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犬の尻尾を切る習慣はなぜ存在するのか?断尾の理由とは

♦犬の体と寿命

犬の断尾とは何かご存じでしょうか?

犬種によっては、生まれつき長かった尻尾を切ることで短くしてしまう処置があるのです。

これははるか昔から正当な理由で行われてきましたが、現在は推奨されないどころか虐待として禁止している国もあるようです。

犬の尻尾を切る理由とその歴史について調べてみたので、情報共有したいと思います。

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犬の尻尾を切る?断尾とその歴史的背景

断尾とは、犬の尻尾を根元あるいは少し長さを残した状態で切り、短い尻尾にする処置のことです。

断尾の歴史は、18世紀に遡ります。

当時のイギリスでは、犬の尻尾は短い方が使役犬として有能であると信じられていました。

それが減税の理由にもなっていたそうです。

当時のヨーロッパでは、

  • 尻尾を切ることは狂犬病の予防にもなる
  • 背中の筋肉を強めて狩猟犬としての能力も高くなる

という、今の常識では考えられないような理由で、尻尾を切るということは当然の習慣だったのです。

尻尾がある犬だけに課税制度があり、そんな理由からも断尾は積極的におこなわれていました。

この課税制度はその後(1796年)廃止されていますが、犬の尻尾を切る習慣だけが現在まで続いているのです。

断尾で有名な犬には、次のような犬種がいます。

ボクサー・ドーベルマン・ジャックラッセルテリア・ミニチュアピンシャー・アメリカンコッカースパニエル・ミニチュアシュナウザー・ウェルシュコーギーペンブローク・ロットワイラー・ワイマラナー・トイプードル・ヨークシャーテリア・ブリュッセルグリフォン他

たとえばコーギーなどは、生まれつき長い尻尾の犬と短い尻尾の犬がいます。

尻尾がないことがコーギーの犬種スタンダードと推奨されているので、短い尻尾でさえも根元から切る処置がなされるのです。

子犬としてショップなどに出された時にはすでに尻尾はなく、私もコーギーは尻尾がない犬種と勘違いしていた時期があります。

犬の尻尾を切る理由は課税制度以外にも

課税制度が廃止になり、それでも現在に至るまで続けられている断尾の理由には次のようなものがあります。

医学的な理由

狩猟犬や牧羊犬などの使役犬である場合、狩猟犬は日常的に山や茂みの中に入ります。

その時に長い尻尾があると、尻尾が怪我を負うリスクが高くなります。

また、牧羊犬は牛や馬などの家畜に尻尾を踏まれるかもしれません。

断尾にはそのような怪我のリスクを減らす為という理由がありました。

また、肛門が近くにあり汚染されやすいので、衛生状態を保つためという理由もあったようです。

外見的な理由

その犬種のスタンダード(犬種標準)という、犬種の理想とされる姿形がありその基準に合わせるという理由です。

その理想を決めたのはあくまでも人間です。

人間が求める姿に合わせる為だけに犬の尻尾を切るのです。

そして、前述のコーギーのように、尻尾がない姿が普通であるという飼い主側の思い込みがあり、断尾せず尻尾を残した犬は売れ残る傾向があります。

このような消費者のニーズに合わせて犬は尻尾を切られます。

犬の尻尾を切る方法

断尾は、まだ生後2~5日くらいの子犬に対し麻酔なしでブリーダーまたは獣医師によっておこなわれます。

その時期には痛みを感じないという説が前提になっています。

ただし生後8日以降になると、痛覚が発達することを考慮して生後8週齢くらいまで待ってから全身麻酔によっての手術になることが多いようです。

断尾の方法には二通りあります。

結紮法

尻尾をゴムバンドで締め付けるバンディングという方法です。

そこから先への血流をゴムで止めることによって壊死させ(腐らせて)自然と落ちるのを待つ方法で、ブリーダーなどはこの方法をとるようです。

3日ほど経てば自然と先端が落ちると言いますが、縛り方が適切ではなく感染を起こし、先端が何倍も腫れて治療が必要になるようなことも起こるようです。

実際に今もこんなブリーダーがいるならとても野蛮に感じますが、みなさんはどう思われますか?

切断法

メスやはさみを使用して尻尾を切る方法です。

犬の尻尾を切るデメリット

身体的な影響

尻尾は犬にとって身体のバランスを取る大事なパーツです。

走ったり方向転換したりジャンプするという陸上の動き以外にも、水中で泳ぐ場合もこの尻尾でバランスを取るほど広範囲の働きです。

尻尾を切ることは、犬の身体能力を低下させます。

意思の疎通

尻尾はコミュニケーションツールとしても重要です。

他の犬との関係で、尻尾がないと意思の疎通が十分はかれず警戒される理由になると言われます。

しかし断尾はこれを逆手にとって、闘犬種などでは、犬の感情が表れる尻尾や耳を切ることで、あえて感情が出ないようにするのだそうです。

幻肢痛

幻肢痛というのは、あるべきはずの身体の一部を失った後にも、なくなった部位の痛みを感じるという症状です。

人間で説明すると、手足の切断後などにこのような症状が残ることが知られています。

犬は人間と同じ神経系の構造を持つという理由から、同じように痛みが発生しているのではないかと考えられています。

尻尾は、骨や筋肉、神経や血管が通っている脊椎の一部であり、犬にとっては不要な部位ではありません。

また、感染や切断のトラブルが理由で後遺症が残ることもあります。

尻尾を切る手術が理由となって亡くなってしまう子犬もいるのは事実です。

断尾についての賛否と方向性

犬の尻尾を切ることに対しては賛否あります。

  • 歴史背景があったにせよ、使役犬ではなくなった家庭犬に断尾を施す理由はない
  • 人間が勝手に決めた犬種スタンダードに合わせて尻尾を切るのは人間のエゴである
  • 不必要な痛みを与えるのは虐待である

以上のような反対意見が高まって、動物愛護の観点から断尾を法律で禁止している国もあります。

【尻尾の役割と断尾禁止国】

何故?飼い主にしっぽを振らない犬 犬に好かれていない?

一方で断尾肯定派は、犬の神経系統は生後数日間は未熟であり、尻尾を切る時の痛みを感じることはない、つまり虐待には当たらないと言います。

痛みを感じないという説について、否定派の意見は次のとおりです。

子犬が痛みを感じないというのであれば、同じ晩成性動物である人間の新生児も痛みを感じないはずなのに、新生児は痛みに反応を示す。

このことから子犬も尻尾を切る時に痛みを感じていると言える。

晩成性動物:生まれてすぐに自立できる早成性動物に対し、親の保護や給餌を必要とする動物のことで、人間や犬はこちらである

実際に、獣医師の国際組織である世界小動物獣医協会が2014年に出した「痛みの認知、評価および治療のためのガイドライン」の中では、痛みの解釈についての誤解について書かれています。

【痛みの認知、評価および治療のためのガイドライン】
10 一般的な痛みの誤解
「新生児と幼児動物は痛みを感じない」
False。すべての年齢の動物は痛みを感じる。
出典元 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jsap.12200

日本でこの犬種スタンダードを管理統制するJKC(ジャパンケンネルクラブ)は断尾に反対ではないが、断尾してない犬も犬種の標準内として認めるという内容に訂正されているようです。

また、日本の法律の方向性としては次のようにあるのが現状で、最終的には飼い主に委ねられます。

小動物医療の指針・第11項
【小動物医療における動物愛護と福祉】
断尾・断耳等
飼育者の都合等で行われる断尾、断耳等の美容整形あるいは声帯除去術、爪除去術は、動物愛護・福祉の観点から好ましいことではない。
したがって、獣医師が飼育者から断尾・断耳等の実施を求められた場合には、動物愛護・福祉上の問題を含め、その適否について飼育者と十分に協議し、安易に行わないことが望ましい。
しかし、最終的にそれを実施するか否かは、飼育者と動物の置かれた立場を十分に勘案して判断しなければならない。
出典元 http://nichiju.lin.gr.jp/about/chikai_pdf/2-1.pdf

現実に、断尾する犬種は、ブリーダーに尻尾を残して欲しいという旨で予約しなければ尻尾のある子犬を求めることは難しいようです。

尻尾のある子犬は売れ残る可能性が高いのだそうです。

実際に尻尾を切る時に悲鳴のような鳴き声をあげる子犬もいると言われます。

その苦痛やデメリット、さらに子犬の命と引き換えにしてまで尻尾を切ることが標準とする理由はどこにあるのでしょうか?

 

まとめ

犬の尻尾を切る理由は、現在、人間による外見へのこだわりによるもので、行き過ぎた断尾で命を落とす子犬がいるのも現実です。

病気や怪我などやむを得ない理由で尻尾を切る以外に、その処置は必要なのかという疑問は大きくなっています。

禁止国がある一方、獣医師へ依頼する費用を惜しみ未熟なブリーダー自身がおこなって失敗する数も少なくないとのこと。

このようなこだわりには違和感を持たずにはいられません。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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