリュームに慣れてきたら少しボリュームを上げて、同じことを繰り返します。
もしボリュームを上げて怖がれば、すぐに元の大きさに戻して下さい。
長時間になると集中力がなくなるので、1回5分くらいのしつけを地道におこなっていきましょう。
しつけで恐い思いや嫌な思いをさせると逆効果になります。
無理に聞かせるのではなく、少しずつ進めて下さい。
その音に慣れて、大きな不安や恐怖は克服できても、私達にも苦手があるように子犬も嫌いなものは嫌いだと思います。
なので、わざわざ不快な音を聞かせ続ける必要はありません。
しつけ以外の日常の中で、避けられるものであれば避けてあげて下さいね。
雷や花火の時は窓を閉めて、できるだけ大音響で聞こえないようにするなど、暮らしの中で苦手なものは回避してあげて下さい。
良かれと思って花火大会などに連れて行く飼い主さんは多いですが、ただ恐怖を感じているだけの犬も多いのですよ。
毎年のように花火大会でパニックを起こして逃げ出し、飼い主とはぐれてしまう犬がいます。
人は花火の音をお祭りとして楽しめますが、犬にはそういう概念はないということをよく考えてみることが必要だと思います。
また、雷や強い風の音など、人間でも恐怖や不安を抱いたり、苦手なことがありますよね。
それでも飼い主さんは、子犬の前では毅然として何事もないように振舞ってあげましょうね。
嵐が来ようがいつもと変わらず飼い主さんが堂々と頼りになる態度で振舞うと、それは子犬の安心感になります。
嫌いな音を逆に利用するしつけ
天罰方式と呼ばれるしつけがあります。
おすすめはしないのですが、一応書いておきますね。
子犬が嫌いな音を天罰として鳴らし、少しだけ嫌な思いをさせて(嫌悪刺激と呼ばれる)その行動をやめさせる、というしつけです。
天罰の音として使われる音は、空き缶に小銭などを入れて振ったら鳴る、金属が触れ合う独特の音で、犬はこのような音が嫌いなのだそうです。
してはいけないことをしつける時に、天罰としてこの音を鳴らすわけです。
ただ、やり方を誤ると、音に対する恐怖心を植え付けてしまいます。
怖い思いなどをさせるのではなく、犬と良いコミュニケーションを取る中で、良い行動を強化するポジティブトレーニングがしつけの望ましい方法と思います。
まとめ
子犬の社会化期のしつけでいろいろな体験をさせることの中には、音に慣れることも含まれています。
ただ、どうしても慣れないこともあるし、心身の健康が保てないほど重症な恐怖症もあります。
音に敏感で過剰に反応する子犬は、元々が繊細な性格であることが多いのです。
音のしつけは子犬の様子をよく見て、無理のないように進めて下さい。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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