『犬の十戒』~犬との約束~にGo!

マラセチアによる犬の皮膚炎と外耳炎 病気の発症と免疫力の関係

♦皮膚/アレルギー
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犬の皮膚のトラブルは些細なことで起こりやすく、また治りにくく長期に渡って通院の必要なものも多くあります。

マラセチア」という病名をお聞きになったことはないでしょうか?

これが犬の皮膚炎や耳の炎症の原因になっていることはとても多いです。

今回は、マラセチアとはどんな病気か、対策はどのようにすればよいかについてご説明します。

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マラセチアはカビの一種

「マラセチア」ちょっと聞き慣れない名前ですね。

マラセチアは、真菌の1つであり、いわゆるカビの一種です。

俗に言う「水虫」なども白癬菌という真菌が原因ですが、マラセチアもそれと同じ仲間に入ります。

正しくはマラセチア酵母菌と呼びます。

マラセチアは普段から皮膚に常在している

マラセチアは、急にどこかからやって来る菌ではありません。

普段、皮膚病などがない健康な皮膚にも、少数常在している「常在菌」です。

犬にももちろんいますが、私達の皮膚にもいるのです。

しかし、普段は数が異常に増殖するようなこともないので皮膚病を起こすわけでもなく、ただおとなしく共存できています。

そして何らかの原因により、この菌が増えてしまった時に皮膚炎などの病気を起こします。

検査ですぐに見つかる

マラセチア皮膚炎を起こしている部位からテープで採取した表皮に、特殊な染色を施して顕微鏡で見ると、落花生のような(よくボーリングのピンとも表現される)形に見える菌が確認できます。

それがマラセチアです。

常在菌なので、病気になっていない表皮からも発見することはできるのですが、数が圧倒的に違います。

通常は、顕微鏡の視野中に5個以下しかありません。

マラセチア皮膚炎の発症は免疫力と関係がある

マラセチアは、健康な皮膚に常在していても、数は少ないので普段は病気を引き起こしたりしません。

しかし、体調が悪いなど、身体の免疫力が落ちた時や、アレルギーにより皮膚のバリア機能が低下している時など、保っていたバランスが悪くなった時に、マラセチアが過剰に増殖して皮膚病の原因になります。

反対に、マラセチア皮膚炎になったということは、身体の免疫力の低下が起こるような基礎疾患があるとも考えられるのです。

マラセチアが増殖すると、単独で皮膚病を起こすだけでなく、同じように健康な皮膚に常在するブドウ球菌と一緒になって皮膚病の症状をより悪化させることも多いです。

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マラセチアによる皮膚病は慢性化することもある

どんな犬にも発生する皮膚病

マラセチアは、犬の年齢関係なく、どの犬にも発症する可能性があります。

特に皮脂が多い犬は注意が必要で、シーズーや柴犬に多いとされています。

マラセチアは皮脂を好んで餌にしているので、特に皮脂の多い部位に皮膚病が好発しやすいです。

 

《好発部位》

腋の下・足の指と指の間・肛門周囲・腹部

 

単純にマラセチアの増殖で皮膚炎が起こるだけではなく、マラセチアに対する身体のアレルギー反応を起こすことがあり、それによって起こる皮膚炎の可能性もあります。

マラセチアによる皮膚炎は、表皮がべたべたしやすくなり、さらにマラセチアの住みやすい環境を作ることになって増殖を繰り返すという悪循環を招きます。

激しい痒みを伴う

マラセチア皮膚炎を起こした犬の皮膚は強い痒みがあり、犬は皮膚を掻きむしる傾向があります。

皮膚は赤くなり、脂っぽくベタベタして独特なにおいがあり、フケや脱毛などの症状が現れます。

慢性的にマラセチア皮膚炎が続くと、次第に皮膚が肥厚して象の皮膚のようになり黒ずんで来ます。

治療は困難になることも

マラセチアそのものに対しては、抗真菌剤や薬浴などで治療を行います。

そして増殖する元になっている基礎疾患も治療しなければなりません。

アレルギー性皮膚炎などで皮膚の状態が悪く、皮脂が過剰になっている場合などは、マラセチアが増殖しやすい条件です。

まず皮膚のバリア機能を改善することが必要になります。

マラセチア皮膚炎を繰り返しながら、治療が長期に渡ってしまうこともあります。

 

マラセチアは耳の病気の原因にもなる

耳の中はマラセチアが繁殖しやすい

は、外側から鼓膜までの部位を外耳と呼び、その奥には中耳や内耳が存在しています。

人の外耳道はまっすぐですが、犬の耳はもともと外耳道が途中でL字型になって曲がっているので、外耳炎が起こりやすいのです。

 

【犬の耳の構造】

出典元 http://itabashichuo.itabashichuo-ah.com/?day=20150312

 

耳の中は湿気があってジメジメし、餌になる脂性の耳垢が豊富な為に、マラセチアにはとても住み心地の良い環境です。

その為、マラセチアが原因の外耳炎が起こりやすくなります。

外耳炎の70~80%にはマラセチアが関与しているとも言われているのです。

垂れ耳の犬は特に注意

犬の耳にはいろいろな形がありますが、耳が垂れている種類の犬は特に、耳に蓋をしているようなものなので、耳の中が蒸れやすくなります。

立ち耳の犬と比べて通気が悪い分、マラセチアが増殖する環境が揃っているので、外耳炎を起こすリスクは高いです。

耳を痒がる

マラセチア外耳炎になると、犬はとにかく耳を痒がります。

それでも犬は指を入れて耳の中を掻くこともできませんので、後ろ足で首を掻くとか頭を振るなどの動作を繰り返します。

飼い主さんも最初は、耳が痒いことには気づきにくいかもしれません。

犬は、痒いけれども自分ではどうすることもできず、床や壁に耳をこすり付けて掻くこともあります。

そして耳には、濃い茶色~黒色のベタベタした耳垢が溜まり、悪臭がするようになります。

外耳炎を放置すると

掻き壊して耳の皮膚を傷つけてしまうと、細菌の二次感染が起こり、症状がひどくなります。

耳の中が爛れて、血液が溜まる耳血腫という状態に移行しやすく、治療も大変になって、切開するなどの手術が必要なこともあります。

治った後も耳が変形したまま元に戻らなくなってしまいます。

また、耳は内耳から脳へと繋がっている為、炎症が中耳~内耳と次第に奥の方まで進行すれば、脳にまで及んでしまう危険もあります。

初期で治療すれば、マラセチア外耳炎の治療だけですんだものが、治療困難な状態になって時間もかかり、犬にかかるストレスや危険も大きくなります。

重症になってしまうと痛みも出て来るので、耳に触られることに強い抵抗を示すようになり、治療がスムーズにいかない可能性もあります。

早期なら点耳薬だけで治療可能

マラセチア外耳炎の早期の場合は、抗真菌薬入りの点耳薬を使う治療で1ヶ月くらいで軽快します。

抗生剤やかゆみ止めとしてステロイド剤が処方されることもあります。

症状が重ければ、耳洗浄の処置が必要なこともあります。

マラセチア外耳炎は再発しやすい病気ですので、治っても耳の状態を普段からよく把握しておくことも大事です。

私の愛犬もマラセチア外耳炎にかかったことがあります。

よく見ると耳の中には茶色の耳垢があり悪臭がありましたが、私はまだ気づいていませんでした。

定期の通院時に獣医師によって発見され、まだ軽度のうちに治療を始めたので、治るのも早かったです。

点耳薬に加えて、念の為に抗生剤とステロイド剤を処方され10日間ほど飲ませました。

中途半端な治療をするよりも、指示通りにきっちりと治療することがベストです。

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マラセチアの対策

マラセチアは、普段から体にいる菌なのでゼロにする必要はなく、均衡が保てていれば病気を引き起こすこともありません。

要はマラセチアが増殖しなければ良いのですから、増殖させない対策が必要です。

室温や湿度

高温多湿の環境を作らないということが大事です。

日本の気候は高温多湿で、特に梅雨時はマラセチアの増殖に危険な季節と言えます。

季節を問わず、エアコンの調整をして高温多湿にならない環境を整えましょう。

高温多湿は室内だけの問題ではなく、耳の中もそのような環境にならないようにしなければなりません。

自宅でシャンプーをした後や雨の日の散歩の後などは、耳の中に湿気がこもりがちになるので要注意です。

耳の中に水分やシャンプーが残存しないように、きちんとすすいだ後に丁寧に拭き取って乾燥させるようにしましょう。

雨の日の散歩後も濡れた状態で放置しないようにしなければなりません。

 

 

生乾きや自然乾燥は、湿度がこもりマラセチアの増殖の原因になるので、きちんと乾かして下さい。

基礎疾患のコントロールと免疫力

マラセチアによる皮膚病や外耳炎を繰り返したり、あるいは治療がうまくいかない場合は、何か免疫力に関係する病気がある可能性があります。

 

 

全身性の病気が隠れていることが考えられるので、検査をしてみることも必要かもしれません。

免疫低下の原因になっている基礎疾患がある場合は、そのコントロールが必要になります。

また、食生活の改善やストレスの解消により、日常から免疫力のアップを図りましょう。

アレルギー性皮膚炎の改善

マラセチアは、アレルギー性皮膚炎に関連していることが多いです。

アレルギーを改善し、皮膚のバリア機能を正常に保てるようにすることが重要です。

体質的に皮脂が多い場合は、皮脂の分泌を高める脂肪分の高い食事や酸化しやすいフードなどは気を付けなければなりません。

アレルギー用の良質なフードを選び、そのアレルギーに合わせたシャンプーで身体を清潔にして皮脂をコントロールし、皮膚の状態をよくすることが第一です。

アレルギーのある犬には、マラセチアもアレルゲンになりやすいです。

マラセチアに対するアレルギー反応で、皮膚病や外耳炎を起こしてしまう可能性もあります。

耳掃除について

マラセチア外耳炎は、状態によっては耳洗浄の処置が必要です。

しかし普段の耳掃除は、本来、ほとんど必要ないという獣医師の意見もあります。

耳には自浄作用が備わっているので、耳が健康な状態であれば耳垢(汚れ)は少しずつ表に運ばれて出てきて、犬がブンブン頭を振ると排出できるとされます。

それなのに、耳掃除で綿棒などを入れて刺激をすることで外耳を傷つけ、皮膚表面のバリア機能が失われたり、汚れを奥に押しやってしまったり、かえってトラブルの元になるのでしない方が良いというものです。

耳掃除はいらないとまでは言わないが、慣れない飼い主さんが自宅でするのはやめた方が良いという獣医師もいます。

 

だけどマラセチア外耳炎が発症しやすい犬は耳がべたつきやすく、清潔にすることが重要になります。

どうしたら良いのでしょう?

 

耳掃除は、トラブルのない状態であれば必要ないと考えて良さそうです。

異常なにおいや黒っぽい耳垢などがないかの観察は普段からしましょう。

犬の耳の皮膚はとても傷つきやすく、人の感覚で耳掃除をしてしまうと傷つけてバリア機能が崩れトラブルの元になります。

外耳炎をおこすリスクの高い犬の場合でも、獣医師の指示が特にない限りは、クリーナーなどでのお手入れを月一回程度行えば十分なようですが、自信がなければ病院に任せる方が堅実です。

間違っても綿棒を耳の中に入れてこするようなことはしないようにしましょう。

もし汚れが付いていれば耳の入り口周囲だけ、コットンに洗浄剤を含ませて力を入れずに優しく拭く程度のお手入れをして下さい。

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まとめ

マラセチアは常在菌なので、完全に除菌するというわけにもいきません。

普段、免疫力や皮膚の状態などのバランスが取れている時には病気の原因にはなりませんが、そのバランスが崩れ、増殖して優位になると犬の皮膚炎や外耳炎を引き起こしてしまいます。

このような形で起こる病気は日和見感染症と呼ばれ、原因になる常在菌は他にもたくさんあります。

清潔にすることは重要な対策ですが、犬の皮膚はとてもデリケートであり、特に耳の手入れは注意が必要です。

過剰な手入れにより、かえってリスクを高めるようなことのないようにしましょう。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

 

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