殺処分の現状と保健所の引き取りの理由 飼育放棄される犬達  

保健所や愛護センターという場所に収容されている犬猫達のことをご存じでしょうか?

保健所に引き取りされた飼い主のいない犬猫達は、法令に基づき、里親に譲渡される、または殺処分されます。

人に飼われていた犬猫が、何らかの理由でその飼い主に飼育放棄され、持ち込まれるパターンも多いです。

今回は、保健所での殺処分の現状と飼育放棄の理由について解説します。

犬猫の殺処分数の推移は現在減少傾向にある

犬猫は以下の法令に基づいて各自治体にある保健所が引き取りし、収容することが義務付けられています。

犬及び猫の引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置について

第1-2.

都道府県知事等は、所有者から犬又は猫の引取りを求められたときは、終生飼養、

みだりな繁殖の防止等の所有者又は占有者の責任の徹底を図る観点から、引取りを求

める相当の事由がないと認められる場合にあっては、法第35条第1項ただし書の規定

に基づき、引取りを行わない理由を十分説明した上で、引取りを拒否するよう努める

こと。ただし、生活環境の保全上の支障を防止するために必要と認められる場合につ

いては、引取りを求める事由、頻度及び頭数に応じて、飼養の継続及び生殖を不能に

する不妊又は去勢その他の措置に関する必要な助言を行った上で引取りを行うこと。

出典元 環境省  http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/nt_h25_86.pdf

現在、保健所は、犬猫の所有者からの持ち込みに対して、その理由によって拒否することが可能になっており、この中には引き取り拒否のことについても追加されています。

また、保健所に保管している動物の処分については、以下のように定められています。

第4.保管動物の処分は、所有者への返還、飼養を希望する者への譲渡し及び殺処分

環境省が発表したデータによれば、H28年度の年間犬猫の引き取り数の合計は113,799匹で、そのうち返還された数が13,127匹譲渡された数が44,259匹殺処分された数が55,998匹となっています。

殺処分の内訳は、犬が10,424匹(そのうち子犬が1,943匹)、猫が55,998匹(そのうち子猫が29,654)であり、圧倒的に子猫が多いことがこの数字からわかります。

しかし、H27年度の犬猫の殺処分数の合計は82,902匹であり、あくまでも数字だけですが減少しているとも言えます。

過去の推移を見ても、殺処分数は減少しています。

下のグラフは(見にくくてすみません)、過去10年の推移を表しています。

《引き取り数の推移》 :《殺処分数の推移》のグラフ

出典元 環境省 http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

自治体の努力による里親探し

データ上、殺処分数は確かに減少していますが、その理由としては保健所が引き取りを拒否できるようになったということの影響は大きいと思われます。

犬猫の無責任な飼育放棄を保健所側が拒否、指導することができるようになり、保健所の収容数を減らすことが可能になった為に、結果として殺処分される犬猫が減少したと言えます。

また、それぞれの自治体の努力によって、犬猫が新しい里親へ譲渡される機会が多くなったとも言えるでしょう。

しかし、引き取り拒否された犬猫はどうなったのでしょうか?

そこにはまた別の問題が生じているということが考えられます。

ボランティアや団体による引き取り

保健所だけでなく、ボランティアによる犬猫の引き取り、里親探しや普及活動という努力こそ殺処分減少の理由であるという現実もあります。

個人や民間の団体の協力がなければ殺処分回避は困難で、中には民間にほとんど依存している自治体もあるようです。

犬猫が保健所に収容される理由

保健所が犬猫を保健所に収容する状況は様々です。

迷子の収容

飼い主がいるにも関わらず、何らかの理由で迷子になり、一般の人や警察に保護されて保健所に収容されるというパターンです。

迷子になった経過には、ノーリードや放し飼いなどという非常識な飼い主の責任、散歩中にハーネスや首輪が抜けた、自宅の庭や部屋の隙間から逃げ出した、大きな音にパニックになっていなくなった、または、誘拐されて放棄されたというようなものもあるようです。

迷子になった犬猫は、「いずれ帰ってくるだろう」などと思っていても一人で帰れないことがほとんどです。そのことを飼い主さんは知っておいて下さい。

保健所では保護して収容した犬猫に関して、犬は狂犬病予防法に基づいて一定の保管期間が定められていることに加え、公示期間(最低2日間)というものが設けられています。

公示期間中は、飼い主に返却する為に保健所のHPなどに保護情報が掲載されます。

しかしその期間を過ぎた犬猫に関して、引き続き里親譲渡へと進めるのか殺処分になるのかは自治体ごとに異なります。

野犬の捕獲

野犬は、狂犬病予防法に基づいて捕獲・抑留されます。

首輪や鑑札のない、所有者がいないと思われるような野犬であっても、同じように公示期間を経た後にその犬の評価をおこない、できる限り殺処分でなく生存の機会を与えるよう(譲渡できるように)努めなければならないとされています。情報の出典元 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/dl/070501-01.pdf

飼い主の持ち込みによる引き取り

飼い主が自ら自分の飼っていた犬猫を放棄し、保健所が引き取りをするというパターンはH28年度のデータで、犬が4,663匹、猫が11,061匹です。(子犬、子猫を含む)

これは多いのか少ないのか、どのように感じられるでしょうか。

飼い主からの放棄は、保健所の引き取りの中で約1割強の割合であるようです。

飼い主放棄の引き取り理由

保健所が、飼い主からの犬猫の引き取りを理由によって拒否できるようになったとは言え、飼育放棄する側の理由には言葉を失うものもたくさんあります。

  • ペット禁止の賃貸物件で犬猫を飼っていたのがばれた
  • 引越しすることになったがそこでは飼えない
  • 無計画な繁殖により増えた
  • 大きくなったら可愛くない
  • 家族で旅行に行く予定があって家を留守にするので
  • 犬猫が病気になり大変なので世話できない
  • もう死ぬかもしれないがそれを見たくない
  • 飼い主が亡くなり家族はいらない

私自身、犬と暮らすまでこのような情報に触れる機会もなく、犬が身近にいることでこのような現実に関心を持つようになりました。

その頃に観たある動画では、保健所の職員と猫を持ち込んだ飼い主とのやり取りがなされていました。その飼い主は子供を含む家族連れで、旅行に行くという理由で猫を放棄しに来ていました。

そして、猫が殺処分になると説明されますが、それでも父親は悲しむ子供達を説き伏せます。

「旅行と猫とどっちを取るのか。楽しみにしていた旅行がだめになってもいいのか。」と熱心に言い聞かせ、最後は子供達も泣きながら同意します。母親は「また飼えばいいから」となだめます。

飼い主からの飼育放棄の犬猫は、基本的には譲渡の道ではなく殺処分になります。

保健所に引き取りしてもらえば、里親探しを何とかしてくれると安易に考えている、または勘違いしている飼い主も多くいます。

しかし、殺処分を知っても心を痛めることのない飼い主もいます。

保健所には純血種も多く収容されている

保健所に引き取りされる犬猫の中には、純血種もたくさんいます。

いわゆる流行とされた犬種や猫種がいとも簡単に飼育放棄されます。

思っていたカラーと違う、理想とする体格ではない、飽きた、流行の種類に買い替えたいという、呆れた理由で、それまで可愛がっていたはずの犬猫を放棄し、洋服の流行でも追っているかのように「買い替える」飼い主がいることを想像できるでしょうか。

終生飼育・自分の犬を捨てないで

飼うなら保護犬や保護猫をという呼びかけは多いですが、里親として譲渡されるには条件があり、それに該当しない人もたくさんいます。

また、譲渡は保健所だけではなく団体などでもおこなっていますが、譲渡元が必ずしも良心的であるとか信頼できるとは限らない現実もあります。

犬猫を購入することに対する批判もあるのを知っていますが、私もまた「購入した飼い主」です。

しかし、私が愛犬と共有する思い出や一緒に過ごしている時間は何より愛しくかけがえのないものであり、それは私にしかわからないことです。

どこから迎えていても、愛される為に生まれ幸せになる為に委ねられた命を全うさせることが私の義務だととらえています。

世間の飼い主さんもまた、いろいろな経緯で犬猫達と暮らし始め今があるのでしょう。

殺処分される犬猫達を増やさない為には、その小さな家族を守り終生飼育することが、どの飼い主にでもできる、しなければならないことではないかと思っています。

まとめ

保健所での犬猫の殺処分は、データ上、年々減少していますが、そこには自治体の努力や民間の協力が欠かせません。

保健所に持ち込もうとして引き取り拒否された飼い主が、そのまま飼育しているのかということにも疑問が残り、ここにも新しい問題があると言えるでしょう。

里親条件をクリアできる人が保健所の保護犬や保護猫の飼い主になるということは、もちろん大切なことだと思います。

しかし何よりも基本的なことは、すでに犬猫と一緒に暮らしている飼い主が、終生飼育をし、一生責任を持つということだと思います。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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