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心臓に雑音が生じる犬の病気 僧帽弁閉鎖不全症の症状と治療

♦消化器/心臓

犬も年齢と共に身体のあらゆる機能に老化の影響が現れ、心臓の病気の確率も高くなります。

心臓の病気では、診察の時の聴診で、心臓の雑音を指摘されて発見されることが多いようです。

私の愛犬も現在、心臓の病気の初期段階です。

犬の心臓の病気は、どんな症状に注意すればよいのでしょう?

今回は、心臓に雑音が生じる犬の病気を解説したいと思います。

心臓の雑音は容易に発見できる

心臓の雑音は、胸に聴診器を当てて確認することができます。

他に慢性の病気があって定期的に通院している場合や健康診断などで、獣医師が聴診器を胸に当てているのを見たことはありませんか?

心臓の雑音は、心音を聴取すると、異常な雑音として比較的簡単に発見できます。

ただ、心臓の雑音にも、弱い~重度まであり、病気の進行度によってレベルが違います。

微弱な雑音だと、診察時に犬が静かにしている状態でよほど集中しなければ、聞きとることが難しいと思います。

反対に進行した状態では、聴診器をあてなくても、犬の胸に手で触れれば外からわかるようなひどい雑音もあるようです。

心音とはそもそもどういう音なのか?

心音とは、心臓が拍動する時の音です。

心臓の中を通る血液は、規則正しく一方向に流れています。

心臓には、その血液が逆流するのを防止する、一方向にしか開かない扉のような「弁」というものがあります。

心音は、弁の開閉や心臓壁が収縮することなどで生じる、規則的な音です。

正常な心音には、「Ⅰ音」「Ⅱ音」の2種類の音があります。

  • Ⅰ音房室弁(僧帽弁・三尖弁)という名前の弁が閉じる時に血流が遮断されて生じる音
  • Ⅱ音大動脈弁・肺動脈弁が閉じる時にやはり同様にして生じる音

 

《心臓の図》

画像出典元 http://www.animal-wellness.co.jp/animal-info/heart.html

心臓は、1つの単純な形状の臓器ではなく、中が4つの部屋に分かれています。

血液の逆流防止弁にも4つの種類があって、それぞれが心臓の拍動に合わせて開閉し、心臓内の血流を逆流させることなく一方通行に流れるように保っているのです。

犬の心拍数は70~160回/分、子犬はもっと多くて220回/分くらいあります。(成人では60~80回/分が正常です)

心臓に雑音がある時に何が考えられるのか

心臓の雑音は、まれに病的ではないこともあるようです。

しかし、基本的には、心臓が正常に機能していれば雑音が生じることはないと言えるでしょう。

つまり、心臓の雑音は心臓病があるということの指標になります。

心臓の雑音は、逆流を防止する弁の開閉がうまくいかず、血液の逆流を完全に止めることができなくて、弁の隙間から血液が逆流していることを表しています。

心臓の雑音は、診断を統一させる為に6段階の評価で表されます。

《心臓の雑音の6段階評価》

  1. 非常に微弱な雑音で静かな環境下で注意深く聴取することで確認できる
  2. 弱い雑音だが聴診器で容易に聴取できる
  3. 中程度の雑音
  4. 強い雑音だが前胸部の振戦はない
  5. 強い雑音で触診にて前胸部の振戦がわかる
  6. 前胸部の振戦を伴う強い雑音で聴診器なしでも聴くことができる

次に行う検査で診断が確定する

心臓に雑音が確認された場合、心臓の病気の確定診断をする為に次の検査に進みます。

検査の内容は、X線(レントゲン)検査、心電図検査、超音波検査、血液検査などです。

X線検査では、心肥大の程度や、重度の心臓病から起こる肺水腫がないかの確認をします。(肺水腫は緊急を要する病気であり、入院による酸素の投与や投薬が必要です。)

心電図検査では、心臓が規則正しい動きをしているか、どのような不整脈があるかを確認します。

超音波検査(心エコー)では、心臓の動きや心臓の構造、血液の流れを映像として確認します。

血液検査では、心不全から起こる肝臓、腎臓などへの影響がないかを確認します。

フィラリア感染を確認する

一昔前の犬の心臓病は、寄生虫であるフィラリアの感染によるものが、その原因の多くを占めていました。

フィラリア感染は、予防ができる病気です。

近年、犬の飼育環境の改善や、飼い主さんの犬の健康に対する意識が高まり、予防薬を投与することが一般的になってきて、減ってきているようです。

しかし、減ったとは言え、予防意識には地域差などもあり、やはり今でも多く発生している病気ではあります。

心臓の雑音については、フィラリア感染の有無も調べることがあります。

【参考記事】

犬のフィラリア症はどんな病気?感染経路・症状・治療について

犬のフィラリア予防薬の種類・投与の時期・副作用について

心臓に雑音がある時に出現しがちな症状

心臓病の初期には、聴診した時に雑音が確認できるだけで、特に目立つ症状はまだ見られません。

しかし病気が進行してくると、心臓が肥大して(大きくなって)気管支を刺激したり、肺に水が溜まる(肺水腫)などの理由で、咳の症状が見られるようになります。

特に、興奮時や運動時、夜中などに、むせるような咳の症状が見られるようになります。

安静時でも、呼吸が早い、呼吸が荒いなどの症状、興奮時には、舌が紫色になる症状(チアノーゼ)、疲れやすくなり散歩や運動を嫌がる、呼吸困難、急に意識を失う、浮腫、腹水などの症状が現れます。

肺水腫は、心臓病のかなり重度の症状であり、横になると、肺に溜まった水が動き、呼吸困難で苦しいために座ったままで過ごすようになります。

肺水腫は、早期に対処しなければ命に関わります。

上記しましたが、心臓の雑音のかなりひどい状態は、胸に手を当てると、雑音による振動を感じることができます。

心臓の病気は、初期では雑音だけで症状がなかったとしても、進行してくると突然死という最悪の症状に襲われることがあるので要注意です。

犬の心臓病に多い僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)

犬の心臓の病気で、圧倒的に多いと言われるのが、僧帽弁閉鎖不全症です。

僧帽弁は、心臓の血流逆流防止弁の一つであり、左心室と左心房の間にある弁です。

弁の異常の中で、僧帽弁の閉鎖不全がもっとも多く発生するとされます。

私の愛犬も例外ではなくこの病気でした。

弁の閉鎖不全症は進行して心不全を誘発します。

そして、心不全が重症化すれば、もっとも重症の症状である肺水腫を併発し、呼吸困難に陥るのです。

病態

加齢などが原因で弁の肥厚や変形を生じ、完全な開閉ができなくなります。

弁がきちんと閉じることができなければ、心臓内の血液は、遮断が必要な時にも隙間から漏れて逆流が起こるので雑音が生じるのです。

病気の進行と共に、血液の逆流の量が次第に多くなり、心臓の中には流れきれなくなった血液が溜まっていきます。

そして、本来なら大動脈から全身に送り出されるはずの正常な流れの血液は不足し、全身へ酸素の供給が追い付かなくなるのです。

心臓は、全身に送り出す血流を増やそうとして、心臓のポンプ機能を過剰に働かせ、その負担に耐えるために心臓が肥大していきます。(心不全の状態

そのようにして、徐々に症状が悪化し、重度の症状である肺水腫を始めとした合併症を起こすようになり、突然、命を失う危険のある病気です。

好発犬種と好発年齢

僧帽弁閉鎖不全症の発症は、老化だけでなく遺伝的な素因も関係すると言われています。

心臓病は、元々は高齢の犬に多いものですが、好発犬種とされている犬では、5歳前後くらいですでに病気の症状が表れていることがあります。

この病気は小型犬に多く、好発犬種には、マルチーズ・シーズー・キャバリア・ポメラニアン・チワワ・プードル・柴犬などが挙げられてます。

ちなみに、愛犬も好発犬種であるチワワで、私の知っているチワワの中にやはりこの病気を持つ犬がいます。

心不全のステージ分類

僧帽弁閉鎖不全症は、いずれ心不全を誘発します。

その進行の程度は、心不全の重症度で分類され、その分類が治療方針を決める時の指標になります。

《ACVIM Consensus Statement におけるグレード分類》

(American College of Veterinary Internal Medicine=アメリカ獣医内科学会)

◆ステージA心疾患を生じるリスクは高いが、現時点で心臓に器質的変化が認められない。(小型犬、King charles Spanielなど将来MRになりやすい犬種)
◆ステージB器質的変化は認められる(例えばMRの心雑音は存在する)が、心不全の臨床徴候はない。
ステージB1無症状であり、X線検査あるいは超音波検査において心臓リモデリング(心拡大)の徴候が認められない。
ステージB2無症状ではあるが、血行動態的に顕著なMRがあり、X線検査あるいは超音波検査において左心系の拡大が認められる。
◆ステージC

現在もしくは過去に器質的心疾患に起因する心不全の臨床徴候が認められるが、入院治療が必要でないもの。急性心不全により入院治療が必要なものはステージDに分類される。

◆ステージD

標準的な治療に抵抗を示す心不全の臨床徴候が認められる末期病態。入院下での治療が必要

出典元 https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/21/4/21_147/_pdf

基本は保存的治療・しかし手術の適応もある

僧帽弁閉鎖不全症の症状を内服でコントロールをすることが、この治療の基本になります。

一旦悪くなった心臓の弁は、治るものではなく、どの病気にも共通することではありますが、できる限り初期の段階で病気の進行を抑えることが重要なのです。

心臓の治療に使用する薬は、病気そのものを治すわけではなく、症状を和らげ、心臓の負担をできるだけ少なくすることを目的とします。

症状を和らげて心臓の負担を減らすことは、心不全の進行を抑えるということになります。

それは、結果として延命効果になるということです。

心不全が重度になってしまうと、症状を抑えるのが難しく、延命効果もあがりにくくなりますので、治療開始のタイミングはとても大事です。

心臓の治療に使用される薬には、血管拡張薬(ACE阻害薬)が第一選択薬になり、その他には、利尿薬、強心薬、β遮断薬などを症状に応じて、複数の組み合わせが処方されます。

また、咳の症状を抑える為には、鎮咳薬などが使用されることもあります。

薬は生涯に渡って服用することになり、進行の状態を確認するために定期的に検査も受ける必要があります。

手術

僧帽弁閉鎖不全症は、薬による保存的治療が一般的ですが、実は手術という治療方法もあります。

高度医療をおこなっている医療機関に限定される治療法ではありますが、僧帽弁修復術という手術方法があり、一定の基準を満たせば手術の適応になります。

しかし、手術にかかる治療費が高額であることや、手術をおこなっても完治できない可能性麻酔や手術のリスクなども検討しなければなりません。

心臓の病気がある犬は生活上の制限がある

犬の心臓に雑音があり、病気と確定診断されたら、できるだけ心臓に負担をかけないよう、生活上も注意しなければなりません。

心臓に負担をかけない注意のポイントは、塩分の制限と運動制限です。

そして、

  • 内服を守る
  • 定期的な受診
  • 緊急時の対応を決めておく

ということが重要です。

心臓病の食事について

犬の心臓病用に、必要な栄養素を強化した療法食があり、病院でおすすめされることがあるかもしれません。

心不全のステージ分類や他に病気があるかどうかによっても違うので、最初はきちんと獣医師の指示を受けて下さい。

ただ、いずれの場合も、塩分(ナトリウム)の制限は絶対です。

くれぐれも、人間の食べ物を与えたりせず、またおやつも塩分を含むものは控えなければなりません。

そして、心臓に負担をかけない為には、体重のコントロールも大事です。

心臓の病気がある犬は、運動制限もしなくてはならないので太りやすく、くれぐれも注意が必要です。

 

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心臓病の運動について

心臓の病気がある犬は、長時間の散歩や、走らせることなどは避けなければなりません。

疲れやすい症状が出ている場合は、犬も散歩をしたがらなくなったりします。

しかし、症状が軽いうちは、犬には心臓の病気であるという自覚はないので、飼い主さんが制限をかけなければ運動が過剰になってしまう危険があるのです。

また、運動以外でも、興奮させることで心臓に急激な負担がかかりますので注意して下さい。

寒冷刺激を避けることや普段の環境の室温調整なども大事で、ストレスのかからない快適な環境作りが必要です。

ペットホテルやトリミングサロンの使用も、獣医師と話し合うようにして下さい。

預ける際には、必ず病気があることを話し、極力ストレスのかからないようにしなければならないので、心臓病に理解のある施設を選択するようにして下さい。

緊急時について

心臓の病気は、急変して突然死することもあるということを念頭に置き、緊急時にはどのように対処すればよいのかを医療機関と事前に話し合うようにして下さい。

かかりつけ医で対応が可能なのか、地域の動物救急センターはどこにあるかなどは把握しておきましょう。

舌が紫色になって(チアノーゼ)呼吸状態がおかしい時などは、緊急事態です。

酸素が必要になることも多いので、自宅で酸素室の準備や単発的に使用できる酸素缶などを常備している飼い主さんもいらっしゃいます。

 

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酸素缶は人用のものでOKですが、きちんと密着させて吸入させるのにはコツがいるかもしれません。

ただ手軽ですので、常備しやすいと思います。

 

酸素室も購入できますが、購入するとなるとかなり高額です。

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酸素ハウスはレンタルを利用する方法もあります。

酸素ハウスのレンタル情報は、病院で得られると思いますので確認してみて下さい。

定期検査と内服

たまたま定期健診などで心臓の雑音が発見された場合は、まだ症状がなく治療の段階ではないかもしれません。

私の愛犬は、先日、健診で心エコーを受け、初期の異常が発見されました。

他の病気で定期的に通院し、その都度聴診もされていましたが、心臓の雑音は軽度でわからなかったようで、画像検査で判明したということです。

心臓病はゆっくりと進行していきますので、定期的な診察によるフォローが必要です。

どのくらいの間隔で検査や診察を行うのかは、獣医師の指示に従うことになりますが、最低でも3~6ヶ月ごとの受診が必要になると思います。

うちはまだ内服する段階ではないですが、今後は3ヶ月ごとに検査の予定です。

もし雑音がひどくて内服を始めた場合は、軽視せず、きちんと指示通りに薬を飲ませるようにして下さい。

まとめ

犬の心臓に雑音を認める病気は、他にも先天的な心臓の奇形や心筋症などもあります。

しかし、心臓の雑音で発見される犬の病気でもっとも多いのは、僧帽弁閉鎖不全症です。

高齢になるにつれて、心臓の病気のリスクは高くなるので、それまで健康であったとしても、シニアになれば定期健診を受けることをお勧めします。

また、最近は減ってきたとはいえ、フィラリア感染による心臓病はやはり多いのです。

予防可能な病気は、どうか正しい知識を持って予防してあげて下さい。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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