愛犬がてんかんとわかった時、今後どのような治療をするのか、この病気は治るのかということが不安になると思います。
そして検査や治療に費用はどのくらいかかるかという現実的なことも気になるのではないでしょうか。
そこで今回は、てんかん治療を続けて7年になる我が家の犬の例を参考に情報共有したいと思います。
てんかんと診断されるまでの大まかな流れ
てんかんと聞くと「泡を吹いて痙攣する」という大きな発作のイメージを持たれるかもしれませんが、発作には色々なパターンがあり、中にはわかりにくいものもあります。
てんかんの症状や発作の形については下の記事を参考にしてみて下さい。
【参考記事】
てんかんと疑われるような症状があった時、似た症状を示す他の病気と区別し診断を絞り込むために検査が必要です。
問診
医療機関を受診した時は、まず問診があります。
《問診内容》
既往歴・食欲・避妊去勢の有無・ワクチンの時期・発作の経過・発作後の様子など
これは私達が病院にかかる時も同じですよね。
基本的な情報について聞かれますが、かかりつけの病院の場合はカルテの情報があるので簡単ですみます。
この時に、発作の様子を撮影した動画などあれば診断材料の参考になります。
発作のことを口で説明するのが難しかったり、正確に記憶してなかったりもするのではないでしょうか。
うちの犬は、本格的な全般発作を起こす前に、部分発作とも言えるし何ともないかもしれないしという、気になる症状があったのです。
それを説明しても伝わりにくく、獣医師から動画を撮るように指導されていて、そうこうしているうちに大きな発作を起こしました。
発作中に動画を撮るのは飼い主さんも余裕がないと思いますが、できれば撮って診察に持参するといいですよ。
神経学的検査
- 犬の姿勢
- 歩行状態
- 麻痺や知覚
- 筋肉の緊張
- 反射
など、基本の項目がありそれに沿って獣医師が犬を触りながら診察します。
血液検査
代謝性の病気や感染性の病気がないかを調べます。
血液は検査項目が多数あるので、何を調べるか項目を絞らなければなりませんが、それだけ情報をたくさん得ることができる検査です。
心電図検査
不整脈などの心疾患がないかを確認する為に心電図検査もおこなわれます。
不整脈には意識を失うような病気もあるので、それと区別するためです。
ここまでの検査で、脳に問題があるのかそれ以外の問題なのかの診断の目安は大体つくようです。
獣医師の方針もあると思いますが、うちの犬が大きい発作を起こした時はここまでの検査を一通りしました。
画像検査
そして、脳に問題があると予測された場合、それが何の病気か確認するにはCTやMRIの画像診断が必要です。
CTは放射線、MRIは磁気を使用した検査です。
CTやMRI検査を行う時は、犬は人間のようにじっとしていることはできないので、動かないように全身麻酔で眠らせておかなければなりません。
人間がこのような検査を受ける場合は、CTの方が検査時間も短く負担が少なくてすみますが、麻酔下の検査の犬にとっては条件は同じです。
どちらの画像検査もそれぞれ利点はあります。
でもこの場合は細かい部位がより詳細に見えるMRI検査が適していると思われます。
高度な検査ですが、最近は大学病院だけでなく、MRI装置やCT装置を持っている民間の動物病院も増えています。
うちの犬はCTもMRIも受けました。
うちは最初にCT検査を受け、そこで診断に誤りがありました。
診断の確認の為にセカンドオピニオンにてMRI検査を受けたということであり、本来は必要なかった検査まで行ったことになります。
ちなみに人間のてんかんは脳波の検査が欠かせません。
脳波を測定すると、てんかん独特のスパイクという波形が確認できるのでそれが確定診断の材料にされます。
ただ脳波検査は長時間かかる上に測定中は安静が必要なので、犬にとってはハードルが高い検査になります。
その為、犬の脳波検査は必要な場合のみ大学病院などの高度医療施設で麻酔下で実施されているようです。
画像検査に加えて、脳の炎症が疑わしい場合などは脳脊髄液検査を行うことがあります。
これは麻酔下で気管内挿管して、脊髄に針を刺し脳脊髄液を採取するという大掛かりになる検査で、高度な技術が必要です。
高度医療機関などで実施され一般的に行われる検査ではありません。
【痙攣症状のある病気・門脈シャント】
検査にかかる費用の目安
【MRI検査】
麻酔込みの費用で約5万円~10万円という費用がかかります。
この費用の設定はお住まいの地域や病院によって開きがあります。
CT検査の方がいくらか費用が安いですが、やはり麻酔が必要になるのでその分が上乗せになり、結果的に大差はないと思います。
【血液検査】
どの項目を調べるかによって費用が変わってきますが、この場合は肝臓や腎臓の機能、炎症反応などの検査項目を入れた生化学検査も必要になります。
項目が増えると費用も上がりますが、目安は5000円前後~8000円くらいです。
また、MRI検査の時に、麻酔と血液検査も込みでのセット費用になっている病院もあります。
【神経学的検査】
3000円くらいに設定していることが多いようです。
【心電図検査】
4000円~8000円くらいです。
【脳脊髄液検査】
血液検査と同様に、採取した髄液を検査する項目によって費用が変わります。
麻酔費用は別で、8000円~15000円の範囲のようですが、それを越えるところもあります。
てんかんの診療にかかる費用は、
- 初診料または再診料
- 検査費用
- 注射などの処置費用
- 薬剤の費用
などを合算したものになります。
犬のてんかん治療の進め方
発作の原因が肝臓や心臓にある場合、その病気に対する治療を行います。
脳に何か原因が見つかった場合は症候性てんかんと呼ばれるもので、原因である脳の疾患(脳腫瘍など)の治療が中心になります。
異常所見が見当たらずてんかん発作の原因が明らかでないものは、特発性(真性)てんかんという診断になり、発作のコントロールをする治療を行います。
「特発性」とは、てんかん以外の病名でも使われる言葉で「原因不明」という意味を表します。
【てんかん薬の参考記事】
うちの犬はMRI画像で脳に腫瘍などの異常はないことがわかったので、特発性てんかんという診断で発作コントロールの治療をしています。
命の危険にも陥る大きな発作に繋がらないようにコントロールすることがてんかん治療の目的と捉えるとよいと思います。
【薬の中断の参考記事】
診断後の検査と定期的な通院の必要性
治療を開始した後は、抗てんかん薬による副作用が出現する可能性もあるのでそれをチェックする定期的な検査が必要です。
副作用の検査は血液検査です。
はじめは薬の内服開始後2週間~3週間を目安に血液検査をおこなって、血中濃度や肝障害が出ていないかなどを調べます。
そして薬の投与量が適切か、継続していけるかどうかを判断しながら調整します。
症状と検査のデータを確認しながら、その犬にとって有効かつ最小限度の薬の量を見つけ微調整していくのです。
血液検査はその後も定期的に必要であり、3ヶ月・半年・1年後という間隔を目安にしてチェックしていきます。
通院スケジュールと費用
病状が安定するまでは通院の間隔も短いかもしれませんが、安定していれば1ヶ月に一度くらいでも大丈夫です。
何もなければそれ以上の処方も可能と思いますが、これはその病院にもよるでしょう。
うちの犬は、大体1ヶ月に1度の通院をしていますが、場合によっては2ヶ月開くこともあります。
動物医療は自由診療なので、人間のように診療報酬の縛りなどはなく、処方の最大日数はその病院ごとに決められたものになります。
かかる費用も病院によってずいぶん差があり、薬一つを取っても設定の価格が違っています。
たとえば原価から1錠分の価格を決め、処方した錠数分を計算する方法もあれば、単純に1種類の薬が1日いくらという計算の方法をとっている場合もあるようです。
初診料や再診料、検査費用も病院によって違いますので、どの病院を選ぶかによって、治療にかかる費用の合算は最終的に大きな差が出ることになるかもしれません。
同じ診療内容で同じ薬をもらっても、費用が全く違うなどが起こるのはこのような理由によるものです。
犬の体重によっても処方量が変わりますが、小型犬と仮定した場合、再診で30日分の薬をもらったとして1回の通院にかかる費用は1500円~6000円くらいになります。
途中でおこなう薬剤血中濃度の検査費用は、一般的に高額です。
薬の種類によっても違いますが、血中濃度の検査費用は1万円前後かかると考えておいた方が無難です。
動物医療は治療も費用もその獣医師の方針、その病院次第です。
言い換えれば柔軟性があります。
費用について不安がある場合、受診を中断したり薬を中断したりするのではなく、ストレートに獣医師に伝えて相談してみて下さい。
その上で、どのように治療していくかを検討していくといいと思います。
犬のてんかんの治療費用のまとめ
てんかんは定期的な通院が必要な病気で、処方+検査費用+再診料が発生し、この中で高額になる可能性のあるものは検査です。
長い通院になるので、費用も含めて治療内容を獣医師と話し合える関係を築ける獣医師を選んで下さい。
病院選びはとても重要なことです。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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