私はてんかんの持病がある小型犬と暮らしています。
今回は、発病からこれまでの経過を記事にしてみました。
てんかんは、前ぶれなく突然けいれん発作を起こすのが心配です。
本当はずっと一緒にいて、留守番などさせずにいつも傍にいたいけど、そうもいかない現実があります。
この記事は愛犬の記録であるとともに、私のような立場の飼い主さんの参考に読んで頂ければ幸いです。
てんかん発病の経過
最初の診断
私の愛犬はこの記事を書いている今、8歳です。
愛犬が最初にてんかんの疑いをかけられたのは、生後10ヶ月くらいの時でした。
てんかんではないかと獣医師に言われるきっかけは、「何となく病的な動作を繰り返しているように見えること」でした。
けいれん発作という典型的な症状は、当時はありませんでした。
当時はまだ子犬で、落ち着きがないのは当たり前のことです。
ただ、左右を交互に振り返ってお尻を気にしているように歩く、何となく奇妙な動作が時々ありました。
それ以外はよく遊びよく寝る元気で活発な子犬でした。
その頃、皮膚にアレルギーのような湿疹が出てたびたび通院をしました。
診察時に、ついでのように奇妙な歩き方が時々ある話をしました。
すると、獣医師が「脳に何か異常があるのではないか」と言うのです。
そんな重大な話に発展するとは想像もしてなかったので驚きました。
その可能性を言われるほど心配になり、病院の勧めで頭のCTを撮ることになりました。
この段階で焦らなくてもよかったのでしょうが、「脳の異常」という言葉に私は動揺しました。
死んでしまうのでは?という不安に襲われ、すがるような気持ちで従ったのです。
セカンドオピニオンにたどり着くまで
画像検査の結果、愛犬には脳腫瘍あるいは脳炎という重大な病名を告げられました。
「この子はあまり長く生きられない」と。
その時の獣医師とのやりとりは、どうやって治療するかというよりどうやって安楽な暮らしをさせ自然に看取るかという話で本当にショックでした。
私は茫然となりました。
まだ成長しきれてない、頼りない小さな体に、結構な量のステロイド剤と精神安定剤が処方されました。
安定剤は、できるだけ興奮させず脳を守る目的での処方です。
それから私はネットに張り付き、犬の脳炎と脳腫瘍の情報を必死で追いました。
無邪気に遊んでいる愛犬の姿に余命告知を重ねるたびに涙が溢れ、私は毎日泣いていました。
少し時間が経ち、友人の「他の意見も聞かずにこのままでいいの?」という言葉にはっとして冷静になり、治療方法を探すために別の病院のセカンドオピニオンを受けることを決めました。
次の病院で診察を受け、今度は改めてMRI検査を受けることになりました。
その結果、愛犬の脳には腫瘍も炎症も所見はなく、最初の診断とは全く違う結果になりました。
それはどういうことなのか?
うちの子は何の治療をしていたのだろう?
だけど私は疑いが晴れて嬉しかったのです。
この子が無事でいてくれるなら、もう他のことはどうでもよい。
この結果は神様がくれたものに違いない、感謝すべきかもしれないとさえ・・・。
そして、私はこの子との未来にエネルギーを注ぐことにしました。
ただ、奇異な動作はてんかんの部分発作の可能性もあるので経過観察は必要であること。
また、飲んでいた薬は中止しないとならない。
それからセカンドオピニオンの元に通院を始めました。
やがて1歳を過ぎて、何事も起こらないと安心していた矢先、突然けいれん発作を起こして特発性てんかんと診断名がつきました。
愛犬のてんかん治療に使用した薬
最初の病院で、かなり多い量のステロイドを処方されたのは、診断が正しければ間違いではありません。
でもそうでないならステロイドを切る必要があります。
しかし、ステロイドを多量に継続服用している場合、急にやめると反動が大きいので、減量しながら時間をかけないといけません。
内服中止までには1ヶ月ほどかかりました。
そしててんかんの治療を改めて開始したのは、けいれん発作を起こしてからです。
フェノバール
てんかんの治療には、フェノバール(フェノバルビタール)という薬が第一に使われることが多いようです。
私の愛犬も、明かなけいれん発作を起こして病院に駆け込み、心電図、肝機能検査などで他の病気がないかを確認した後、フェノバールが第一に投与されました。
フェノバールを服用すると、うちの子の場合は明らかに動作が鈍くなりました。
いびきをかいて熟睡していることも多かったです。
しばらく続けましたが、治療の途中で再びけいれん発作を起こしました。
ゾニサミド
フェノバールは、効果が安定するまでに少し時間もかかります。
発作を起こしたので、フェノバール増量という手段はありましたが、主治医は治療薬をゾニサミドに変更することを勧めました。
うちの子には部分発作と思われる奇妙な動作があったので、
- 部分発作を示すてんかんにはゾニサミドが有効と考えられること
- フェノバールのように深刻な肝臓の副作用が起こりにくいこと
などを説明されました。
その時から現在まで、愛犬のてんかん治療薬はゾニサミドです。
こちらに変更後、行動の鈍さは感じなくなり、活発さは内服前と変わりなくなりました。
ジアゼパム(座薬)
ゾニサミドの効果が安定し、発作はほとんど見られなくなりました。
でも私が付けている記録を見ると、年に1~2回は起こしてきたことになります。
発作時の対策にはジアゼパムの座薬を処方してもらって常備しています。
ジアゼパムは、てんかん発作時の処置に病院で注射をしますがその成分です。
最初の頃は、発作を起こすたびに病院に駆け込みました。
もちろん病状の把握や薬の調整がまだできてない時は、それでよかったでしょう。
だけど外気や移動も発作の引き金になるので、下手に動かさず家で安静に観察した方がよい場合もあるのです。
座薬はその為の常備で、私のお守りとも言えます。
留守番時の対策
私は仕事を持っていて、私の愛犬は日中留守番があります。
本当はずっとそばにいてやりたいし、病気がある子だからこそ尚更一人にするのが辛く、罪悪感にさいなまれました。
留守番時はいつもトイレとベッドを入れたケージをさらに柵で囲って、動けるスペースに余裕を持たせています。
まだ診断がつく前のこと、ある日、私が帰宅したら、囲ってあるスペース内のトイレではない場所に広範囲の尿失禁がありました。
愛犬は留守番の時もトイレはきれいに使い、それまでにはなかったことでした。
その時は気づかなかったですが、後で考えたら、もしかしたらその日発作を起こしたのかもしれません。
だから失禁で汚れたのかもしれません。
何度かてんかん発作に遭遇してパターンがわかり、振り返ってそう思いました。
留守番中の様子を確認できないことが何より不安でした。
現在は見守りカメラを設置し遠隔操作でスマホから確認しています。
また、室温も遠隔操作できるようにしています。
今はネットワークカメラも種類が多く、価格も手ごろなものが増え、性能もよいと思います。
ただ、カメラで見ていてもそばにいないことには変わりません。
いざという時に何ができるのかという不安はなくなりませんが、それでも、今の環境で最善を尽くしていくしかないです。
てんかん発作は「いかに予防するか」なので、定期的な通院、規則的な内服、そして生活の中でできる限りストレスを避けてやることが大事です。
治らない病気であってもうまく病気をコントロールできれば長生きだってできる、私のできることを私はこれからも頑張っていきます。
まとめ
愛犬を抱きしめて涙が止まらなかったあの時から8年、この子が生きていることはどんなにありがたいことかと日々かみしめながら過ごしてきました。
結果的には振り回されたのですが、このような経験があるからこそ、この子の命をより愛おしく感じるのかもしれません。
それでも、命は無限ではありません。
いつかは別れの日があるのでしょう。
これからも愛犬との時間を大事にして暮らしていこうと思っています。
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