心臓に雑音が生じる犬の病気 僧帽弁閉鎖不全症の症状と治療

犬も年齢と共に身体のあらゆる機能に老化の影響が現れるようになり、心臓の病気の確率も高まってきます。

心臓の病気では、診察などで心雑音を指摘されることが多いのですが、他にはどんな症状があるのでしょう?

今回は、心臓に雑音が生じる犬の病気についての解説をしたいと思います。

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心臓の雑音は容易に発見できる

心臓の雑音は、犬の胸に聴診器を当てることですぐに確認することができます。

他に慢性の病気があって定期的に通院している場合や、健康診断などで、獣医師が聴診器を胸に当てているのを飼い主さんも見るのではないかと思います。

心臓の雑音は、そのようにして、心音を聴取すると容易に発見できます。

ただ、心臓の雑音にも、病気の進行度によってレベルが違います。

微弱な雑音だと、診察時に犬が静かにしている状態でなければ聞きとることが難しく、反対に、進行した状態では、聴診器をあてなくても、犬の胸に手で触れるだけでわかるようなひどい雑音もあるようです。

心音とはそもそもどういう音?

心音とは、心臓が拍動する時の音です。

その音には、心臓を流れる血液が逆流するのを防止する、一方向にしか開かない扉のような「弁」というものの開閉や心臓壁の収縮などが関与しているのです。

正常な心音には、Ⅰ音とⅡ音と呼ばれる2種類の音があります。

Ⅰ音は、房室弁(僧帽弁・三尖弁)という名前の弁が閉鎖される時に、血流が遮断されて生じる音、Ⅱ音は、大動脈弁・肺動脈弁が閉鎖される時に、同様に生じる音です。

《心臓図》

画像出典元 http://www.animal-wellness.co.jp/animal-info/heart.html

心臓の中は4室に分かれています。

弁も4つの種類があり、それぞれが心臓の拍動に合わせて開閉していて、心臓内の血流を逆流させることなく一方通行に流れるように維持しているのです。

犬の心拍数は70~160回/分、子犬はもっと多くて、220回/分くらいあります。

心臓の雑音が意味すること

心臓の雑音は、まれに病的ではないこともありますが、基本的に、心臓が正常に機能していれば雑音が生じることはありません。

つまり、心臓の雑音は心臓病があるということの指標になります。

心臓の雑音は、逆流を防止する弁の開閉がうまくいかずに、血液の逆流を完全に止めることができず、弁の隙間から血液が逆流していることを表しているのです。

心臓の雑音には、診断を統一する為に6段階の評価が適応されます。

  1. 非常に微弱な雑音で静かな環境下で注意深く聴取することで確認できる
  2. 弱い雑音だが聴診器で容易に聴取できる
  3. 中程度の雑音
  4. 強い雑音だが前胸部の振戦はない
  5. 強い雑音で触診にて前胸部の振戦がわかる
  6. 前胸部の振戦を伴う強い雑音で聴診器なしでも聴くことができる

次に行う検査で診断が確定

心臓に雑音が確認された場合、心臓の病気の確定診断をする為に次の検査に進みます。

検査の内容は、X線(レントゲン)検査、心電図検査、超音波検査、血液検査などです。

X線検査により、心肥大の程度や、重度の心臓病から起こる肺水腫がないかの確認をします。(肺水腫は緊急を要する病気であり、入院による酸素の投与や投薬治療が必要になります。)

心電図検査では、心臓が規則正しい動きをしているか、どのような不整脈があるかを確認します。

超音波検査(心エコー)では、心臓の動きや心臓の構造、血液の流れを映像として確認します。

血液検査では、心不全から起こる肝臓、腎臓などへの影響がないかを確認します。

フィラリア感染を確認する

一昔前は、犬の心臓病は、寄生虫であるフィラリアの感染によるものが、その原因の多くを占めていました。

しかし、フィラリア感染は予防ができる病気です。

近年は犬の飼育環境や飼い主さんの犬に対する意識が高まったことから、予防薬を投与するようになり、減ってきていると言えるようです。

しかし、減ったとは言え、予防に対する意識には地域差なども見られ、やはり今も多く発生している病気です。

心臓の雑音については、フィラリア感染の有無も調べる必要があります。

【参考記事】

犬のフィラリア症はどんな病気?感染経路・症状・治療について

犬のフィラリア予防薬の種類・投与の時期・副作用について

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心臓に雑音がある時に出現しがちな症状

心臓病の初期では、聴診した時に雑音が確認できるだけで、特に目立つ症状はまだ見られません。

しかし病気が進行してくると、心臓が拡大して気管支を刺激したり、肺に水が溜まる(肺水腫)などの理由での症状が出現するようになります。

特に興奮時や運動時、夜中などに、むせるような咳の症状が見られるようになります。

また、安静時でも、呼吸が早い、呼吸が荒いなどの症状、興奮時には、舌が紫色になる症状(チアノーゼ)疲れやすくなり散歩や運動を嫌がる、呼吸困難、急に意識を失う、浮腫、腹水などの症状が現れます。

肺水腫は、心臓病のかなり重度の症状であり、横になると溜まった水が動き、呼吸困難で苦しい為、座ったままで過ごすようになります。

肺水腫は、早期に対処しなければ命に関わります。

上記もしましたが、心臓の雑音のかなりひどい状態は、胸に手を当てると、雑音による振動を感じることができます。

心臓の病気は、初期では雑音だけで症状がなかったとしても、進行してくると突然死という最悪の症状に襲われることもあります。

犬の心臓病で多い・僧帽弁閉鎖不全症

犬の心臓の病気の種類で、圧倒的に頻度が高いと言われるのが、僧帽弁閉鎖不全症です。

心臓は4つの部屋で構成され、その中を流れる血流の逆流を防止する為の弁が存在していますが、僧帽弁はその一つであり、左心室と左心房の間にあります。

この僧帽弁の異常、閉鎖不全がもっとも多く発生するとされています。

弁の閉鎖不全は、進行して心不全を誘発します。

そして、心不全が重症化すれば、重症の症状である肺水腫を併発し、呼吸困難に陥るのです。

病態

加齢などが原因になり、弁の肥厚や変形を生じる為、完全な開閉ができなくなります。

弁がきちんと閉じることができなければ、心臓内での血液は遮断が必要な時にも隙間から漏れて逆流が起こるので、雑音が生じるのです。

病気の進行と共に、血液の逆流は次第に増加して、心臓内に血液が貯留していきます。

そして、本来、大動脈から全身に送り出されるはずの正常な流れの血液は不足するので、全身への酸素の供給が追い付かなくなります。

心臓は、全身に送り出す血流を増やそうとして、心臓のポンプ機能を過剰に働かせ、それが原因で心臓は肥大します(心不全の状態)。

そのように、徐々に症状が悪化し、重度の症状である肺水腫を始めとした様々な合併症を起こすようになり、命を失う危険のある病気です。

好発犬種と年齢

僧帽弁閉鎖不全症の発症には、老化以外に、遺伝的素因も関与すると言われています。

心臓病は元々は高齢の犬に多いものですが、好発犬種と言われる犬では、5歳前後くらいですでに病気の症状が表れることがあります。

この病気は小型犬に多く発症すると言われ、好発犬種には、マルチーズ、シーズー、キャバリア、ポメラニアン、チワワ、プードル、柴犬などが挙げられます。

心不全のステージ分類

僧帽弁閉鎖不全症は心不全を誘発し、その進行の程度は、心不全の重症度によって分類されます。

その分類が治療方針を決める時の指標になります。

《ACVIM Consensus Statement におけるグレード分類》

(American College of Veterinary Internal Medicine=アメリカ獣医内科学会)

◆ステージA 心疾患を生じるリスクは高いが、現時点で心臓に器質的変化が認められない。(小型犬、King charles Spanielなど将来MRになりやすい犬種)
◆ステージB 器質的変化は認められる(例えばMRの心雑音は存在する)が、心不全の臨床徴候はない。
ステージB1 無症状であり、X線検査あるいは超音波検査において心臓リモデリング(心拡大)の徴候が認められない。
ステージB2 無症状ではあるが、血行動態的に顕著なMRがあり、X線検査あるいは超音波検査において左心系の拡大が認められる。
◆ステージC

現在もしくは過去に器質的心疾患に起因する心不全の臨床徴候が認められるが、入院治療が必要でないもの。急性心不全により入院治療が必要なものはステージDに分類される。

◆ステージD

標準的な治療に抵抗を示す心不全の臨床徴候が認められる末期病態。入院下での治療が必要

出典元 https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/21/4/21_147/_pdf

基本は保存的治療・しかし手術の適応もある

僧帽弁閉鎖不全症は、内服により、症状のコントロールをすることが治療の基本です。

一旦悪くなった心臓の弁は治るものではなく、どの病気にも共通して言えることではありますが、できる限り初期の段階で病気の進行を抑えることが重要なのです。

心臓の治療に使用する薬は、病気そのものを治すわけではなく、症状を緩和して心臓の負担をできるだけ軽減することを目的とします。

症状を緩和し心臓の負担を減らすことは、心不全の進行を抑えるということになります。

それは、結果として延命効果が得られることになります。

心不全が重度になってしまうと、症状を軽減することが困難になり、延命効果があがりにくくなりますので、治療開始のタイミングはとても大事です。

心臓の治療に使用される薬には、血管拡張薬(ACE阻害薬)が第一選択薬であり、その他に利尿薬、強心薬、β遮断薬など、症状に応じて組み合わせ、複数種類が処方されます。

また、咳の症状を抑える為に鎮咳薬などが使用されることもあります。

薬は生涯に渡って服用することになり、定期的に診察や検査も受ける必要があります。

手術

僧帽弁閉鎖不全症は、薬による保存的治療が一般的ですが、実は手術という治療方法もあります。

高度医療をおこなっている医療機関に限定される治療法ではありますが、僧帽弁修復術という手術方法があって、一定の基準を満たせば手術の適応になります。

しかし、手術にかかる治療費が高額であることや、手術をおこなっても完治できない可能性、また、麻酔や手術のリスクなども検討しなければなりません。

心臓の病気がある犬は生活上の制限がある

犬の心臓に雑音があり、病気と確定診断されたら、できるだけ心臓に負担をかけないよう、生活上の注意が必要になります。

心臓に負担をかけない注意のポイントは、塩分の制限と運動制限です。

そして、内服を守る、定期的な受診、緊急時の対応を考えておくことが大切です。

食事について

心臓病用に、必要な栄養素を強化した療法食があり、病院でおすすめされることもあると思います。

心不全のステージや基礎疾患が他にあるかどうかによっても違うので、最初はきちんと獣医師の指示を受けるようにして下さい。

しかし、いずれの場合でも、塩分(ナトリウム)の制限は必須です。

くれぐれも、人間の食べ物を与えたりせず、またおやつも塩分が多いので控えなければなりません。

そして、心臓に負担をかけない為には、体重のコントロールも大事です。

心臓の病気がある犬は、運動制限もしなくてはならないので太りやすく、くれぐれも注意が必要です。

 

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運動について

心臓の病気がある犬では、長時間の散歩や、走らせることなどは避けなければなりません。

疲れやすい症状が出ている場合は犬も散歩をしたがらなくなったりします。

しかし、症状が軽いうちは、犬も心臓の病気であるという自覚はないので、飼い主さんが制限をかけなければ運動が過剰になってしまう危険があるのです。

また、運動以外でも、興奮させることで心臓に急激な負担がかかりますので注意して下さい。

寒冷刺激を避けることや普段の環境の室温調整なども大事で、ストレスのかからない快適な環境作りが必要になります。

ペットホテルやトリミングサロンの使用も獣医師と話し合う必要があります。

もし預ける際には、必ず病気があることを話し、極力ストレスのかからないようにしなければならないので、理解のある施設を選択するようにして下さい。

緊急時について

心臓の病気は、急変して突然死することもあるということを念頭に置いて、緊急時にはどのように対処すればよいのかを医療機関と話し合っておいて下さい。

かかりつけ医で対応が可能なのか、地域の動物救急センターはどこにあるかなどは把握しておきましょう。

舌が紫色になって(チアノーゼ)呼吸状態がおかしい時などは、緊急事態です。

酸素が必要になることが多い為、自宅で酸素室の準備や単発的に使用できる酸素缶などを常備している飼い主さんもいるようです。

 

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酸素缶は人用のものでOKですが、きちんと密着させて吸入させるのにはコツがいるかもしれません。

ただ手軽ですので、常備しやすいと思います。

 

酸素室も購入できますが、購入するとなるとかなり高額です。

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酸素ハウスはレンタルなどを利用する方法もあります。

酸素ハウスのレンタル情報は、病院で得られると思いますので、確認してみて下さい。

定期検査と内服

たまたま定期健診などで心臓の雑音が発見された場合は、まだ症状がなく治療の段階ではないかもしれません。

しかし、心臓病はゆっくりと進行していきますので、その後も定期的な診察によるフォローが必要です。

どのくらいの間隔で検査や診察を行うのかは、獣医師の指示に従うことになります。

最低でも3~6ヶ月ごとの受診が必要になると思います。

雑音がひどくて内服を始めた場合は、きちんと指示通りに薬を飲ませるようにしましょう。

まとめ

犬の心臓に雑音を認める病気は、他にも先天的な心臓の奇形や心筋症などがあります。

しかし、心臓の雑音で発見される犬の病気でもっとも多いのは、僧帽弁閉鎖不全症です。

犬が高齢になって来るにつれて、心臓の病気のリスクは高くなります。

それまで健康であったとしても、シニアになれば定期健診は必ず受けることをお勧めします。

また、最近は減ってきたとはいえ、フィラリア感染による心臓病はやはり多いのです。

フィラリア感染は確実に心臓を蝕み、犬はその症状に苦しみ、命も短くなります。

予防可能な病気は、どうか正しい知識を持って予防してあげて下さい。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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