犬の認知症の予防対策 必要な栄養・刺激・対応方法のポイント

犬にも認知症があり、発症メカニズムは人のアルツハイマーと似ているということがわかっています。

しかし発症の要因は一つではなく、そこにはいくつかの条件が重なっています。

現時点でわかっている発症要因を減らして暮らすことは、認知症の予防のためには効果的と考えられます。

今回は、犬の認知症を予防する為に日常の中で工夫できることについて説明します。

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犬の認知症は予防できる

認知症とは、成長して一旦発達した知能や記憶などの脳の機能が、病気その他の原因によって低下することです。

そして物事を認識できなくなり、生活上の障害を来たすことを指します。

認知症の原因になる病気は複数あるので、「認知症」とは一つの病気のことではなく、そのような症状全て、つまり「症状群」のことをこのように呼んでいます。

人において、認知症の原因になる病気はアルツハイマー病がもっとも多いのですが、認知症の犬のomega3脳もまた、人のアルツハイマー病と同様の脳の変性が見られることがわかっています。

しかし、相違点もある為、現時点では、犬の認知症=アルツハイマー病という呼び方はしません。

ただ、その相違点は、根本的な人と犬の寿命の違いから見られるものであり、犬の認知症=アルツハイマー病と考えても良いと考える研究者もいるようです。

【犬の認知症はどんな病気か?】

徘徊は犬の認知症の症状のひとつ 諦めずにまずは診断を!

認知症の予防の鍵は脂質

脳の変性を起こす要因の一つに、フリーラジカル(活性酸素)の蓄積があげられています。

フリーラジカル(活性酸素)は、いわゆる「体を錆びさせる」と言われる物質であり、酸化作用により細胞を老化させ、よく美容の大敵になる物質としてもよく耳にするかと思います。

このフリーラジカル(活性酸素)は、呼吸で取り入れた酸素の代謝副産物であり、特に酸素を多く必要とする脳には発生しやすくなります。

これを除去して蓄積させないようにすると、認知症リスクを減らすことにもなります。

また、認知症には好発の犬種があるというデータがありますが、それには不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)が関与していることが予測されます。

認知症の犬の血液中には不飽和脂肪酸の量が少ないということが指摘されており、この栄養素の不足が発症リスクを高めるのではないかと考えられています。

【不飽和脂肪酸と認知症の関係について】

犬の認知症が始まる年齢と発症しやすいとされる犬種について

このような認知症との関わりがわかっている要因に対処していくことは、犬の認知症の予防に有効であると考えられます。

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栄養バランスで認知症を予防する

身体は、基本的に口から摂る食べ物の栄養素で作られるものです。

健康と食は切り離せない関係にあります。

どのような病気を予防する為にも、栄養バランスの検討は欠かせません。

認知症にも、発症に深く関わりのある栄養素が欠けることのない食生活の工夫は、認知症の予防対策として重要なのです。

オメガ3脂肪酸

認知症の発症は、不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)の関わりがあることが解明されています。

不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)は体内で作ることができないので、口からの補給が必要です。

少しややこしい話になりますが、不飽和脂肪酸には、多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸という種類があります。

このうち、認知症に関与するのは多価不飽和脂肪酸の方です。

そしてその中の、オメガ6系とオメガ3系という脂肪酸のバランスが重要とされるのですが、特にオメガ3は不足しやすい脂肪酸であるため、意識して摂るようにしなければなりません。

DHA・EPAという、脳に良いことで有名な栄養素がありますが、これらはオメガ3系脂肪酸です。

人のアルツハイマー病にもDHAの不足が確認されており、認知症予防のためにDHA・EPAを積極的に摂取することが推奨で、近年はこのタイプのサプリメントも多く存在しています。

そして、人と同じように、やはり犬の認知症予防にもDHA・EPAの補給が有効であるとされているのです。

犬の認知症の治療に対して、その進行を予防する目的で獣医師もこれらのサプリメントを処方することがあります。

つまり、認知症予防には、普段からオメガ3系脂肪酸を意識して、食事やサプリメントで取り入れることが効果的ということになるのです。

このように、オメガ3系脂肪酸が犬に重要なことは知られているので、それを意識して加えた市販のフードもあります。

しかし、オメガ3系オイルは手軽に手に入ります。

えごま、亜麻仁、サーモンオイルなどを普段から食事にほんの少量、滴下して使用すれば、認知症予防に有効な食習慣を作ることができます。

フリーラジカル(活性酸素)を除去

フリーラジカル(活性酸素)は、体内で増えすぎると細胞の酸化(老化)現象を起こします。

これはアルツハイマー病だけではなく、ガンなどの発生にも関与が指摘されていて、蓄積すると体に悪影響があるものです。

人も犬も、認知症の予防には、このフリーラジカル(活性酸素)を除去すべきであるとされています。

除去するためにはどうしたらよいのでしょうか?

簡単に言うと、フリーラジカル(活性酸素)を除去する=抗酸化作用のある栄養素を取り入れるということです。

抗酸化作用のある栄養素には、ビタミンEやビタミンC、βカロテン、フラボノイドなどがあり、このような栄養素は、かぼちゃ、にんじん、ブロッコリー、りんごなどの果物や野菜に多く含まれる栄養素です。

このような食品をバランスよく含んだ良質のフードを選ぶことや、サプリメントとして補うことも認知症の予防に効果があると考えられます。

【オメガ3系脂肪酸・抗酸化サプリメント】

犬の認知症にサプリメントが期待される理由とお勧め7品

適度な刺激で認知症を予防する

認知症の発症には、環境も大きな要因の一つです。

単調で刺激のない環境の中では、脳が活性化されにくくなります。

認知症の予防には、脳を適度に働かせるような生活習慣をつけることが重要です。

たとえば、新しい経験をすることや、五感に働きかけるような快い刺激、簡単な問題を解決する遊びなどは脳の活性化に適しています。

このような刺激は脳神経のネットワークを活性化することがわかっているので、認知症の予防に効果的なのです。

脳を柔軟に働かせる習慣は、脳が衰えるのを予防し、犬が年をとって老犬になっても、記憶力や知力を維持して脳を若々しく保てることになります。

散歩

散歩は、単純に運動という目的だけではありません。

散歩は、外の空気に触れて匂いを嗅ぐことや音などの刺激を受けることができ、日常に変化をつけることができる、犬にとっては大事な時間です。

そしてそれは認知症の予防に必要な習慣でもあります。

も年を取るに連れ、筋力低下、視力や聴力が衰え始めて、若い頃のように早く歩けなくなるかもしれません。

「だから散歩に行かなくてよい」のではなく、「だからこそあえて散歩に行く」のであり、散歩は認知症の予防には重要なことなのです。

ただ、犬の体調や体力に合わせて、よけいな負担のないようにアレンジしてあげましょう。

いつも同じコースではなく、少し変化をつけてみるのもよい刺激になります。

歩行に不安が出て来るようになったら、できるだけ歩きやすい道を選び、途中で公園に寄るなどの休憩を入れながら、ペースを落としてやって下さい。

そして、歩けない時はカートを利用するという方法もあります。

散歩は、歩いて運動することだけが全てではないのです。

【老犬の散歩で注意すべきこと】

老犬が散歩で歩かない時・歩けない時の対応について

遊び

遊びは子犬だけのものではなく、老犬に対しても、好奇心を刺激して認知症の予防になります。

知育おもちゃと言って、中におやつやフードなどを詰め、遊びながら頭を使ってそれを取り出すタイプのおもちゃがあるので、そのようなものを与えてみるのも良いでしょう。

最近は知育おもちゃの種類も増えていて、犬の興味を惹くような工夫がされています。

おやつを取り出すという目的を持って夢中で遊ぶことは、脳の衰えを予防するのに効果的です。

また、犬の探索欲求を満たすような宝探し遊びなど、飼い主さんと一緒に遊ぶことも認知症予防に大変効果的ですので、そのような時間をたっぷり作ってあげましょう。

【ストレス解消おもちゃ】

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対応の工夫で認知症を予防する

飼い主さんとの関係は、犬の認知症予防にもっとも大きな影響があると言って良いのではないでしょうか。

飼い主さんと良いコミュニケーションが取れていれば、普段の観察も密になりますので、認知症の兆候を早期に発見してそれに対処することも可能になります。

また、人の認知症予防では、アニマルセラピーに代表されるように動物との触れ合いは効果的と言われます。

動物と触れ合うことは、記憶、運動、会話、愛情、責任感が刺激されることになり、そのような刺激が全て認知症の予防に繋がるのです。

犬の認知症にとっても、飼い主さんとのコミュニケーションの中ではそれと同じことが起こるわけで、犬は人との良好な関係の中で嬉しさや楽しさを感じることができるのです。

これらの感情は快刺激となって脳を活性化させ、認知症を予防することに繋がります。

早期発見の重要性

認知症は、早期に異常を発見し、進行の予防策を講じることが大事なことです。

顕著な症状は認知症がかなり進行してから表れることが多いのですが、明らかに進行してしまってから予防策を取っても、目に見えるような高い効果は望めないことも多いです。

認知症の初期であるほど予防効果は高く、犬の生活の質をよりよく保てるのです。

また、認知症を疑うような行動の異常が出現しても、その原因は認知症ではなく、他の病気などの可能性もあります。

視覚や聴覚も老化によって反応が鈍くなりますし、老犬は周囲を認識しづらくなっています。

そのための恐怖で、過敏な反応を見せることがあるかもしれませんし、または身体や脳に何か疾患が生じている可能性もあります。

高齢の犬では特に脳腫瘍の可能性も高くなります。

*参考記事

見逃さないで!その症状は犬の脳腫瘍の進行かもしれない

老犬に多い前庭疾患 脳腫瘍との違いは?観察と看護の注意点

何か普段と違う、様子がおかしいと感じた時は、まず医療の判断を仰ぐことが第一です。

さまざまな異変に対して、早期に予防策を検討できるのは、傍にいていつもの様子をよくわかっている飼い主さんならではです。

飼い主さんとの絆

 

私自身、認知症を予防するには、飼い主さんとの絆の強さが一番大事な要素と思っています。

予防対策をすることが進行を遅らせるのに有効であったとしても、認知症は脳の病気が原因ですので、残念ながら発症する時は発症してしまいます。

しかし、たとえ認知症になっても、どのような時も犬が全てを委ねる相手は飼い主さんだけです。

予防に良い栄養素を考えるのも、散歩を一緒に楽しむのも、遊びを工夫するのも、犬の表情や様子の変化に早く気づくのも、そのような予防対策のすべて、犬を想う深い愛情が根底にあってこそのものです。

私は職業柄、認知症の人との関わりも多いのですが、認知症の人は、その病気がその人のプロフィールなのではなくその人の一部にすぎません。

物事を正しく認識する力や記憶が失われたとしても、感情は残っていて、嬉しければ笑顔を見せるし、心を通わせることもできます。

厚生労働省のHPに保存してある検討会資料の中で(認知症がまだ痴呆という呼称だった頃のものでかなり古くはありますが)、認知症高齢者に対する接し方の基本がまとめられていました。

人に対するこの対応は、犬の認知症の進行予防の為の対応方法として、十分応用できるはずです。

《痴呆性高齢者への接し方》

  1. 不安感をとる工夫をする。
  2. 楽しい明るい気分で接する。
  3. 相手のペースに合わせて。ゆっくり。
  4. 目をみて話しかける。
  5. 穏やかな口調ではっきりと。
  6. 指示はなるべく簡潔に。
  7. 近くで話すこと。面接の距離。
  8. 理屈で討論はさける。
  9. 間違った言動を受け入れる。
  10. 一人で抱え込まない

出典元 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0621-5b.html

(2004年より「痴呆」という呼称は「認知症」に統一されている)

まして言語を持たない犬に対しては、尚更、意識して私達の方から寄り添うことが必要なのではないでしょうか。

 

まとめ

犬の認知症はいくつかの要因が重なることで発症し、その病態は、人のアルツハイマー病と似ていると言われています。

その予防対策には、栄養、適度な刺激、正しい対応方法などがあります。

仮に認知症を発症しても、早期に対処することによって、極端な進行を予防し、犬の生活の質をできるだけ長く保たせていくことは可能です。

しかし、認知症はストレスがかかると一気に進行することもありますので、予防対策とは言っても無理強いをしないということが大事です。

犬が楽しい、嬉しいなどの快刺激を感じられるということがポイントであり、それには飼い主さんとの良好な関係がベースになることは言うまでもありません。

犬は言葉で思いを発することはできません。

しかし不安や恐怖の感情は人と変わりなく、それを理解し守ってあげられるのは飼い主さんだけです。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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