マダニが運ぶ犬の病気が怖い!薬で予防対策をしよう

♦寄生虫/感染症

過去に寄生虫が原因の病気で人が亡くなったニュースが相次ぎました。

その時に関心を集めたのが「マダニ」です。

犬に付いたマダニの画像など見るとグロテスクでゾッとしますね。

マダニは草むらなどどこにでもいます。

そして飲み薬やスポット薬で予防できるものです。

今回はマダニがいかに怖いかと予防の必要性について情報を共有します。

マダニは季節を選ばない

春先から気温が高くなり暖かくなれば、そろそろ寄生虫が出るから気を付けようと思いがちですが、実はマダニは一年中活動しています。

マダニが活発になるピークは5月~9月くらいで、その季節は特に要注意です。

マダニはダニですが、マダニという一種類のダニではありません。

マダニの中にもいろいろな種類がいて、それぞれの地域や環境に適応し住み分けているのです。

《マダニの種類》

キチマダニ・フタトゲチマダニ・オオトゲチマダニ・タカサゴキララマダニ・ヤマトマダニ・ツリガネチマダニ・クリイロコイタマダニ・シュルツエマダニなど

このようにいろいろなマダニが、都市部にも山間部にも日本中のどこにでも生息しているのです。

マダニはクモのような生物

マダニの成虫は8本足ですが、幼虫の時は6本足です。

胴体や頭の区別はなく胴体の先端に口部があって、昆虫ではなくクモに近い生物です。

肉眼でも見える大きさで、一般的なイエダニなど、屋内で発生するダニとは違う種類です。

マダニは脱皮しながら幼虫→若虫→成虫へと成長しますが、それぞれの成長期で動物に寄生して吸血します。

寿命は3年~5年と言われていますが、吸血する期間はその生涯の中で20~25日ほどだそうです。

それ以外の時期には何をしているかと言うと、脱皮、産卵などをしながら土中や草むらなどで生活しているのだそうです。

マダニが動物に寄生して吸血を終わらせるまでには10日近くの日数がかかります。

なのでその間は麻酔物質のようなものを分泌し、その動物に気づかれないようにする習性があるようです。

吸血して何倍もの大きさに膨れ上がっているマダニが、犬にくっついていても気づかれにくいということは、このような理由によるのです。

マダニは、普段は3mm程度の大きさですが、吸血しただけで体も膨れ上がり10mmくらいの大きさになります。

マダニが原因で起こる怖い病気

マダニは脱皮しながら成長し、その成長過程で寄生する対象は変わります。

  • 幼虫:ネズミなどの小さな哺乳類
  • 若虫:鳥やウサギなどの中型の哺乳類
  • 成虫:鹿などの大きな野生動物

に寄生します。

マダニが生息している草むらなどに近づく犬や猫などは、マダニにとっては恰好の宿主です。

複数のマダニに寄生されてしまうと吸われる血液の量も大量になるので、犬は貧血に陥ってしまいます。

その上問題はこれだけではなく、ニュースにもなったようにマダニが媒介する病気は大変危険なのです。

マダニが媒介する病気

日本紅斑熱

リケッチアという病原体によるもの。

人の場合は、頭痛、発熱、倦怠感といった症状で発症するが、犬は感染していても特に症状を示さない無症候期と急性期がある。

急性期は、発熱、全身リンパ節腫脹、筋肉痛、関節痛、呼吸困難、神経症状、浮腫、点状出血、斑状出血が現れる。

テトラサイクリン系の抗菌薬による治療が有効で、未治療の場合は亡くなることもある。

ライム病

ボレリア属スピロヘータという病原体によるもの。

人の場合は、発熱、筋肉痛、頭痛、髄膜炎、関節炎といった症状が現れる。

犬のライム病では、主なものは神経症状であり、髄膜炎、脳炎、痙攣や麻痺などが出現する。

また、心筋壊死、目の炎症、瞳孔の障害などが現れることもある。

抗菌剤で治療可能で、未治療では重篤化し亡くなることがある。

Q熱

リケッチアの一種であるコクシエラという病原体によるもの。

人の症状は、インフルエンザに似ており、発熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感、呼吸器症状など。しかし、肺炎や肝炎、その他の症状が現れることもあって診断が困難。

犬の場合は感染していても症状がほとんどわからず、感染している犬からの人への感染が問題になる。

テトラサイクリン系の抗菌剤が有効である。

バベシア症

バベシアという原虫によるもの。赤血球に病原体が寄生して赤血球が壊され、それによって溶血性の貧血や発熱という症状が出現する。

人にも犬にも、溶血性貧血、血尿、黄疸などの症状が現れ、犬の場合は急激に悪化して亡くなることもある。

この病気は地域性があり、西日本を中心に多く発生するとされている。

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

ウイルスによるもの。発熱と消化器症状を主として発症し、治療法は確立されていない。

重症化し死亡率は20%と高い重大な病気。

ニュースになった猫咬傷によるマダニ感染症での死亡はこの病気で、西日本を中心に発生が多い。

2013年に日本で初の患者が発見されたが、決して珍しい病気ではなく、その後も感染者は300人を越えて報告されている。

犬がこのウイルスに感染した場合、発熱や血小板減少などの症状が現れることもあるが、無症状であることも多く、唾液や血液からの人への感染が問題になる。

 

以上がマダニが媒介する代表的な病気ですが、マダニによる感染症はまだ他にもあります。

このようなウイルスや病原体に感染した動物にマダニが寄生し、吸血する時に病原菌がマダニの体内に移動します。

そしてその体内で増殖した病原体は、再びマダニが吸血する次の動物の体内に移動して感染が成立します。

【参考記事】

犬のフィラリア症はどんな病気?感染経路・症状・治療について

マダニの予防方法

マダニの怖さは、ただ寄生して吸血するという単純なものではなく、上記のような病原菌を保有している危険性があることです。

マダニ感染症で寄生された犬が病気になったり、飼い主へ感染したりする可能性があり、犬が寄生されないように予防することが第一です。

マダニが生息する場所に近寄らない

《マダニが多く生息している場所》

草むらのあるような公園・河川敷・山林・キャンプ場・ハイキングコースなど

例え都会であっても、基本的に草むらのあるようなところであれば、道端などにもマダニは潜んでいると考えて下さい。

マダニは、動物が放出する二酸化炭素のにおい、体臭、体温などを感じて飛び移って来ます。

ですので、「そういう場所に極力いかない」ということが大事です。

犬が草むらなどに入りたがることは多いですが、マダニ予防のためにできるだけ避けた方が安全です。

マダニは人にも付くので、人もそのような場所に行く必要性がある時はできるだけ肌の露出を少なくして衣服で覆って下さい。

散歩後は毎回ブラッシング

外出後は犬にブラッシングしながら、マダニが付いていないか確認して下さい。

マダニは、耳、胸元、顏まわり、内股、お尻など、毛の少ないところを好んで寄生します。

また、垂れ耳の犬などでは、耳の内側に寄生する可能性があるので気を付けて見てあげて下さい。

マダニ予防薬を使っていたのにマダニが付いていたという話も時々聞きます。

予防薬は正しく使用すればほぼ確実に予防できるはずですが、マダニ生息場所に行くことが多い場合、やはりそのようなリスクがあるかもしれません。

マダニ予防薬について

犬のマダニ予防薬はいくつかの種類があります。

マダニ予防薬はマダニだけでなく、ノミダニ予防薬としてノミも一緒に駆除できるようになっているのが一般的です。

飲み薬タイプもあれば、肩甲骨の間に滴下するスポットタイプの薬もあります。

同じように見える薬でも、ノミの成虫だけを対象にするもの、卵にも有効なものなど、成分に多少違いもあります。

例えばですが、有名なスポットタイプの薬に「フロントライン」というものがあります。

このフロントラインブランドだけでも「フロントラインスポットオン」「フロントラインプラス」「フロントラインスプレー」という3種類があります。

どれもがノミとマダニに有効なのですが、ノミの卵・幼虫・シラミ・ハジラミなど広範囲に有効なのはフロントラインプラスだけです。

同じ製造ラインの薬なので元の成分は同じなのですが、フロントラインプラスだけにプラスされている成分があり、その分やや強い薬になっているということなのです。

同じような予防薬を使用するのなら全てをカバーできる薬の方が良い、と考えることもできますし、犬の体への負担を考えて最低限であえて弱めの薬を選ぶ、という選択方法もあると思います。

【参考記事】

ノミ対策は大丈夫?犬が尻尾の付け根を噛む・舐める

内部寄生虫(フィラリア)予防も兼ねた薬について

最近は、ノミダニなどの外部寄生虫だけでなく、内部寄生虫であるフィラリア予防まで一種類でまとめて対象にした薬もあります。

フィラリアは、年に一度、これまでに感染がなかったかという血液検査をした上でその年の予防薬を開始するのが原則です。

気候の温暖な海外では、一年中フィラリアを媒介する蚊がいることを前提にし、フィラリア予防も年間を通じてする地域もあります。

年中フィラリア予防薬を欠かさず投与していれば、感染はないと考えても良いかもしれません。

しかし、日本のように薬を飲ませない季節がある場合、その間にフィラリア感染していないとも限りません。

もし感染していて、体内でフィラリアが育っている状態でフィラリア予防薬を飲ませ始めるのはとても危険なことです。

フィラリア感染については下の記事が参考になります。

【参考記事】

犬のフィラリア予防薬の種類・投与の時期・副作用について

繰り返しますが、フィラリア予防を兼ねるのであれば、必ず投与前に血液検査が必要です。

ノミダニ予防薬は量販店などにも市販されています。

ただ、店頭に置かれているようなものは成分が軽くあまり効果がなかったり、マダニ駆除が確実にできないものだったりもします。

駆除薬全般が犬に良くないという考えの元に、アロマスプレーなどで予防している飼い主さんもいるようですが、忌避剤としては多少の効果はあるとしても確実な予防薬にはなりません。

駆除薬は殺虫剤であり、敬遠したい気持ちになるほど強い成分であることに間違いなく、アロマではその効果は代用できません。

できるだけ負担がかからない方法をという気持ちは理解できなくはありませんが、それで予防はできないと認識した上で、寄生虫にはくれぐれも注意して欲しいと思います。

私の犬はスポットタイプを嫌がっていて、一時期、寄生虫全般に有効な飲み薬に変えてみたことがあります。

喜んで食べたのでこれならうまくいくと思いましたが、その後てんかんを発症し、主治医と話し合って再びスポットタイプに戻りました。

その飲み薬の「スピノサド」という成分は、てんかんにはハイリスクであるという副作用情報があったのです。

このように、犬の体調や持病によって安全に使えない成分のものもあるということです。

どれも同じように思える薬であっても、成分はそれぞれ微妙に違います。

薬に関しては、安易に自己判断せずに不安なことは獣医師と相談し、アドバイスを受けて下さい。

特にフィラリア予防を兼ねた薬は獣医師の処方を受けるべきと私は考えています。

 

【スポットタイプの薬・フロントラインプラス】

ノミやダニを24時間以内に駆除し、ノミに対しては約1~3ヶ月間、ダニに対しては約3週間新たな寄生を予防

さらに、ノミの卵の孵化・発育まで阻止するダブルの効果を発揮する。

投与後24時間以降にシャンプーも可能。

フロントラインプラス(小型犬用/10kg未満)

 

【飲み薬タイプの予防薬・ネクスガード】

食べやすいソフトチュアブルタイプの飲み薬。

大豆由来の成分ですが牛肉風味になっており、嗜好性が高いので確実な投与が期待できます。

6時間以内にノミを駆除し、マダニに対しては24時間以内に駆除する効果があります。

この飲み薬の成分は「アフォキソラネル」というもので、マダニへの効果は1ヶ月持続します。

ネクスガード(超小型犬用/2~4kg)

犬の体にマダニを発見した時の対処法

どんなに気を付けても、マダニが生息している場所がある限り、犬の体に付いてしまう可能性はあります。

そのまま家に持ち込んでしまい、室内に住み着いて繁殖してしまうと最悪ですのでそれだけは避けたいです。

犬の体にマダニが付いてないか、ブラッシングなどのケアをする時には確認してあげて下さい。

もしマダニを発見したら、急いで取りたくなるかもしれませんが、マダニはセメントのような物質を分泌して大変強い力で寄生しているのです。

簡単にポロっと取れそうに見えますが、10日近くも寄生して吸血しようとする寄生虫ですので、そうはいかないのです。

体も頑丈で硬く、簡単につぶすこともできず、また、つぶしてしまうと、保有しているかもしれない病原体が一気に拡散されて大変危険です。

無理にはがせばマダニの体がちぎれ、強力に寄生しているマダニの口器だけが皮膚に噛みついた状態で残り、その部分の皮膚が感染を起こす原因になってしまいます。

ネット上では、マダニの取り方など紹介されていたりしますが、マダニはしぶとく、口器を残さないように上手に取るにはコツが必要なので病院で確実に取ってもらって下さい。

飼い主さんが気づいたということは、すでにマダニが吸血によって大きくなっていて寄生して何日か経過しているとも思われます。

念の為に犬の寝床やカーペットなど、居住スペースにマダニが落ちていないかも確認して下さい。

飼い主さん自身がマダニに寄生されていた場合も、必ず医療機関に受診して同じように対処して下さい。

 

まとめ

マダニは、人にも犬にも共通する感染症の媒介をする危険があり、それらの感染症の中には治療法がなく死亡率の高いものもあることが怖さです。

基本的にどの季節でもどの地域にでも、マダニの生息できる環境があるので、そのような場所に近寄らないことが第一です。

マダニは、フィラリアを媒介する蚊よりも、避けようと思えば避けやすいと思います。

飲み薬やスポットタイプなど予防薬がありますので、目的に合わせて上手に使ってあげて下さい。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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