犬のてんかんの薬と副作用 意識や食欲への影響について

♦ストレス/脳神経

犬のてんかんの発作は突然起こります。

でも普段は特に問題ないし、抗てんかん薬の副作用も恐いので、薬は飲ませてないという飼い主さんも多いです。

私の愛犬もてんかんがあり、抗てんかん薬を長期に渡って飲ませています。

薬は確かに副作用もありますが、人の看護師の立場からもそれは重要と思っています。

そのことをてんかんの犬の飼い主さんにも伝えたく、今回は犬の抗てんかん薬の種類、副作用、なぜ必要なのかを解説しようと思います。

犬のてんかん治療を症状がなくても続ける理由

犬のてんかんの発作にはいくつものパターンがあります。

ほとんどのてんかん発作は5分ほどの短時間で自然に回復し、発作の後は何事もなかったかのように元に戻ることが多いと言われます。

【てんかんの症状と発作のパターンの参考記事】

犬のてんかんの症状と対処法 危険な発作の2パターンとは

そして、普段は病気があるように見えず、発作以外はいたって元気でいることがほとんどです。

ただ、普段も何らかの異常行動が現れることもあります。

  • 何かを恐がるように不安げに隠れる
  • 何かを探し回るような落ち着かない徘徊(探索行動)
  • 舌を何度もペロペロと出す
  • 何か噛んでいるようにくちゃくちゃと口を動かす

一見、意味のないこのような動作が、短時間、繰り返されることがあります。

この少し奇妙な行動は、部分発作という種類の発作である可能性もあります。

または、全般発作の前兆(前駆症状)であるとみなすこともできます。

私の愛犬にもこのような行動が時折見られることがあり、その時は慎重に観察しています。

ただ、異常行動が軽いものなら、単にその犬の癖のようなものとしてあまり気にされないことも多いかもしれません。

てんかんは、このように、目立つ発作が起きた時だけ対応すれば普段は何もない、というわけではないのです。

脳は、てんかん発作を起こすたびにダメージを受けます。

今回、起こったてんかん発作は、前回の発作の結果である、と考えられます。

発作が重なる分だけ脳のダメージが重なり、そのせいで次の発作がひどくなるというスパイラルに陥ることになります。

てんかんの治療は、発作を極力起こさないようにする治療です。

犬のてんかんも、人のてんかんと違いはありません。

人のてんかん治療では、何も症状が現れてない時も、普段から抗てんかん薬を使い、発作が出ないようにコントロールします。

てんかん発作が頻繁に起きる患者さんでは、薬の調節がうまくいってないと考えるか、不規則な飲み方をして指示が守られてないということも多かったです。

発作が出た時に治すのではなく、起こらないように薬で抑えるという基本は、人も犬も共通です。

《犬の抗てんかん薬開始の目安》

  1. 月一回以上の発作があった
  2. 発作の間隔が3~4ヶ月以内
  3. 群発発作を起こした
  4. 重責発作を起こした
  5. 発作の頻度が増えた

てんかんは、発症してできるだけ初期に治療を開始する方が、何度も発作を起こしてから治療を開始するよりも発作のコントロールがうまくいくとされています。

それは、「発作を繰り返すたびに脳がダメージを受ける」ことと関係しています。

発作のコントロールがうまくいけば、その犬の生活の質もよりよく保てるのです。

ただ、てんかん発作を起こす原因には、脳炎や脳腫瘍などの病気がある場合もあります。

その場合、病気の治療をしない限りは、てんかん発作の改善も期待できません。

病気の種類によって、治療方法もまた変わってきます。

【参考記事】

犬のてんかんは脳炎の可能性も・脳炎は完治する病気?

見逃さないで!その症状は犬の脳腫瘍の進行かもしれない

「抗てんかん薬を飲み始めたらやめられない」の誤解

てんかんの治療は、抗てんかん薬の内服です。

このことについて、「抗てんかん薬を飲ませるようになると、ずっとやめられなくなる」と考える飼い主さんがとても多いことに気が付きました。

抗てんかん薬を飲ませることは、もう治らない状況を作ることという、絶望的な意味に誤解しているのだと思います。

抗てんかん薬を飲ませることが治らない状況を作るわけではありません。

まず、てんかんという病気は、完治する病気ではない、と受け止めて下さい。

てんかんの治療は、病気をいかにコントロールして日々の暮らしの質を保てるようにするか、ということなのです。

薬を飲ませることで、てんかん発作を抑え続け、脳の安定した状態を保つのです。

てんかんの重大な発作パターン、重責発作や群発発作は、薬でしっかりと発作を抑制できなかった場合や、薬を急にやめたりした時に起こりやすくとても危険です。

薬を一度飲み始めるとやめられない、というのは、抗てんかん薬はどこかでやめるわけではなく、薬を生涯継続するという意味なら事実です。

例えば抗生剤のように、一定期間飲んだら止めるなどというわけにはいかないのです。

元気な状態に見えても、てんかんという病気は爆弾を抱えているようなものなのです。

発作がないからと抗てんかん薬をいきなり中断すると、抑えられていた発作を誘発する(離脱発作)危険があり、勝手にやめるということはできません。

そして、薬を飲み始めたせいで病気が悪くなってそうなるのではありません。

てんかん治療で使用される薬と副作用

犬のてんかん治療薬は、人の抗てんかん薬と共通のものもありますが、人の治療薬の種類ほど多くの選択肢はないようです。

犬のてんかん治療薬と副作用を挙げてみます。

♦フェノバルビタール

フェノバルビタールは、バルビツール酸系という種類の薬で、フェノバールという商品名で人の臨床でも有名です。

犬の抗てんかん薬によく使われる薬です。

散剤(粉薬)・錠剤・注射薬があります。

治療開始時には、まずこの薬を処方するという獣医師が多いようです。

この薬は、中枢神経を抑制して興奮を鎮めるという効果があります。

人の薬としては、抗てんかん薬としてだけでなく、睡眠薬や静脈麻酔薬として長く使用されてきた薬です。

現在は、人のてんかん治療で第一に選択される薬ではなくなりました。

治療域と毒性域が近い、簡単に言えばほんのわずかな違いで薬にも毒にもなるので、投与量の微調整がとても重要な薬です。

過剰投与で、深刻な肝障害が現れる危険があります。

なので、この薬を使い始めた後の血中濃度の測定という検査が重要です。

この薬は、単独で使用され、血中濃度が十分なのに効果が少ない場合は、それ以上にこの薬を増量できませんので、他の薬(臭化カリウム)を併用します。

血中濃度は、投与後4~5時間で最大まで上がります。

しかし、この薬は、効果が安定するまでに2週間ほどかかります。

<副作用>

フェノバールには、飲み始めに見られる初期副作用と、長期服用中に出て来る長期副作用があります。

投与して2週間くらいの間は、抑うつ状態、ふらつき、鎮静などがあり、過眠傾向や動きが悪くうまく歩けない、足がもつれている、などの異変が見られます。

それでも、初期の副作用に関しては、2週間くらいで薬に慣れてくると言われます。

飲み続けていくうちに、今度は長期副作用が現れるようになります。

長期副作用も同じように、動きが鈍く、また食欲の亢進が見られ、多尿になり、そのせいで尿失禁などが見られることもあります。

また、食欲が増して運動機能が低下するという悪循環で太りやすくなることもあります。

食欲があると、元気な印象もあるかもしれませんが、異常な食欲亢進は薬の副作用です。

肥満防止の為にも、犬の食欲と食事量のバランスをとって、むやみに増やさないようにしなくてはなりません。

この薬は、肝障害を起こす可能性がもっとも重大な副作用で、欠点とも言えます。

食欲不振、黄疸や腹水などの症状が出るのは、肝障害を起こしている兆候です。

他の抗てんかん薬に変更し、肝障害に対する治療が必要ですので、この薬を飲ませている時は注意して観察して下さい。

うちの犬も、短い間でしたが最初にこの薬を使いました。

私の知っている犬もやはりこれでしたし、一般的な処方なのです。

飲み始めると、明らかにボーっとなった印象はあると思います。

でも、むやみに怖がるのではなく、大事なことは、獣医師の指示に従って服薬を守ること、副作用に気づいたら早く主治医に相談することです。

この薬は依存性もあり、急に薬を中断すると、離脱症状でひどい発作を起こす危険があります。

この薬から他の薬に変更する時も、獣医師の指示通り移行していかないといけません。

また、一緒に飲ませてはいけない薬もあります。

血中濃度が下がって効果が得られなくなることもあるので、勝手に薬を止めたり与えたりせず、必ず獣医師の指示に従って下さい。

♦臭化カリウム

臭化カリウムは、人の抗不安薬や抗けいれん薬として使用されてきた、安全性の高い薬です。

フェノバルビタールで効果が得られない時に、フェノバルビタールの量は増やさずに併用する薬として、第一に選択される薬です。

肝臓に問題があって、肝臓に負担のかかるフェノバルビタールを使えない時に、臭化カリウムを単独で使用することもあるようです。

これは粉末の薬ですが、とても少ない量で管理が難しいので、普通は液剤にして処方されることが多いようです。

ただ、病院にもよるのか、私の身近に、この薬を粉のまま処方されていて、吹けばなくなるほどに少ないのでちゃんと体に入っているのか不安だと言っている飼い主さんがいました。

この薬を追加することで効果が上がると期待でき、肝臓に負担もかからない安全な薬ですが、効果が現れるまでにはかなり時間がかかるようです。

<副作用>

嘔吐や胃粘膜に刺激があります。

また、フェノバルビタールと同様に、食欲の亢進と多尿があります。

♦ゾニサミド(コンセーブ)

ゾニサミドは、商品名エクセグランとして、人の抗てんかん薬にも使用されます。

また、この成分を使用した、トレリーフという商品名の薬は、人のパーキンソン治療薬です。

ゾニサミドは日本で開発された薬で、海外に先駆けて1989年に日本で発売されました。

それまで主流だったフェノバルビタールでは、難治性のてんかんは発作のコントロールがつかないことも多かったようです。

しかし、ゾニサミドでよい結果が得られるようになり、何よりも、この薬の利点は副作用が殆ど出現しないことです。

私の愛犬はゾニサミドを長年使っています。

血中濃度の測定も可能ですので、濃度を確認しながら治療することができます。

動物医療で使用する薬には、人間用の薬をそのまま使用することは多いですが、ゾニサミドは現在、コンセーブという名前で、犬用抗てんかん薬として発売されています。

うちは、人用のまま「エクセグラン」として処方を受けています。

獣医師の好みもあるのか、「コンセーブ」を処方する病院もありますが、成分はどちらも同じゾニサミドです。

薬価は、「コンセーブ」の方がいくらか高いかもしれないです。

犬用抗てんかん剤「コンセーブ®錠 25mg/100mg 」

DSファーマアニマルヘルス株式会社

■組成
コンセーブ錠 25mg は、1 錠中にゾニサミド 25mg を含有する。
コンセーブ錠 100mg は、1 錠中にゾニサミド 100mg を含有する。

通常ゾニサミドとして、初回投与量は、体重 1kg 当たり、2.5~5mg を 1 回量とし、1 日 2 回、およそ 12時間間隔で経口投与する。

以後、臨床徴候により必要に応じて漸増する。なお増量後の用量は、通常 10mg/kg/回までとする。

出典元 https://animal.ds-pharma.co.jp/pdf/20141017_consave.pdf

ゾニサミドは、単独で十分にてんかん治療が可能です。

この薬を追加薬として使用もできますが、フェノバールとの併用はできません。

<副作用>

この薬の副作用として挙がっているものは、過敏症、嘔吐、軽度の鎮静、ふらつき、部分的な振戦(ふるえ)などがあります。

また、食欲が低下するという副作用も挙げられています。

しかしこれらの副作用は、服用開始して数日以内に消失することが多いと言われます。

うちは実際にこの薬を継続してきましたが、ゾニサミドの副作用を感じることはほとんどありません。

依存性や重篤な肝障害を起こす危険も少ないので、長期に服用させる薬としては問題が少ないようです。

ただ、ゾニサミドは骨髄抑制を起こす可能性があり再生不良性貧血や無顆粒球症などの副作用が出現するというリスクはあります。

薬は基本的に、使い方次第で毒にもなる物質なので、全く何の影響もないとは言えないです。

ただ、うちの場合はこの薬でうまくいっていると思います。

♦ジアゼパム

セルシンやホリゾンという商品名で知られている薬で、人の臨床でも鎮静薬としてなじみのある薬です。

胃カメラの時の前処置などに眠くなる注射薬してよく使われてきた薬です。

この薬はベンゾジアゼピン系抗不安薬という種類で、即効性が期待できます。

錠剤・注射薬・座薬という形態があり、病院でてんかん発作時の緊急の注射薬に使用されるのもこの薬です。

また、自宅で発作時に使う屯用の座薬として処方されるダイアップ座薬もこれなのです。

【参考記事】

犬のてんかん発作時の座薬の入れ方・タイミング・ 副作用について

<副作用>

副作用として鎮静、ふらつき、そして特に呼吸抑制に注意が必要な薬です。

長期に渡っての継続使用では、依存性や耐性が生じやすいので、短期的に使用される薬です。

♦クロナゼパム

商品名はリボトリールやランドセンで、ジアゼパムと同じ系統のベンゾジアゼピン系抗てんかん薬に入ります。

ジアゼパムよりも作用時間が長いですが、やはり長期継続使用すると依存性や耐性といった副作用を生じる点も似ています。

抗てんかん薬を他のものに変更する時などに、移行時の調整のために一時的に使用する、というような使い方をされることがあるようです。

♦フェルバメート

薬でのコントロールが困難な難治性てんかんに有効と言われますが、発売後まもなく、人間において重大な肝毒性の副作用が問題となった薬です。

しかし、犬の安全域は広いとされます。

薬剤としては高価で、あまり使用頻度の高い薬ではないようです。

♦ガバペンチン

吸収がよく、血中濃度があがりやすく(有効化されるのが早い)治療抵抗性のてんかんに使用されます。

しかし、作用が切れるまでの時間も短いので、頻回な投与が必要になるのが難点です。

プレガバリンという、これの類似薬の方は、半減期がこの倍くらいある(効果の持続時間が長い)ようです。

<副作用>

鎮静化が起こる薬で、意識レベルが低下しボーっとなってしまうことが多いです。

♦レベチラセタム

レベチラセタムは、イーケプラという商品名の抗てんかん薬です。

イーケプラは、他の薬で効果が得られない時に併用、または、部分発作に単独使用で効果的であるとされる薬です。

この薬の利点は効果が現れるのが早いことです。

通常、薬の血中濃度が安定するまでには日数がかかります。

血中濃度が安定し、効果が得られるようになるまでに

  • フェノバルビタールで10~14日
  • ゾニサミドは10日程度
  • 臭化カリウムだと2~3ヶ月

と言われます。

しかし、レベチラセタムは、1日の服用で効果が安定しますので、すぐに作用して欲しい時などに単発的に使用することもできる画期的な薬です。

私は、発作時は、座薬を使い、レベチラセタムを3日間追加で内服させるように指導されていて、この薬もストックしています。

<副作用>

嘔吐、流延(よだれ)、軽い鎮静

抗てんかん薬の副作用による食欲の変化について

抗てんかん薬の副作用でわかりやすいのは、フェノバルビタール服用中の変化ではないかと思います。

副作用が出ると、反応が鈍くなり、活発さが薄れてあまり動かなくなり、食欲だけは増進して水もがぶがぶ飲むという状態です。

そんな姿を見て、犬が変わってしまったと悲しく思うかもしれませんが、犬が変わったのではなく、これは副作用です。

私の愛犬がフェノバルビタールを使用したのは短期だったので、あまり参考になりませんが、寝てばかりなのに食欲だけはあるという感じでした。

最近になって、知人の犬がてんかんになりフェノバルビタールが処方されていましたが、やはりそれまでと違って、ボーっとしていました。

ただ、それも発作の影響とか後遺症とかいうこともあり、副作用との区別は必要です。

そして、もちろん個体差はあるとは思います。

私が感じることは、薬の副作用で不調に陥るより、てんかん発作の不調の方がはるかに大きいということです。

副作用を恐れ、なるべく薬を使わないようにと考える飼い主さんは多く、その不安もわからないでもありません。

しかしてんかんで何よりも大事なことは、発作を起こさせないことです。

発作の連続が結果的に大きな発作を招いて、生命が危険にさらされたり、重大な後遺症を残すこともあります。

そうなることの方が副作用よりもっと深刻だと思います。

ここで挙げたのは、特発性てんかんで使う薬のことですが、脳炎や脳腫瘍など、てんかんを起こす病気が他にあれば、その治療薬であるステロイドがメインの処方になると思われます。

ステロイドについては、↓の記事を参考にして下さい。

【ステロイドについての参考記事】

犬のアレルギー治療薬の種類・ステロイドなどの特徴や副作用

てんかん薬の服用中は、定期的に血中濃度や肝機能を調べて副作用をチェックしますが、飼い主さん自身でも、食欲や症状、行動の変化などを記録しておくと役に立ちますよ。

そうすることで、獣医師にも効率よく時系列で情報を伝えることができます。

 

まとめ

犬のてんかんの治療は、発作を予防する為に薬を使用します。

てんかんの治療薬は、人のてんかん治療薬と共通していて、薬ですのでもちろん副作用もあります。

それでも、脳を発作から守る為に薬はあるのです。

どうか必要に応じて薬を受け入れてあげて下さい。

は自分で治療を選べません。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

【おすすめ記事】

犬用サプリで免疫!犬康食・ワンプレミアムの口コミと評判

デメリットも調べよう!ペッツベストのペット保険・口コミ評判


関連記事(広告含む)


data-matched-content-ui-type="image_card_stacked"

♦ストレス/脳神経
リアン@しっぽこむをフォローする

《これは使える!》

目や口に入っても安全!優れた除菌効果!

 

しっぽこむ

コメント

テキストのコピーはできません。