ストレスの蓄積が病気の原因にもなることはよく知られていますね。
人の場合、精神疾患の引き金になることもありますが、それは犬にとっても同じなのです。
ストレスがかかり続けると犬も精神の病気、うつ病になることがあります。
今回は犬のうつ病について、みなさんと情報共有したいと思います。
ストレスは犬の身体に異常をもたらす
私達の体はストレスの影響を受けるので、蓄積すると自律神経のバランスが崩れて胃腸の働きなどに異常が現れたりします。
犬の体も、一番症状が出やすいのは嘔吐や下痢などの胃腸症状です。
行き慣れてない場所にお出かけしたり、初めてのトリミング店に行ったり、慣れてない犬と一緒にいただけで胃腸の調子を悪くしてしまう子もたまにいますね。
ストレスは免疫力の低下にも繋がります。
免疫力が低下すると感染症を起こしやすくなるので、泌尿器系の病気なども起こりやすいです。
ストレスは皮膚のバリア機能を低下させる原因もなり、心因性脱毛という病気で被毛が抜けてしまうこともあります。
【ストレスが原因になる病気】
ストレスに早期に対処すれば症状を悪化させずにすみますが、いつまでも解決されなければ病気もこじれて重症化してしまいます。
ストレスは精神の病気の原因になる
ストレスは犬の精神にも異変をきたします。
犬が前足を執拗に舐めたり噛んだりする行動を見たことはありませんか?
もちろん全てが異常なのではなく、軽いうちにはリラックス行為の範囲内と考えられます。
でも自分ではやめられなくなるほどエスカレートした行動で、皮膚が炎症を起こして爛れ骨が露出するほど悪化することもあり、それは自傷行為と呼ばれます。
【前足を噛むのはストレスサイン?】
このような行動はストレス過剰に対する転位行動と呼ばれる反応です。
コントロールのできない、目的のない転位行動に支配されてしまう症状を常同障害と呼びます。
人間の精神科の対象になる病気で、強迫性障害(強迫神経症)と言われる不安障害がありますが、それと同じです。
人の場合で例えると、どれほど手を洗っても汚れが気になり皮が剥けても洗い続ける行為がやめられない症状や、ガスの元栓や鍵を閉めたか心配で確認にすることがやめられず、外出や就寝ができない、などの症状があります。
「やめられない」強迫行為の根底には、不潔恐怖などの「恐怖症」という強迫観念があります。
その不安感を打ち消すためにこのような不合理な行動が起きているのです。
こういった病気はストレスがかかるほど悪化します。
無理にやめさせようとするとよけいにストレスになり、強迫行為に振り回されて日常生活すべてを費やすようになってしまいます。
【常同障害について】
犬のうつ病の発見方法
犬には人間が考えている以上に、喜び・哀しみ・不安・恐怖などの深い感情があると言われます。
人との暮らしの中にもストレスはありますが、ストレス過剰な環境だと本格的に精神を病んでしまいます。
近年、人のうつ病は増えていますが、犬も同じようにうつ病にかかります。
うつ病とは
うつ病とは
- ほとんど毎日の抑うつ気分
- 興味や意欲の減退
- 精神活動や集中力の低下
- 不眠または過眠
- 易疲労性・焦燥・持続する悲しみや不安
- 食欲低下
などの気分障害を症状とする病気です。
うつ病になりやすい素因がある
うつ病は、なりやすい性格的素因がある病気です。
真面目で責任感の強い人がなりやすいとかも言われますよね。
ストレスを溜めやすい傾向があるようです。
真面目で頑なであるほど融通が利きにくいので、環境変化に弱くてストレスを溜めやすいということかもしれません。
犬も個性があるので、やはり精神病にかかりやすい性格の傾向がありそうです。
- 飼い主さんへの依存傾向が強い
- 甘えん坊で繊細な性格
- 警戒心が強い
- 留守番が苦手
上記のような性格は、ストレス耐性が低く溜めやすい傾向にあるようです。
元々そういうタイプの犬が、ストレスの高い環境に晒され続けると耐えられなくなり、身体の不調や行動異常、うつ病という病気を発症しやすいと言えるのです。
犬のうつ病の症状や行動
次のような症状の持続はうつ病に陥っている可能性があります。
- 食欲低下あるいは過食傾向
- 意欲がなく元気がない、表情や感情の表現が乏しい
- 散歩に行きたがらない
- 長時間吠え続ける、遠吠えする
- 慢性的に嘔吐や下痢をするなどの身体不調がある
- 狭いスペースに閉じこもり飼い主の呼びかけにも反応しない
- 粗相が増える
- 同じ場所を意味なく何度もウロウロ歩き回る
- 自傷行為が見られる
これらの症状は、犬が高齢の場合は認知症ともだぶる部分があります。
人の場合も、高齢者では2つの病気の初期症状は似ていて区別がつきにくく、観察に注意が必要です。
犬のうつ病の改善はストレスを取り去ること
うつ病のメカニズムは解明されつつありますが、病気の全貌はわかってなくて未知の部分が多いです。
ただ、ストレスなどが原因となって、脳内物質がバランスを崩している病気なので、厳しくしつけたら治るわけではありません。
病気の原因になっているストレスを探す
犬がうつ病を発症した原因のストレスは何なのかを考えてみましょう。
犬は人が想像する以上にデリケートで、飼い主さんの何でもない対応が心を傷つけていたり、ストレスを蓄積させている可能性もあります。
音や光などの物理的なストレスの影響もありますが、何よりも大きいのは飼い主さんや飼い主さん家族との関係で生じるストレスかもしれません。
家族間の喧嘩・怒鳴り声・飼い主さんの機嫌など、犬には直接関係がなくても家庭内の緊張した雰囲気があればそれを敏感に感じ取り、居心地の悪さに一人で耐えていることもあるのです。
他にも、日常的に長時間の留守番をしている、いつもケージに入れられっぱなし、スキンシップ不足、十分な運動ができていないなども大きなストレスになります。
引越し、子供が生まれるなどの家族構成の変化、同居動物との相性などもストレスの原因になります。
日常生活での注意点
精神の病気を疑う前に、先に身体の病気がないかの確認をしましょう。
同じような症状を示す身体的な病気もあるので、それが原因になっているのかもしれません。
身体的な病気が何もなく、精神的な病気の可能性が高い場合はその治療をしていくことになります。
でもそれは薬物治療で完治するのではありません。
むしろ薬は必要な部分に対症的に使用するにすぎず、根本的にはストレスを取り除く飼育環境の調整がもっとも重要です。
メンタルケアや行動療法に理解のある獣医師と巡り合うことができれば、治療も進めていきやすいと思います。
人と同様にメンタルケアは根気が必要だと思います。
- 原因になっているストレスを取り除く
- 不安にさらされずのびのびと過ごせる
- 信頼関係と十分なスキンシップで精神を安定させる
- 根気よく観察しながら寄り添う
たとえ犬の行動ペースが伴わない状況であっても、名前を呼んで話しかけ根気強く見守り、安心できる療養環境づくりに努めてあげて下さい。
くれぐれも感情的に声をあげて叱るとか手をあげるとかのないように注意して下さい。
留守番も極力短くできる方がよいですが、留守番している時間がストレスにならないように工夫しながら慣らしていくのも大事なことです。
不安の強い犬は、飼い主さんと少しでも離れることのストレスに耐えられず、分離不安という状況に陥りがちです。
分離不安も精神疾患の一種です。
しかし、留守番中に何か怖いことや不安な出来事があったことが発端で(大きな音で雷が鳴ったなど)、嫌なイメージが留守番とリンクしている可能性もあります。
犬の行動の原因は何か?というところに目を向けてみて下さい。
ストレスを極力排除した環境づくりと「いなくなっても飼い主さんは必ず戻ってくる」いう安心感を持たせることが鍵になります。
留守中、ラジオをうるさくない程度にして点けておくことなどの工夫は、不安を感じやすい犬の寂しさを緩和するのに意外と効果がありますよ。
まとめ
犬も日常の中にはストレスがあり、限度を越えると精神の病気を発症することがあります。
一旦このような病気を発症すると治療は複雑になることもあります。
人間には大したことではなくても、自分で環境調整も発散も回避することもできないので本当に辛いと思います。
犬は何らかのストレスサインを出していることがあるはずです。
飼い主さんはそれを読み取り、病気になるまで我慢させることなくケアしてあげて下さい。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コメント
うつ病って犬もかかるんですね~きおつけなきゃ😮
風花さん、コメントありがとうございます。読んで頂いて嬉しいです。犬も私達との暮らしの中でストレスを感じることは多いようです。体だけでなく心の健康も気を付けてあげたいですね。