子供が犬アレルギーを発症したとき・犬との共存は可能?

犬を通して学ぶことは多く、犬を家族の一員としての暮らしは本当に楽しいものです。

子供が成長していく過程で、犬を迎え入れることを推奨する意見もよく耳にします。犬はきっとよきパートナーになり、命を慈しむという大切な感情を自然に育ててくれる存在になることでしょう。

しかし、犬が人間のアレルギーの原因になるという、予期せぬ事態に陥ってしまう話も実に多く、そのアレルギーが大変深刻である場合もあります。

今回は、子供がもし犬アレルギーを発症したら、犬との暮らしを継続することは可能なのかということについて考えてみたいと思います。

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犬アレルギーとは何か?

これまでの記事の中ではのアレルギー疾患のことについて書いてきたのですが、犬アレルギーというのは、犬がアレルゲンそのものになる、人間に発症するアレルギーです。

発症機序は犬も人間も共通していますので、こちらの記事が参考になります。

【アレルギー反応の分類】

犬の目が腫れるのはアレルギー症状?目が腫れる原因と対処法

【かゆみのメカニズム】

犬もつらいアレルギーのかゆみ症状 発症メカニズムと対処法 

動物に対するアレルギーは犬だけではありませんが、特に犬は人間の近くで暮らしていることが多いためか、動物アレルギーの中でも代表的なものです。

犬の毛がアレルゲンになると解釈されることも多いようですが、厳密に言うと、アレルゲン物質はその体内で作られている“Canf1”という物質です。

Canf1という物質は、被毛やフケ、唾液中にまで存在しています。このアレルゲン物質が含まれている毛に触れることや、空中で長時間漂い続けるこの物質を吸入してしまうことにより、アレルギー症状が起こります。

Canf1は大変小さな粒子である為に、細い気管支にも簡単に入り込みます。それが呼吸器系のアレルギー症状である子供の喘息発作を引き起こす原因になります。

アレルギーの症状は、喘息発作の他にも、アレルギー性皮膚炎や目の腫れ、皮膚の激しいかゆみなどがありますが、その程度も局所的で軽いものから、呼吸困難や、アトピーが重症化し全身の皮膚が発赤して剥がれ落ちる「紅皮症」、高熱などの重篤なものまで様々です。

寒冷地の国ではダニが生育できない代わりに、喘息の原因になるのは、猫も含めこのような動物であることがほとんどだそうです。日本においては、アレルギー疾患の患者の43%がペット飼育中であり、11,2%が過去にペットを飼育した経験があるというデータがあります。

日本でアレルギー患者がペットを飼っている率は43%あり、11.2%は過去にペットを飼ったことがある。

アトピー性皮膚炎で犬を室内で飼っている場合、生後3ヶ月以内にRAST陽性率が高値になる。また自宅だけでなく父母の実家で飼われていても陽性率は高く、実家を訪れる回数に比例して陽性率が上昇するので注意が必要である。出典元 http://www.rose.sannet.ne.jp/kuroshou/catdogallery.htm

犬アレルギーは治る?

犬アレルギーも他のアレルギーと同様に、子供とアレルゲンになっているものとの接触さえ避けて過ごせれば、症状の出現を予防することは可能です。

また、薬でアレルギーの症状を緩和することはできます。子供のアレルギーがどのような形で出現しているか、どんな症状があるかによって治療も異なりますが、抗ヒスタミン薬やステロイド剤などが選択されるようになります。

犬の医療に人間の医療と同じ薬が使われることが多いですので、下のリンク先記事も参考にしてみて下さい。

どんな薬?犬のアレルギー治療薬の種類とその特徴について

子供の犬アレルギーは、症状をコントロールしていくことは可能ですが、アレルギーそのものを治療する方法はありません。

アレルギーの治療の中には、あえて少量のアレルゲンを体内に入れて、その量を次第に増やして慣らしながらアレルゲンに対する過敏な免疫反応を軽減させていく治療法、減感作療法(脱感作療法)というものがあります。しかしこれは犬アレルギーには効果が薄いと言われます。

基本的に、犬アレルギーを治す治療はなく、アレルゲンを遠ざけて症状をコントロールするという方法しかありません。

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子供が犬アレルギーを発症した時すべきこと

子供に皮膚や呼吸器の症状が見られ、アレルギーが疑われる時は、その原因になっているアレルゲン物質が何であるかを特定する為の検査を受けさせましょう。

アレルギーによるかゆみや喘息の症状はとてもつらいものですが、幼齢の子供や乳児はこの症状のつらさを正確に表現することができません。

子供のアレルギー症状は、周囲の大人がいち早くそのことに気付き、状況をコントロールすることが大切です。

アレルギーの検査には、前腕の内側の皮膚にわずかなアレルゲンを針で刺して、その反応を見るプリックテストと呼ばれる検査と、血液を採取して調べる検査があります。

プリックテストの方は幼齢の子供にも手軽に行なえ、15分ほど待てばその日のうちに結果が出ますが、抗原(アレルゲン)を用いた検査なので、強い免疫反応であるアナフィラキシーショックを起こす危険があります。

血液検査の方は、あらゆる抗原(アレルゲン)に対する抗体(特異的IgE)を調べる検査で、IgE-RAST法というものがあります。結果が出るまでには1週間ほどかかり、RAST値という、それぞれのアレルゲンに対してアレルギーの起こりやすさを数値にしたものを知ることができます。

検査の結果、アレルギーが判明した場合は、まずアレルゲンになっている犬との距離をとるようにし、接触を避けるように早急に対処することが求められるでしょう。

犬アレルギーの子供と犬・共存していく為には

昔は、犬を外に繋いで飼育することが日本のよくある光景でした。現在は室内での飼育が推奨されるようになりました。温暖化の影響もあって、昔と比較し、外での飼育は現実的には過酷な環境でもあります。

しかし、例えば、あまり外気に影響されないような、屋内に繋がるようなスペースが幸いあって、雨や風や強い陽射しを避けることができ、犬が落ち着ける小部屋を確保できる、という条件を満たせるなら、屋外飼育も子供のアレルギーの回避方法の一つではあります。

ただ、室内飼育に慣れているのにいきなり屋外に出すというのは酷なことですし、小型犬などの犬種によってはまず外での飼育は不可能です。

子供のアレルギー症状の出現を抑える為に、日常的に工夫できることを次に挙げてみます。

◆室内で犬のいる場所を限定し、出入りしない(アレルゲン物質が飛散しない)部屋を作る。特に子供の寝室には入れない。

◆部屋の換気や掃除をそれまで以上に徹底する。床に落ちている、アレルゲンの付着した被毛や空中に飛散している物質を極力、室内に滞らせない、放置しないということを心がける。

◆カーペットやクッション、その他の布製のものは、ほこりやフケ、被毛などが付着しやすくダニの温床になりやすいので除去する、あるいは減らす。特にカーペットは取りはずすと効果がある。

◆部屋全体の家具や物も最小限にして、常に掃除がしやすいようにすっきりさせる。

◆拭き掃除を週1回は行う。壁も拭くと効果がある。カーテンも週一回洗濯する。コロコロも活用。

◆掃除機はHEPAフィルター使用製品が望ましい。同様にHEPAフィルター使用の空気清浄機をファンをONにして設置する。

◆犬のブラッシングやシャンプーを定期的におこない、清潔にする。

(シャンプーに関しては、あまり頻繁にすると犬の皮膚の皮脂を取り去ってしまい、皮膚のバリア機能が壊れ、負担がかかって皮膚炎の原因になります。あくまでも人間の都合でのシャンプーであり、洗っても抗原物質はすぐに元に戻るものです。シャンプーしない時は温タオルや専用ウェットタオルなどで表面を撫でるように拭くと良いです。)

【シャンプーの頻度について】

アレルギー体質の犬におすすめシャンプー!皮膚に優しい6品

◆子供が犬に触れる時にはマスクや手袋、被毛が付着しにくく落としやすい素材の服を着用し、触れたあとには着替えて手洗いする。

◆服薬により子供のアレルギー症状を抑える。また、子供がショック症状に陥った時にも対応できるように備える。

《HEPAフィルターとは?》

HEPAフィルターとは、空気清浄が求められる分野で使用される高性能フィルターで、High Efficiency Particulate Air Filterの略。素材は直径110μm以下のガラス繊維のろ紙でできており、JIS規格で『定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルター』と規定されている。HEPAフィルターはクリーンルームやクリーンブース用の精密空調機器、製造装置の組込み用のファンユニットに使われ、クリーン度クラス10010,000までに対応し、高いクリーン度を要求されるような半導体や液晶、医薬品や食品などに適している。また空気清浄機やエアコンなど家電の排気フィルターとしても搭載されている。出典元 http://www.weblio.jp/content/HEPA%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC

《HEPAフィルター使用空気清浄機》

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《HEPAフィルター使用掃除機》

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努力しても改善しない・子供の犬アレルギーが深刻な場合はどうすべきか?

共存するためにどんなに頑張っても、やはり子供のアレルギー症状がひどくてなかなか改善しないという場合もあるでしょう。アレルギー症状の出現は個人差があります。

アレルギーは、我慢して治療を頑張ればいつかは慣れるとか治るとかいうものではなく、時に生命に関わるようなこともある病気です。子供のアレルギーは決して軽視できません。

子供の目が腫れ、皮膚に蕁麻疹が出ている時は、内臓にも同じ現象が起こっている可能性があって、気道粘膜の浮腫がひどくなると、気道が塞がってしまい呼吸ができなくなります。子供の喘息も最も重度である大発作では、呼吸停止に陥ることもあります。

もしも子供のアレルギーが重度なら、このまま共存できるのかについて改めて検討すべき時が来ると思います。

子供に薬を飲ませて症状をだましだまししながら、犬を手放さずに暮らしているご家庭もあれば、子供のアレルギーを理由に、迷惑な不要品であるかのように犬を放棄する人もいます。

一緒に暮らしたくて無理をしすぎれば、犬は一日中ケージからほとんど出ることができず、子供は一切近づけないということになるかもしれません。それならばいっそ、新たな里親さんに託し、犬の居場所を作ってあげる方が幸せに違いない、子供も楽になる、そういう考え方もあるでしょう。

これは、当事者以外が、どちらが悪い、何が正しいと評価することはできない問題ではないかと思います。

私は看護師ですが、呼吸器専門外来の勤務だった時期があり、猫のアレルギーを持ちながら猫と暮らしている喘息の患者さんが来院されていました。医師はその人が体調を悪くするたびに「猫を手放した方がいいのでは?」と助言していましたが、その人は耳を傾けませんでした。

医療機関では、このような指導を受けることも多いのではないでしょうか。その動物を手放せば、おそらく子供の症状が改善するという見込みでの助言はあると思います。

ただ、その動物の行き場所まで一緒に考えてくれるわけではありません。

子供が生後1歳までに2匹以上の犬または猫に接触することにより、その後のアレルギー発症のリスクが低下するという研究結果もあります。(情報の出典元 http://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/195228

このような結果を見ると、共存することは、将来的に子供のアレルギーにプラスの結果が得られるのではないかという希望も見出せそうですが、子供のアレルギーに対して、子供と犬を近づけるがよいのか離すがよいか決定的な答はなく、やはり子供の病状に合わせ個々の判断になるでしょう。

検討の後に、子供と犬の共存を諦める結論にたどり着いて、もしも手放す選択をするのならその時は、犬が必ず次の幸せに結びつくようにして欲しいと思います。

保健所や愛護センターは、何らかのアドバイスは受けられても、そこに連れて行けば里親を見つけてくれるという施設ではありません。

殺処分を回避すべく努力を職員が全力で取り組んでいる自治体もありますが、飼い主に放棄された犬は基本的に里親への譲渡の道が開かれていないのが現状です。

一度は家族として迎えたのです。子供の為に手放すことを決めても、安易に保健所に連れて行くのではなく、幸せにその命を全うできるように里親を探して下さい。それは犬を迎えたことへの責任でもあります。

まとめ

念願の犬を家族の中に迎えたにもかかわらず、子供にアレルギーが判明して飼えなくなったという理由はめずらしくありません。

里親探しのサイト内でも、キーワード検索するとたくさんヒットします。

重度のアレルギーは深刻なもので、子供が生命の危険にさらされることもあります。手を尽くしたが改善できず、途方に暮れて犬を手放すに至った人を責めることは誰にもできません。

時々、子供のアレルギーで切実に里親を探している飼い主さんに向けて「子供のためにもなぜもっと頑張らないのか」「子供のアレルギーは犬の飼育をやめる理由にならない」「自分もアレルギーがあったが治った。あなたは無責任だ」などと意見している第3者を見かけます。

子供を理由にいとも簡単に犬を捨てる人があまりに多い為に、物申したくなる気持ちも理解できなくはありません。しかし里親探しをしているのは責任感があるとも言えるし、責めたところで子供の病状は他人にはわからないのです。

毎日、掃除に追われ大変な思いをしながらも、環境の改善に尽くし、犬を手放すことなく、アレルギーの子供との共存がうまくいくなら、それが一番幸せなことです。

その一方で、犬と子供の双方の為に、良心的で愛情深い里親さんを見つけて託すという選択も、決して間違っていないと思います。

いずれも妥協することなく、犬も子供も幸せになれる道を真剣に考えて欲しいと思います。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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