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犬の認知症の予防対策・栄養や対応方法の改善ポイント

♦ストレス/脳神経
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犬にも認知症があることは知られるようになりましたが、発症のメカニズムは人のアルツハイマーと似ていることもわかってきました。

ただ、その発症にはいくつかの条件も重なります。

発症の要因を前もって減らせば、犬の認知症の予防に効果があるのではないかと考えられます。

今回は、犬の認知症の予防のために、日常生活の中で工夫できることを説明したいと思います。

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犬の認知症は予防できる

以前は、認知症のことは痴呆症と呼ばれていました。

認知症とは、一旦は発達した知能や記憶などの脳の機能が、病気などの原因によって低下していく症状のことです。

進行すれば、物事を認識できなくなり、生活上にも障害をきたします。

認知症の原因になる病気は複数あって、1つの病気を指しているわけではありません。

脳の機能低下の症状のある、「症状群」の全てを認知症と呼びます。

ちょっとわかりにくいですね。

人の場合、認知症になる病気としてはアルツハイマー病がもっとも多く、一般的にもよく知られています。

認知症の犬の脳には、人のアルツハイマー病と似た、「脳の変性」が見られることがわかっています。

しかし、似ているだけで全く同じものではないということで、現時点では犬の認知症=アルツハイマー病という呼び方はしません。

一方で、犬の認知症=アルツハイマー病と考えて差し支えないと考える研究者もいるようです。

【犬の認知症の参考記事】

止まない徘徊は犬の認知症の症状?診断はどのようにされるのか?

認知症の予防の鍵となる栄養素は脂質

脳の変性を起こす要因の一つに、フリーラジカル(活性酸素)の蓄積があげられています。

フリーラジカル(活性酸素)は、いわゆる「体を錆びさせる」と言われる物質で、最近はテレビ番組などでもよく聞くキーワードではないでしょうか。

このフリーラジカル(活性酸素)は、呼吸で取り入れた酸素の代謝の時にできる副産物です。

脳は酸素を多く必要とするので、特に脳に発生しやすくなります。

これを除去し蓄積させないようにすることは、認知症のリスクを減らすことになります。

認知症には、好発する犬種があるというデータもありますが、そこには不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)が関係していると予測されます。

認知症の犬の血液中には、不飽和脂肪酸の量が少ないということがわかっています。

不飽和脂肪酸の不足は、認知症の発症のリスクになるのではないかと考えられているのです。

【不飽和脂肪酸と認知症の関係の参考記事】

犬の認知症が始まる年齢と発症しやすいとされる犬種について

このように、認知症との関わりがわかっている要因に対応することが、犬の認知症の予防になると考えられます。

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栄養バランスを整えて認知症を予防する

身体は、口から入る食べ物の栄養素から作られるものです。

健康と食は切り離せない関係にあります。

どのような病気の予防を考える時でも、栄養バランスの検討は欠かせません。

認知症の予防対策にも、発症に関係のある栄養素が不足しないように、食生活を工夫することが大事です。

オメガ3脂肪酸

先に述べたように、認知症の発症には、不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)が関係すると言われます。

不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)は体内で作ることができない栄養素です。

ですので、口から摂ることが必要なのです。

不飽和脂肪酸には、多価不飽和脂肪酸一価不飽和脂肪酸という2つの種類があります。

このうち、認知症に関与するのは、多価不飽和脂肪酸の方です。

さらに、その中の、オメガ6系オメガ3系という脂肪酸のバランスが重要になります。

特に、オメガ3は不足しやすい脂肪酸であり、意識して摂るようにしなければなりません。

DHAEPAという、脳に良いことで話題の栄養素を耳にしたことはあるでしょうか?

これがまさにオメガ3系脂肪酸なのです。

人のアルツハイマー病にも、DHAの不足が確認されています。

認知症予防のためには、DHA・EPAを積極的に摂ることが推奨され、近年はこのタイプのサプリメントもたくさん市場に出ています。

そして、やはり犬の認知症予防にも、人と同じように、DHA・EPAの補給が有効であるとされているのです。

犬の認知症の治療で、進行を予防する目的で、獣医師もこのようなサプリメントを処方することがあります。

つまり、認知症予防には、普段からオメガ3系脂肪酸を意識し、不足しないように取り入れることが効果的ということになります。

オメガ3系脂肪酸は、犬にも重要な栄養素であることが知られているので、それを加えた市販のフードもありますが、オメガ3系脂肪酸は手軽に手に入ります。

えごま、亜麻仁、サーモンオイルなどを普段から食事にほんの少量、滴下するだけで、認知症予防によい食習慣を作ることができるのです。

フリーラジカル(活性酸素)を取り除く

フリーラジカル(活性酸素)は、体内で増えすぎると細胞を酸化(老化)させます。

これは、アルツハイマー病だけではなく、ガンなどの発生にも関係のあることです。

フリーラジカル(活性酸素)は、蓄積すると体に悪影響があるのです。

人も犬も、認知症の予防には、このフリーラジカル(活性酸素)を体から除去すべきです。

除去するためにはどうしたらよいのか?

簡単に言えば、フリーラジカル(活性酸素)を除去する=抗酸化作用のある栄養素を取り入れるということになります。

抗酸化作用のある栄養素とは、以下のようなものです。

ビタミンE・ビタミンC・βカロテン・フラボノイド

これらは、かぼちゃ、にんじん、ブロッコリー、りんごなどの果物や野菜に多く含まれています。

このような食品をバランスよく含んだ良質のフードを選ぶことや、サプリメントとして補うということで効果があると考えられます。

【オメガ3系脂肪酸・抗酸化サプリメント】

犬の認知症にサプリメントが期待される理由とお勧め7品

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適度な刺激で認知症を予防する

認知症の発症には、環境も大きな要因の一つになります。

単調で刺激のない環境の中では、脳の活性化がされにくくなります。

認知症の予防には、脳を適度に働かせるような生活習慣をつけることも必要なのです。

たとえば、新しい経験をすることや、五感に働きかけるような快い刺激簡単な問題を解決する遊びなどは、脳を活性化するのに適しています。

このような刺激は、脳神経のネットワークを活性化するため、認知症の予防に効果的です。

脳を柔軟に働かせる習慣は、脳が衰えるのを予防し、犬が年をとって老犬になっても、記憶力や知力を維持して、脳を若々しく保てるのです。

散歩

散歩は、単純に運動だけが目的ではありません。

散歩は、外の空気に触れて、匂いを嗅ぐことや音などの刺激を受けることができ、日常に変化をつけられる、犬にとっては大事な時間です。

それは、認知症の予防にも大事な習慣です。

犬も年を取るにつれて、筋力は低下し、視力や聴力も衰え、若い頃のように早く歩けなくなるかもしれません。

「だから散歩に行かなくてよい」のではなく、「だからこそあえて散歩に行く」のです。

ただ、犬の体調や体力に合わせて、よけいな負担のないようアレンジは必要です。

いつも同じコースではなく、少し変化をつけてみるのもよい刺激になるでしょう。

歩行に不安があるのなら、できるだけ歩きやすい道を選び、途中で公園に寄るなどの休憩を入れながら、ペースを落としてあげて下さい。

そして、歩けない時はカートを利用するという方法もあります。

散歩は、歩いて運動することだけが全てではないです。

【老犬の散歩の参考記事】

老犬が散歩で歩かない時・歩けない時の対応について

遊び

遊びは、子犬だけのものではなく、老犬に対しても、好奇心を刺激するので認知症の予防になります。

知育おもちゃという、中におやつやフードなどを詰めて遊びながらそれを取り出すタイプのおもちゃがありますが、適度に頭を使うのでそのようなものを与えてみてもよいのではないでしょうか。

最近は、知育おもちゃも種類が増え、犬の興味を惹く工夫がされています。

おやつを取り出す目的を持って夢中で遊べるので、脳の衰えを予防するには効果的です。

犬の探索欲求を満たすような宝探し遊びなど、飼い主さんと一緒に遊ぶことも認知症予防に大変効果的です。

そのような時間をたっぷり作ってあげて下さい。

【ストレス解消おもちゃの参考記事】

犬のストレス解消にお勧め!夢中になれるおもちゃ8選!

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対応の工夫で認知症を予防する

飼い主さんとの関係は、犬の認知症の予防にもっとも大きな影響があると言って良いのではないかと個人的には思っています。

飼い主さんとのコミュニケーションがよければ、普段の観察も細かくでき、認知症の兆候に早く気づくこともできると思います。

早く気づくことができれば、早くから対応策を考えることもできます。

人の認知症の予防では、アニマルセラピーに代表されるように、動物との触れ合いは効果的であると言われます。

動物と触れ合うことで、記憶、運動、会話、愛情、責任感が刺激され、そのような刺激が全て認知症の予防に繋がるのです。

犬の認知症も、飼い主さんとのコミュニケーションの中ではそれと同じようなことが起こるわけで、犬は、人との良好な関係の中では嬉しさや楽しさを感じることができます。

このような感情は、快刺激となって脳を活性化させ、認知症の予防に繋がるのです。

早期発見の重要性

認知症は、早期に異常を発見し、病気の進行に対しての予防策を取ることが大事です。

目立つ症状は、認知症がかなり進行してからしか表れないことも多いです。

明らかに進行してしまってから予防策を取っても、あまり効果があがらないことも多いです。

認知症は、初期であるほど進行の予防効果が高く、犬の生活の質をよりよく保てるのです。

また、認知症を疑うような行動の異常があったとしても、認知症ではなく、他の病気の可能性もあります。

老化によって、視覚や聴覚も鈍くなり、老犬は自分の周囲のことを認識しづらくなっています。

そのために恐怖心があってそれまでと違うような反応を見せるのかもしれませんし、脳に病気が発生している可能性もあります。

高齢の犬では特に脳腫瘍の可能性も高くなります。

【参考記事】

見逃さないで!その症状は犬の脳腫瘍の進行かもしれない

老犬に多い前庭疾患 脳腫瘍との違いは?観察と看護の注意点

普段と違って様子がおかしいと感じる時は、何よりも医療の判断を仰ぐことが第一です。

そして、認知症であったなら、早期に予防策を検討することもできます。

異変に早く気づくことができるのは、いつもの様子をよくわかっている飼い主さんならではです。

飼い主さんとの絆

認知症を予防するには、飼い主さんとの絆の強さが一番大事な要素と私は思っています。

予防対策をしても、認知症は脳の病気ですので、残念ながら発症する時はするもので、完治させることもできません。

でも、たとえ認知症になっても、どのような時も、犬が全てを委ねる相手は飼い主さんです。

良い栄養素を考えるのも、散歩を一緒に楽しむのも、遊びを工夫するのも、犬の表情や様子の変化に早く気づくのも、予防対策のすべては、飼い主さんが犬を想う深い愛情が根底にあってこそです。

私は職業柄、認知症の人との関わりは多いですが、認知症は、その病気がその人のプロフィールなのではなく、その人の病気にすぎないのです。

物事を正しく認識する力や記憶が失われても、感情は残り、心を通わせることもできます。

厚生労働省のHPにある検討会資料の中で(認知症がまだ痴呆という呼称だった頃のものでかなり古いですが)、認知症高齢者に対する接し方の基本がまとめられていました。

人に対するこの対応は、犬の認知症の対応方法にも当てはめて、十分応用できると思います。

~痴呆性高齢者への接し方~

  • 不安感をとる工夫をする。
  • 楽しい明るい気分で接する。
  • 相手のペースに合わせて。ゆっくり。
  • 目をみて話しかける。
  • 穏やかな口調ではっきりと。
  • 指示はなるべく簡潔に。
  • 近くで話すこと。面接の距離。
  • 理屈で討論はさける。
  • 間違った言動を受け入れる。
  • 一人で抱え込まない

出典元 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0621-5b.html

(2004年より「痴呆」という呼称は「認知症」に統一されている)

言語を持たない犬に対しては、なおさら意識して、その姿を受け入れ、こちらから寄り添うことが必要と思います。

 

まとめ

犬の認知症は人のアルツハイマー病と似ていると言われ、予防対策には、栄養や適度な刺激、正しい対応方法などがあげられます。

それには飼い主さんとの良好な関係がベースになることは、言うまでもありません。

仮に認知症を発症しても、早期に対処することによって、極端な進行を予防して犬の生活の質をできるだけ長く保たせていくことはできます。

犬が認知症になれば介護の問題などは出て来ますが、喋ることのできない愛犬の気持ちを理解し、体も心も守ってあげられるのは飼い主さんだけです。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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