【しっぽでわかる犬の病気】しっぽが下がる時・痛がる時 

犬は言葉を喋らない分、ボディランゲージで感情を表現します。

しっぽはそのための重要なパーツであり、しっぽの動きには様々な意味が込められているのです。

犬のしっぽが下がる時は、何となく動きも表情も元気がないように見えます。

しっぽが下がるだけでなく、痛がるのであれば病気の可能性を疑うべきかもしれません。

今回は、犬のしっぽが下がる時、痛がる時にはどのようなことが考えられるのかについて解説します。

犬のしっぽが下がるのは2種類の理由

犬のしっぽが下がるしぐさには、大きく分けると2つの理由があります。

《犬のしっぽが下がる理由》

  1. 感情の表現
  2. 身体的に異常がある

犬のしっぽが下がる時は、犬が自分の体を小さく見せようとする時でもあります。

犬が自分の体を小さく見せたい時、体を小さく見せようとしてしっぽが下がる状況には、例えば次のような理由が考えられます。

  • 自分よりも相手が優位な存在と認めた時=相手にへりくだる意味でしっぽが下がる
  • 自分は弱い存在であることを相手にアピールしたい時
  • 強いストレスや恐怖を感じている時

その他にも、しっぽが下がることには犬の感情が表れます。

「何らかの不快感を味わっている」

「今置かれている環境や人や他の犬に馴染めずに緊張している」

というような時にもしっぽが下がる姿がよく見られます。

また、過去に虐待などで心に傷を負っている犬などは、しっぽが下がる姿も日常的に見られがちになり、珍しいことではありません。

しっぽが下がる時は犬の感情の動きがある時です。

そして、感情表現だけでなく、身体的に何らかの異常がある時にも、やはりしっぽが下がる姿が見られます。

しっぽが下がるのは、犬の体の具合が悪い時のサインでもあります。

犬にとって、恐怖やストレスが生じるような材料がなく、犬のしっぽが下がるシチュエーションが考えにくい場合、どこか犬の体に異常が生じているかもしれないと考えてみて下さい。

「しっぽが下がる」に「痛がる」が加わった時に考えられること

犬は言葉を喋れませんので、体の具合が悪くても、自分ではそれを言葉にできません。

痛みがあっても、痛いということを飼い主さんに伝えることもできません。

しかし、身体のどこかに痛みがあれば、少し体に触れただけでも「ギャン」というような激しい鳴き声をあげることがあります。

また、触られたくないがために、体を丸めて震え、警戒して威嚇する犬もいます。

それは全て犬がどこかを痛がるサインと考えることができます。

そのような様子がある場合は、どこを痛がるのかを観察してみて下さい。

犬は、しっぽを痛がる時だけでなく、しっぽ以外の異常であったとしても、何か体調に異変がある時にはしっぽが下がることが一つのサインです。

痛がる場所がしっぽの周囲にある場合は、痛みそのものがしっぽを上げられない、しっぽが下がる直接的な原因になっていると考えられます。

しっぽの周囲を痛がる時、トラブルは、主に腰、お尻、しっぽに起きていると考えることができます。

しっぽの周辺を痛がるトラブルとして挙げられるものには、しっぽの外傷、肛門嚢炎などの肛門周囲のトラブル、腰椎(椎間板)ヘルニア、馬尾症候群などがあります。

このようなトラブルが起きていると、しっぽを痛がる・しっぽが下がる原因になります。

【参考記事】

犬の椎間板ヘルニアの初期症状と進行レベルのグレード分類

肛門嚢炎

犬の肛門には、肛門腺という、においを出す腺があります。

これは袋状になっていて、肛門嚢というものを作っています。

この肛門嚢から出る分泌液は、犬の個体を判別できるようなその犬ならではのにおいがあり、うんちの時にこのにおいのある液も一緒に付けて、マーキングとして使われるのです。

犬には、お互いのお尻の匂いを嗅ぎ合って挨拶をするという行動がありますが、それは、ここから出される分泌液のにおいを嗅いで、その個体を確認しているのです。

この分泌液は、自分で全て出しきれる犬の場合は問題ないのですが、小型犬などでは、自分で出しきってしまう力がなく、肛門嚢に少しずつ貯留したままになっていきます。

このため、月に一度くらいの頻度で、肛門腺を絞って貯留している分泌液を出してやるというケアが必要なのです。

これがいわゆる、肛門腺しぼりと言われるものです。

飼い主さん自身が手技を身に着けていれば、家でも上手に出してやることもできますが、動物病院やトリミングサロンなどでも、ケアのメニューの中の1つです。

しかし、この手入れを怠って、肛門腺液が肛門嚢に溜まったまま放置していると、そこに細菌感染が起こり炎症になることがあります。

これが肛門嚢炎(こうもんのうえん)という病気です。

この炎症になると犬はお尻を痛がるようになり、さらに悪化してしまうと、肛門腺が破裂して出血や排膿が起こります。

初期のうちなら抗生剤で治療ができますが、病状が進行したものは治療が困難になり、切開手術などの処置が必要になります。

肛門嚢炎は、肛門周囲を痛がることやしっぽが下がる原因になります。

この肛門腺しぼりという処置が、自分の犬に必要であることを知らない飼い主さんもいるようです。

しっぽが下がる、痛がるといった症状が出て初めて、肛門腺という言葉を認識したという飼い主さんもいらっしゃるようなのです。

肛門嚢炎は、肛門腺しぼりが必要な犬に定期的にケアをすることによって予防することが可能な病気ですので、飼い主さんは是非知っておいて下さい。

外傷

しっぽの外傷は意外と多く、しっぽには脱臼や骨折が起こることがあります。

このような外傷では、しっぽが下がる、痛がるという症状が出現します。

しっぽの外傷の正しい病名は、脱臼は尾椎間脱臼(びついかんだっきゅう)、骨折は尾椎骨折(びついこっせつ)と呼ばれます。

しっぽの外傷は、それほどの力が加わらなくても容易に起こってしまうので、注意が必要です。

  • しっぽを人間に踏まれた
  • どこかに挟んでしまった
  • しっぽを引っ張られた
  • しっぽから床に転倒した

などの、ちょっとしたアクシデントが骨折や脱臼の原因になります。

しっぽを骨折すると、

  • しっぽが折れ曲がる
  • しっぽが下がる・下がったままで動かない(動かせない)
  • 痛がる

という症状が出現します。

特に小型犬は骨も小さいので、簡単に脱臼や骨折を起こしてしまいます。

しっぽは、たくさんの神経が通っている部位です。

怪我をしてしっぽの神経まで損傷してしまうと、しっぽが下がる、しっぽを痛がる、しっぽが動かないというだけではすまなくなります。

神経損傷に関連して、排尿困難や排便困難などの深刻な状態になることもあります。

しっぽは、犬の体の中でもよく動かすパーツでもあることからどうしても安静を保ちにくく、しっぽの外傷は治療が困難になりやすいです。

怪我によって神経障害や血流障害を起こしてしまうと、受傷した場所よりも末端の組織が死んでしまうことがあります。

その場合の治療としては、しっぽを切ってしまう(断尾)処置もやむを得ないということになってしまいます。

しっぽの外傷は、想像以上に多く、そして深刻になってしまう可能性があるのです。

普段から、むやみに犬のしっぽを引っ張ることなどしないよう、特に小さい子供に見られがちなこのような行動は十分に気を付けてあげて下さい。

馬尾症候群の可能性も高い

犬の脊椎(背骨)は、腰からしっぽに向かって多数の神経の束があって、まるで馬のしっぽのような形になって伸びています。

そして脊椎の中はちょうど骨で囲まれたトンネルのようなもので、その中を神経が通っています。

【参考記事】

犬の尻尾にはどんな種類がある?尻尾の形と骨のしくみ

この馬のしっぽのような神経の束のことを馬尾神経と呼びます。

これらの神経は、膀胱、肛門、後ろ足などの神経へと繋がっています。

そして、その部位の知覚や運動を支配している、とても重要なものです。

馬尾症候群とは、この神経の束のいずれかの部分に異常が生じる病気です。

馬尾神経に異常が生じると、その症状は、神経の支配下にある部分の働きに影響を及ぼして、症状として現れます。

馬尾症候群で影響を受けるのは、尾骨神経、坐骨神経、骨盤神経、陰部神経などです。

原因

馬尾症候群の原因には、先天的なものと後天的なものがあります。

馬尾症候群の先天的な原因では、骨の奇形などがあります。

奇形のために、神経が骨に圧迫され続けて損傷し、この病気を発症するのです。

先天的なものは、中型~大型犬の3~8歳齢くらいのオスに多いと言われています。

好発犬種:ジャーマンシェパード・ボーダーコリー・ロットワイラー・ラブラドールレトリバーなど

一方、後天性の馬尾症候群は、しっぽの骨折や脱臼などによる外傷、腰椎ヘルニアなどが原因となり、犬種を問わずに発症します。

症状

  • しっぽの付け根を気にしている
  • しっぽを痛がる、しっぽが下がる
  • しっぽを動かせない
  • おしっこの感覚が持てなくなり自分で出せない
  • 排便時に痛がる
  • 排便コントロールができずに便失禁する
  • 後肢がおかしな動きになって跛行する(びっこをひく)
  • ジャンプができない、階段の上り下りができなくなる

犬がしっぽの付け根を気にしたり痛がる症状は、最初はこのような病気とはわからずに、皮膚に何かトラブルがあると考えて病院を受診させる飼い主さんが多いそうです。

【参考記事】

ノミ対策は大丈夫?犬が尻尾の付け根を噛む・舐める

馬尾症候群の病状が進行していくと、後ろ足の筋肉の萎縮や麻痺などの症状が次第に明らかになってきます。

これらの症状は、馬尾神経の支配を受けている尾骨神経、坐骨神経、陰部神経が障害されるために起こる症状です。

治療

馬尾症候群がまだ軽症の場合は、安静・日常動作の制限・鎮痛剤や消炎剤の投与により経過観察をします。

また、神経症状としての排泄トラブルがあれば、対症的に排泄コントロールをおこないます。

しかし、それらの治療の成果が見られず、神経症状も目立つ場合などは、手術の適応にもなります。

馬尾症候群の外科的治療(手術)は、まだ早い時期におこなった方が治療成績もよいとされています。

改善までには期間が長くかかったとしても、最終的に改善する例は70%あり、手術への期待はできるようです。

【参考記事】

犬の椎間板ヘルニアの保存的治療 安静・薬・レーザーについて

犬の椎間板ヘルニア手術にかかる費用と治療の成功率について

 

まとめ

犬のしっぽが下がる時、痛がる症状もあるなら、それは体の異常を表すサインである可能性が高いです。

犬のしっぽが上がる、下がるは重要な表現方法で、そこには多くの情報があり、身体的異常もその情報のひとつなのです。

犬のしっぽが下がるのは、心身ともにあまりよいサインではないことが多いです。

できるだけ早くその異常に気付いてあげられるようにしてあげて下さい。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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