犬がリードをぐいぐいと引っ張り、飼い主の方が一生懸命ついて歩いている光景、結構見かけますよね。
犬が主導の散歩は、引っ張られながら歩くのも大変な労力ですが、何よりも飼い主が犬をコントロールできないのは危険です。
犬がリードを引っ張る癖をなおして、同じペースで安全に歩けるようにしたいですね。
犬が飼い主の前を歩く危険
犬が前を歩き、飼い主さんを引っ張っているスタイルだと、何か危険があった時に飼い主さんが気づくのが遅れます。
犬は自分のペースで自由に動くので、自分の行きたい方向に進み、道に食べ物が落ちていたら先に気づいて食べてしまうかもしれません。
車の前に突然飛び出し、事故に遭う危険もあります。
すれ違う人や自転車、他の犬に飛びかかり転倒させてしまうかもしれません。
犬の体格が大きければ、強い力で引っ張られた飼い主さんが転倒して怪我をするかもしれません。
ぐんぐん引っ張りながら前を歩く犬は制御しにくいです。
何かアクシデントが起こった時は危険です。
また、首輪にリードが付いている場合、引き戻そうとして一生懸命リードを引っ張ると、引っ張る力が犬の首を慢性的に絞めてしまいます。
首に力が強くかかると
- 眼圧が一気にあがる
- 首の障害を起こす
- 脳への血流を阻害し脳にダメージを与える
などの原因にもなります。
引っ張る癖はなおしてあげましょう!
犬がリードを強く引っ張る理由
犬が飼い主さんを引っ張る理由は単純で、リードを引っ張ると飼い主さんがついて来てくれるからです。
飼い主さんはちゃんとついて来てくれるので、犬は自由に楽しく散歩ができます。
散歩はそのようにして歩くものだと犬は学習しているのです。
もう一つの理由は、飼い主さんが引っ張るから犬も引っ張るという綱引き状態になっているからです。
その時、リードは緩みがなく常に張った状態ではないでしょうか?
飼い主さんもリードをしっかり握り、引きずられないように重心を後ろにかけて歩いているはずです。
だから犬もバランスをとり、全力で重心をかけてリードを引っ張るのです。
犬がリードを引っ張る癖は、このような習慣の中で強化された歩き方です。
引っ張る癖をなおすには根気が必要
犬がリードを引っ張るのは、飼い主さんの対応から学んだ犬の行動と言えます。
それをなおすには、飼い主さんの対応を変えていくことが第一です。
引っ張りっこになっている歩き方をやめ、リードを引っ張ると散歩にならないことを教えてあげるのです。
つまり、リードを引っ張る状況を作らせないことです。
もしリードを引っ張ったら、飼い主さんは立ち止まり歩かないようにしましょう。
犬は「あれ?おかしいな?いつもは(飼い主さんが)ついてくるのに」と不思議に感じるでしょう。
ここが根比べで、引っ張るたびに止まるのです。
そうすると進むことができないので、犬は飼い主さんのところに戻るしかなく、次第に飼い主さんのテンポを窺うようになります。
とにかくリードを張らせないのがコツなのです。
リードが張ったら止まる、飼い主さんもとてももどかしいとは思いますが、行動と結果を関連づけて覚えさせることが大事です。
具体的なしつけ方法
散歩に出発する時、扉を開けても飛び出さないように、一旦扉の前で落ち着いて待つ習慣をつけておきましょう。
行動を制止するしつけには「おすわり」や「待て」などがあります。
ぜひこの種類の指示が入るようにしつけをしてあげましょう。
歩き始めて、犬が前に出てリードがピンと張ったらその都度止まります。
犬は戸惑うかもしれませんが、一旦止まりましょう。
犬が引っ張るのをやめ、飼い主さんのそばに来てリードが緩んだら褒め、また歩き始めます。
犬が進む方向に飼い主さんがついて行くのではなく、主導するのは飼い主さんであることを理解させるのです。
あえて方向転換をしてみるのもよいです。
犬の予測に反した動きで、飼い主さんがリーダーシップをとってみましょう。
犬が飼い主さんに注目し、リードが緩んでアイコンタクトがとれる時は必ず褒めてあげて下さい。
リードを引っ張るのは無駄なことであり、飼い主さんのペースに従えばよいとわかるようになってきます。
リードが緩んだ状態で、匂いを嗅いだり立ち止まったりなど散歩中の行為は自由にさせてOKです。
慣れない間は止まってばかりで進めないという状況になるかもしれません。
でも、リードを引っ張ることは犬が誤って学習してしまったことなのです。
もう一度正しい歩き方を上書きしてあげて下さい。
リーダーウォークも可能になる?
リーダーウォークとは、飼い主の横に犬がぴったりとついて歩く歩き方のことで、「ツイテ」のしつけとも呼ばれます。
「ツイテ」ができれば、それがもっとも安全で理想的です。
この歩き方のしつけは訓練競技会の種目にも入っています。
競技会では基準が細かく定められています。
- 犬は人間の左側
- 鼻の位置は人間が穿いているスラックスの縫い目よりも後ろにはない
- 犬の肩が縫い目の5cmより前にはない
などの評価のポイントがいくつかあります。
この「ツイテ」のしつけは、リードを引っ張ることなく、人と安全な位置関係で歩く為に重要なものとされているのです。
でも、競技会を目指しているわけではないならばそれほど厳密でなくてもかまいません。
飼い主さんの横について安全に歩けるようになれば十分だと思います。
リードが張ったら止まり、リードが緩めば褒めて歩き始めるように繰り返していると、犬は飼い主さんがどう動くか見上げるようになります。
目が合ったら褒めて、リードを短く持ち、犬を左側にして一旦座らせるように指示します。
次に「ツイテ」という言葉をかけて歩き始めます。
この繰り返しにより、次第にリーダーウォークへと繋げていけるようになります。
犬が左側の定位置からはずれたら立ち止まりましょう。
元の位置に戻ったら歩く、ということを繰り返します。
そして左側の定位置に上手につけた時は褒めて、おやつを使うならば左手でおやつをあげて下さい。
おやつは飼い主さんの左側のポケットや左側にあるバッグの中などに入れておくとよいですよ。
リーダーウォークは、引っ張り癖をなおすしつけから、さらにステップアップしたものです。
まとめ
リードを引っ張る癖は、飼い主さんがそのように歩くことを習慣化させてしまったことが原因です。
なおすには、もう一度しつけを上書きしてあげないといけません。
一旦覚えてしまったことを変えるには時間がかかると思いますが、頑張るしかないです。
「ツイテ」にステップアップできると、アイコンタクトの機会も増えてコミュニケーションも深まり、散歩がより楽しくなると思いますよ。
是非チャレンジしてみて下さい。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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