犬の緑内障は失明の危険あり!症状を知って早期の治療を!

犬の目の病気も基本的には人と同じものと考えてもよく、緑内障もその一つです。

緑内障とはどのような病気かご存じでしょうか?

目が白く濁る白内障と同様で、緑内障にも「緑」という色の名称が付いていますが、こちらは緑色とは関係がなく、外見的には充血して赤くなります。

緑内障はその症状に早急に対処しないと失明の危険性の高い病気です。

今回は、犬の緑内障について解説したいと思います。

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緑内障は眼圧が上昇する病気

緑内障は、ひとことで言えば、眼圧という、眼球の中の圧が上昇する病気です。

眼球は丸く膨らんだ形をしていますが、この中は眼房水という水分で満たされています。

房水(眼房水)という液体は、毛様体という組織で作られ、眼内圧を一定の量で満たしながら循環し、血管が通っていない眼内の組織に栄養を与える役割があります。

画像出典元 http://adachi-eye-clinic.com/chishiki/kozo.html

しかし、緑内障では、この房水が循環せず、眼内に過剰に蓄積する状態になります。

過剰に蓄積するのは、主に排出路に原因があります。

房水を循環させるために、古い房水は排出路から血液中に排出されますが、その通路が何らかの理由で閉塞し、産生された房水の流れが滞ってどんどん蓄積してしまうのです。

眼内を満たす房水の量が眼圧の正常範囲を越えて来ると、眼圧(犬の正常値:10mmHg~20mmHg)が上昇してしまいます。

眼球の中の水がたまりすぎ、膨らみ過ぎたボールのようにパンパンになっていくのです。

眼圧が上昇すると、目は内側からその圧に押されることになるので激しい痛みが生じます。

そして視神経を損傷し、損傷された視神経は永久に回復することがありません。

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緑内障は急速に進行して失明に至る

緑内障は、目の病気の中ではとても重要なものです。

特に急性悪化して発症する緑内障は、すぐに対処しなければ視神経の損傷すなわち失明に至ります。

視神経を損傷してしまうと、いくら眼圧を下げて治療したとしても元には戻らないのです。

その為に緑内障の治療には緊急性があります。

緑内障には、初めから緑内障として発症する原発性緑内障と、何らかの目の病気がありそれに続いて発症してしまう続発性緑内障とがあります。

原発性緑内障は好発犬種あり

原発性緑内障には遺伝的な要素があるとされます。

先天的な排出路の異常により、緑内障を発症しやすくなるのです。

この原発性緑内障は、片方の眼球で発症した後、半年ほどでもう片方も発症することが多く、両側性の病気である確率が高いというように考えられています。

緑内障の発症には好発犬種が指摘されています。

原発性緑内障の好発犬種:柴犬、シーズー、バセットハウンド、コッカースパニエル、チワワ

特に柴犬の発症は多いようで要注意です。

続発性緑内障は犬種を選ばない

続発性の緑内障は、何らかの目の病気から2次的に房水の排出路が詰まり、房水の流れが滞って緑内障へと移行していく状態です。

排出路が詰まってしまう原因になる病気としては、ブドウ膜炎が代表的で、他には水晶体脱臼などもあります。

このような眼内の炎症疾患によって壊死した組織や出血などが排出路に詰まり、房水が眼内に過剰に貯留し緑内障へと移行していきます。

ブドウ膜炎は白内障の進行とも関連が深く、高齢犬では白内障があることが多いので、続発性緑内障もどの犬種にかかわらず、高齢犬にはハイリスクで発症する可能性があると言えます。

【参考記事】

犬の目やにが多い原因と対処方法 黄色や緑色は早急に病院へ!

犬の糖尿病に合併する白内障 その治療と手術について

初期症状には飼い主も気づかないことが多い

緑内障は、視力というよりも視野の異常であり、視野狭窄という症状があります。

白内障が水晶体の濁りによって、全体的に視界が霞んで見えにくくなるのに対して、緑内障は眼圧が上昇し視神経が障害されることで、視野が狭くなる(視野狭窄)、部分的に見えなくなる(視野欠損)などの症状が現れます。

しかし、目というものは、両目で見ている時には見えない部分をお互いに補い合う為に、人でもごく初期の視野欠損には自覚がないことも多いです。

犬の場合は、元々視力が悪く、ちょうど人の近視の状態と言われますが、人のようには視力に頼らなくても、嗅覚が発達しているために日常生活であまり不自由をしません。

つまり、病気が進行して、例えば片方の目だけが完全に失明してしまっていたとしても、飼い主さんがそれに気づいてないということもあるのです。

しかし、緑内障はひどい眼痛の症状を伴っています。

目の痛みのために目を細めたり、眩しそうにしたり、食欲や全身の元気もなく、動かずに目を閉じて片隅でじっとうずくまっているなどの症状には飼い主さんも気づくことができると思います。

目の痛みがある時、犬は目を閉じ、そして顏や頭に触れられることも嫌がるようになります。

目を観察すると、充血瞳孔が開いたまま(散瞳)の状態、角膜浮腫などがあって目が膨らんでいるような症状を認めることもできます。

早く異常に気付いてやれなければ、緑内障はたちまち進行し失明へと繋がります。

人ならば、少なくとも目の激しい痛みで異常を自覚し医療機関に行くことができますが、犬は痛みを伝えることができないので、早期診断に繋がるかどうかは飼い主さん次第なのです。

目が異常に大きく膨らんでいればさすがにおかしいと思うはずですが、それはもう進行してしまった状態です。

緑内障を発症した犬は、飼い主が何か異変を感じて病院を受診させた時にはすでに失明しているということの方が多いそうです。

初期の緑内障であれば、点眼薬などで改善の見込みもあるようですが、進行してしまった緑内障では治療も難しくなり、すでに視神経が障害されて失明していれば視覚の回復の見込みは持てません。

好発犬種や高齢で白内障をすでに発症している場合など、緑内障のリスクが高いと考えられる場合は、普段から注意して観察しておくことが飼い主にできる早期発見の手段だと思います。

診断の決め手は眼圧の上昇

緑内障は眼圧が上昇する病気なので、眼圧を測定しその数値が診断の決め手になります。

犬の眼圧の正常値は10mmHg~20mmHgです。

急性緑内障は進行が早く失明に至るまでも短いので、緊急性があります。

また、瞳孔の散大や角膜浮腫なども緑内障の診断材料です。

外見的には、目が膨らんできたとか赤く充血して見えるとかいうような症状になります。

しかし、ブドウ膜炎があり2次的に緑内障を引き起こした場合は眼圧が低いことがあり、決め手であるはずの眼圧の数値だけでは緑内障の診断に行きつかないこともあるようです。

もちろん眼圧だけで判定するようなことはなく、他の所見も合わせて診断をつけることになるでしょうが、眼科は特殊ですので、かかりつけ医が眼科対応できるかどうか普段から把握しておいた方がよいと思います。

犬の緑内障の治療も人に準じる

犬の緑内障も人の緑内障と同様のものと考えることができ、治療も準じたものになります。

世界的に、人の中途失明の原因となる病気では緑内障が最も多いと考えられ、やはり早期発見早期治療による病期の進行の抑制が重要とされています。

人の緑内障の治療には、薬物治療、レーザー治療、手術による治療の3通りがあります。

眼圧を低く保つということが最優先であり、犬の緑内障治療についても治療の基本は同じです。

薬物治療

薬物治療としてスタンダードな方法は、点眼薬による治療です。

緑内障の点眼薬には、プロスタグランジン誘導体、炭酸脱水酵素阻害薬、交感神経β遮断薬、副交感神経作動薬など、第一選択薬もいくつかの種類があり、それぞれ症状や病期に合わせて組み合わされますが、これらは全て眼圧を低く維持する目的の薬です。

緑内障は、慢性的にゆっくりと経過していたとしても、急性悪化で発症することがあるので、急性期なのか慢性期なのかによって治療法も変わって来ます。

プロスタグランジン誘導体は眼圧を抑制するのに効果的で優秀な薬剤ですが、点眼だけで効果が期待できない時もあります。

その場合は内服や高張浸透圧薬で利尿作用のあるマンニトールやグリセオールの点滴を行うこともあります。

続発性緑内障で、ブドウ膜炎などが原疾患としてある場合はその治療も積極的に行います。

そして、急性期を乗り越えた後も、眼圧のコントロールの継続が必要です。

レーザー毛様体光凝固術

房水は毛様体によって産生されますが、この手術はレーザー照射により、毛様体色素上皮を破壊する治療方法です。

人にも行われる治療方法ですが、人のレーザー手術は他にも何通りかあり、この治療方法は合併症の可能性が高いために眼圧低下の最終手段とされています。

犬においては、同じ治療で外側からアプローチする方法と、眼内内視鏡下で直接毛様体にレーザー照射する方法とがあります。

チューブシャント挿入術

眼内にチューブを挿入して房水を排出させる側路を作り、房水流出を促すことによって眼圧の低下をはかる外科的治療方法です。

以上の手術はあくまでも視覚が保たれている場合の治療法になります。

進行し失明に至った緑内障の治療

進行し、視神経が障害されて視覚を失ってしまった場合、失われた視覚はもう回復することがありません。

この段階になると、痛みをコントロールする目的で眼球摘出術を行うことがあります。

眼球を摘出して義眼を挿入します。

義眼には目の機能はありませんが、外見的には本来の目のように見える為、その犬のそれまでの顏立ちを維持することができるようになります。

失明した後も眼圧が下がらず、目が膨らんで飛び出してしまう(牛眼)、または機能を果たさなくなった目が小さく委縮していく廃用変化(眼球ろう)になることがあります。

このような状態になる前に、眼球摘出し、内部にシリコンボールを挿入してふくらみを持たせた目は、一見、健康な時の顏と変わりません。

眼圧のコントロールがうまくいかなければ、失明していても痛みだけは続いていくのです。

このような手術を行うことで、痛みや薬の継続の必要がなくなり、犬のQOLをよりよく保つこともできるのです。

まとめ

緑内障は、眼圧が異常に上昇し、視神経が圧迫され続けて障害され、早期に治療しなければ失明に至る病気です。

視覚喪失の過程は、視力が落ちるのではなく、視野が狭まっていきます。

痛みがひどく、人は目の痛みのひどさから頭痛や吐き気といった症状も出現し、その異常さを自覚することも早期に受診することもできます。

しかし、犬は具合が悪いことを表現できません。

緑内障を発症していても早期には気づかれず、わかった時にはもう失明していたということも多いのです。

失明も不幸なことですが、目の痛みに気づかれないというのはどんなに苦しいでしょうか。

飼い主さんはこのような病気があることも知っておいて、小さな異常を見逃さないようにしてあげて下さい。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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