【しっぽでわかる犬の病気】しっぽが下がる時・痛がる時 

犬は言葉を喋らない分、普段からボディランゲージで感情を表現します。しっぽはそのための重要なパーツであり、しっぽの動きには様々な意味が込められているのです。

犬のしっぽが下がる時は、何となく動きも顏も元気がないように見えます。しっぽが下がるだけでなく痛がるのであれば、いくつかの病気の可能性もを疑うべきかもしれません。

今回は、犬のしっぽが下がる時、痛がる時にはどのようなことが考えられるのかについて解説します。

スポンサーリンク

犬のしっぽが下がるのはどんな時?

犬のしっぽが下がる動作には、犬が体を小さく見せているという意味もあります。

犬が自分の体を小さく見せたい気持ちの表れで、しっぽが下がることがあるのです。それには次のような状況が考えられます。

  • 自分より相手が優位な存在と認めた時、相手にへりくだるという意味でしっぽが下がる
  • 自分は弱い存在であることを相手にアピールしたい時に下がる
  • 強いストレスや恐怖を感じている時に下がる

他にも、何らかの不快感を味わっている時、今置かれている環境や人や他の犬に馴染めず緊張している時にもしっぽが下がることがあります。

また何か心に傷を負っている犬などでは日常的にしっぽが下がるのも珍しいことではありません。

しかし、しっぽが下がるのは感情の動きだけでなく、犬の体に何らかの異常がある時にもやはりしっぽが下がる姿がよく見られます。

しっぽが下がるのは体の具合が悪い時のサインでもあるのです。

もし恐怖やストレスが生じるような状況もなく、感情の動きによるものと考えにくい場面で犬のしっぽが下がるのなら、体の異常があるのではないかということを疑って下さい。

スポンサーリンク

「しっぽが下がる」に「痛がる」が加わると何が考えられる?

犬は言葉を喋れませんので、体の具合が悪くても、自分でそれを言葉にはできず、痛くても痛いと飼い主さんに伝えることができません。

しかし、どこかに痛みがあって、体に触れただけで「ギャン」というような激しい鳴き声をあげ痛がることがあります。震えて痛がることもあります。また、触られたくないがために体を丸めて警戒し、威嚇する犬もいます。

それは全て痛がるしぐさと考えられるので、そのような様子が見られる時にはどこを痛がるのかをまず観察してみて下さい。

犬は、しっぽを痛がるのみに限定せず、どこの部位であっても何か体調に異変がある時にはしっぽが下がることが一つのサインです。

もちろん、しっぽの周囲を痛がるのなら、しっぽが下がるのもその痛みが直接的な原因になっている可能性があります。この場合は、腰、お尻、しっぽに何らかのトラブルが起きていることが考えられます。

しっぽの周辺を痛がる理由に考えられるものとして、しっぽの外傷、肛門嚢炎などの肛門周囲のトラブル、腰椎ヘルニア、馬尾症候群などがあり、痛がるためにしっぽが下がる原因になります。

肛門嚢炎

犬の肛門には、肛門腺という、においを出す腺があり、これが袋状になって肛門嚢というものを作っています。

この肛門嚢から出る分泌液は個体を判別できる、その犬ならではのにおいがあり、排便時のマーキングにも使われるものです。

犬にはお互いのお尻の匂いを嗅ぎ合って挨拶をするという行動が見られますが、それはここから出される分泌液のにおいを嗅いでその個体を確認しているのです。

この分泌液は、自分で全て排泄できる犬の場合は問題ないのですが、小型犬などは自分で排泄する力がなく、肛門嚢に貯留してしまいます。この為、月に一度くらいの頻度で肛門腺を絞って貯留している分泌液を出してやるというケアが必要になります。

これが「肛門腺しぼり」と言われるものですが、これは飼い主さん自身で上手にできる人もいますが、動物病院やトリミングサロンなどでもケアのメニューの中にあります。

しかし、その手入れをせずに肛門腺液が溜まったまま放置していると、そこに細菌感染が加わることによって炎症をきたすことがあります。これが肛門嚢炎です。

この炎症を起こすと犬は痛がるようになり、さらに悪化してしまうと、肛門腺が破裂して出血や排膿が起こります。

病状が進行すると、抗生剤の内服だけでは治療が困難になるので、外科的に切開するなどの処置が必要になります。

このような病気がある場合は、肛門周囲を痛がるようになってしっぽも下がるようになります。

肛門腺について、犬種によってはしぼる必要性があることを知らない飼い主さんも少なくありません。しっぽが下がる、痛がるなどで発症して初めて肛門腺という言葉を知ることもあるようです。

自分で分泌液を排出できない犬は定期的に肛門腺絞りをすることによって肛門嚢炎も予防することができるものです。

外傷

しっぽの外傷には脱臼や骨折があります。このような外傷は、しっぽが下がる、痛がるという原因になります。

しっぽの外傷は、正しくは尾椎間脱臼、または尾椎骨折と言います。

しっぽの外傷は、それほどの力が加わらなくても容易に起こってしまう外傷ですので注意が必要です。

しっぽを人間に踏まれた、どこかに挟んでしまった、しっぽを引っ張られた、しっぽから床に転倒したなどが骨折の原因になります。

外見的にもしっぽが折れ曲がって、しっぽが下がる、下がったまま動かない(動かせない)、痛がるという症状が出現します。

特に小型犬は骨も小さいだけに、ちょっとしたことで起こりやすい外傷です。

しっぽにはたくさんの神経が通っているので、怪我でしっぽの神経まで傷つけてしまうと、しっぽが下がる、痛がる、動かないというだけではありません。神経損傷に関連した症状、例えば排尿や排便困難などの深刻な症状を併発することもあります。

しっぽはよく動く部位でもありますので、どうしても安静が保ちにくく、しっぽの外傷は治療が困難になりやすいです。神経や血流障害を起こしてしまうと、受傷した場所よりも先の方の組織が死んでしまうことがあり、その場合はしっぽを切ってしまう(断尾)処置もやむを得ないということになってしまいます。

むやみに犬のしっぽを引っ張ることなどのないように、特に小さい子供に見られがちなこのような行動は十分に気を付けなければなりません。

馬尾症候群の可能性も高い

犬の脊椎(背骨)は、腰からしっぽに向かって多数の神経の束があり、まるで馬のしっぽのような形になって伸びています。そして骨で囲まれたトンネルの中を通っています。

この神経の束のことを馬尾神経と呼びます。

これらの神経は、膀胱や肛門、後ろ足などの神経へと繋がっていて、その知覚や運動を支配しているとても重要なものです。

馬尾症候群とは、この神経の束のいずれかの部分に異常が生じることです。

馬尾神経に異常が生じると、その症状は神経の支配下にある部位に影響を及ぼします。馬尾症候群で影響を受けるのは、尾骨神経、坐骨神経、骨盤神経、陰部神経などです。

原因

馬尾症候群の原因になるものは、先天的なものと後天的なものがあります。

先天的な原因による馬尾症候群では、骨の奇形などがあります。奇形のために神経が骨の圧迫を受けて損傷しこの病気を発症します。

先天的なものは中型~大型犬の3~8歳齢くらいのオスに多いと言われ、好発犬種には、ジャーマンシェパード、ボーダーコリー、ロットワイラー、ラブラドールレトリバーなどが挙げられます。

後天性の馬尾症候群では、しっぽの骨折や脱臼などによる外傷、腰椎ヘルニアなどが原因となり、犬種を問わずに発症します。

症状

しっぽの付け根を気にしている、痛がる、しっぽが下がる、しっぽを動かせない、おしっこの感覚がなく自分で出せない、排便時に痛がる、排便コントロールができずに便失禁する、後肢がおかしな動きになって跛行する(びっこをひく)、ジャンプができない、階段の上り下りができなくなるなどの症状があります。

しっぽの付け根を気にして痛がる症状から、最初はこのような病気とはわからずに、しっぽの皮膚に何かトラブルがあると考えて病院を受診する飼い主さんも多いそうです。

馬尾症候群の病状が進行していくと、後ろ足の筋肉の萎縮や麻痺などの症状が明らかになってきます。

これらの症状は、馬尾神経の支配下にある尾骨神経、坐骨神経、陰部神経が関与しているために起こる症状です。

治療

馬尾症候群がまだ軽症の場合は、安静、日常動作の制限、鎮痛剤や消炎剤の投与により経過観察をします。また、排泄トラブルがあればその間は対症的に排泄コントロールをおこないます。

しかしそれらの治療の成果が見られず、神経症状が目立つ場合などは、外科的に手術を行うという治療の適応にもなります。

馬尾症候群の外科的治療(手術)は、まだ早い時期におこなった方が治療成績もよく、改善までにたとえ長期間かかったとしても改善例は70%あり、期待はできるようです。

まとめ

犬のしっぽが下がる理由には、精神的なものも感情の表現もありますが、痛がるのであれば何らかの体の異常を表すサインである可能性が高いです。

犬のしっぽが上がる、下がるというのは重要な表現方法で、犬のしっぽは言葉のように饒舌にいつも何らかの情報を伝えようとしています。

そしてその情報のひとつに病気も含まれているのです。

犬が病気の時はしっぽも下がることがほとんどで、しっぽ周辺を痛がる時は、主に下半身に関係する異常があると考えてよいでしょう。

愛犬の体に関心を持って日常的にケアをおこなえば、痛がるなどの症状の前に異常の早期発見も可能になるかと思います。

犬のしっぽが下がるのは、心身ともにあまりよいサインではないことが多いです。普段から、しっぽに表れる兆候も見逃さないようにしてあげて下さい。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

【おすすめ記事】

犬がぐるぐる 回る・しっぽを噛む・毛をむしる常同行動とは?

犬の椎間板ヘルニアの初期症状と進行レベルのグレード分類

スポンサーリンク