犬の尻尾の形は、犬種によってもずいぶん違いますね。
自分の犬の尻尾はどんな種類かと聞かれて、すぐに答えられる飼い主さんはどのくらいいるでしょうか?
形が違うと骨の構造から違うということでしょうか?
私も知りたくて犬の尻尾の種類と骨の構造を調べてみました。
ここで共有したいと思いますので、皆さんの愛犬の尻尾の種類を確認してみて下さいね。
犬の骨格が人間と大きく違うところ
人間の骨格と犬の骨格、見た目は全く違うように感じます。
でも大雑把なことを言うと、人間の骨格を四つん這いにすれば、ほぼ犬の骨格なのです。
骨の数は犬の方が圧倒的に多いです。
- 人間の骨:200本
- 犬の骨:320本
この違いは、細かい構成の違いであり、何よりも大きく違うのが尻尾の骨です。
私達人間も、生まれる前の胎児の時期には尻尾があります。
でも、生まれてくる時には尻尾は消失していて、その名残である尾てい骨と呼ばれる骨があるだけです。
この尾てい骨は、専門用語で痕跡器官と呼ばれます。
これは、元々あった器官が退化し、形だけが残っている状態のものを指しているのですが、まさに尾てい骨は尻尾の名残ということなのです。
逸れてしまってすみません。犬の骨の話に戻しますね。
犬の体の芯となる背中の骨(脊椎)は、頭側から
- 頸椎7個
- 胸椎13個
- 腰椎7個
- 仙椎3個
で形成され、その先に尻尾の骨(尾椎)が連なっています。
(ちなみに人間は、頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙椎5個、尾椎4個で、微妙に違います。)
尻尾の骨は、1本だけ長く独立して付いているものではなくて、脊椎の末端部が伸びているものです。
ですので、筋肉や神経も脊椎と同様に豊富な部位なのです。
背中の骨と骨の間には、椎間板と呼ばれるクッション材があるのですが、これは脊椎と同じ構造の尻尾の骨にもあります。
そして、疑問だった尻尾の骨の数は、やはり犬種によって(尻尾の種類によって)違います。
尻尾の骨の数は、6~23個という幅があります。
尻尾の長さはそれだけ犬によって違い、種類はとてもバラエティに富んでいるのです。
さらに、もう1ヶ所、犬には人間と大きく違う骨があります。
それは鎖骨です。
犬には鎖骨という骨はありません。
肩甲骨を支えるものがないので、正確に言えば犬には肩という部分が存在しないのです。
前から見ると、犬の肩甲骨は縦に広がり、極端な「なで肩」ですよね。
肋骨も、私達のように横に広がりがなく、狭い隙間をくぐり抜けたりするのに便利な体型になっています。
このような骨の形の都合で、犬の体は、横に広げることには向いていません。
脇に手を差し入れて抱き上げるのは、肩のない犬にとっては負担のかかる恰好になりますので、できれば控えめにしてあげて下さい。
また、犬は人間の動作に例えると、普段から常に背伸びしてつま先で歩いているということになるのだそうです。
そう言えば犬はいつも足の裏が浮いていますが、そうやって体を支えているのです。
あなたの愛犬はどれ?尻尾の形は多種多様
犬の尻尾は、尾椎という骨を中心に筋肉で覆われており、神経がしっかり通っているので、自由自在に動かすことができます。
犬の尻尾は、犬の身体のバランスを取ったり、犬同士のコミュニケーションツールとしても大事なものです。
【しっぽの役割の参考記事】
そんな犬の尻尾は、わかっているだけでも14種類あるそうです。
犬の尻尾の種類
垂れ尾:自然に下に垂れ下がっている尻尾。多く見られる形。ハスキーやセントバーナードなどがこのタイプ。
飾り尾(プルーム・テイルまたはフラッグ・テイル):ふさふさしていて飾り毛が垂れ下がっている尻尾。ゴールデンレトリバーやミニチュアダックスのロングコートなどの尻尾。
立ち尾(フラッグポールテイル):付け根の部分から上に立ち上がった尻尾。ビーグルなどがこの尻尾。
鎌尾(シックル・テイル):緩やかな鎌の刃のように曲線を描いて、背中につかない形の尻尾。チワワがこのタイプ。
差し尾:鎌尾と似た形をしているが、背側に湾曲しながら低く伸びている尻尾。四国犬など。
リス尾(スクワーラル・テイル):ふさふさした毛に覆われ、背側に曲げているリスのような尻尾。パピヨンなど。
巻き尾(カールド・テイル):背側に上向きにくるんと巻いた尻尾。秋田犬や柴犬などがこのタイプ。
輪尾(リング・テイル):付け根から高く上がり円を描くように丸く曲がっていいる尻尾。アフガンハウンドなど。
スクリューテイル:元々は骨の形成異常として生まれたものを犬種のスタンダードに認定したと言われている形。短くらせん状にくるくると巻いた尻尾で、パグやブルドッグなど。
ボブテイル:生まれつき尻尾がないか、断尾によって短くした尻尾。コーギーなどは断尾してこのような尻尾にしていることが多い。
キンクテイル:根元から急によじれたように曲がっている尻尾。ブルドッグなど。
ウイップテイル:背中と水平な高さでまっすぐに伸びた鞭尾と呼ばれる尻尾。イングリッシュセッターなど。
ラットテイル:根元には太く柔らかい巻き毛があり、先端ほど毛がなくて細くなっているネズミ尾と呼ばれる尻尾。アイリッシュ・ウォーター・スパニエルなど。
*ラットテイルという状態になる病気の症状もあるので注意!
オッターテイル:根元が太くて丸く、先端は細くなり、下面に毛がある。カワウソのような形の尻尾。ラブラドールレトリバーなど。
尻尾は骨折しやすいので注意が必要
犬が普段から尻尾を活発に動かすのは、犬にとって大事な役割を持っているからなのですね。
でも、尻尾は怪我をしやすい部位でもあり、特に長い尻尾は、ドアに挟まったり壁にぶつけたりという事故も起こりやすいようです。
また、筋肉もしっかりあるので、犬が自分で尻尾を思いきりブンブン振って、たまたま硬いところにぶつかり、尻尾を振る力で骨折してしまうことも。
打撲だけですめば、まだ回復も早いかもしれませんが、尻尾の骨まで損傷すると治療が困難になります。
通常、骨折治療にはギブス固定などが必要ですが、尻尾は動きのある部位なのでしっかり固定することができません。
安静にしにくいので、骨折した骨が元に戻るまでの治療期間は長くなるようです。
運のいいことに、骨折したのがごく小さい骨だったなら、犬も痛がらないので気づかれることがなくそのうち自然に治ってしまったということはあるようです。
しかし、尻尾の骨は脊椎から繋がっている骨で、その中には骨盤神経・陰部神経・下腹神経などの大事な神経が通っています。
もし神経を損傷してしまうと、後遺症が残ることもあり(排泄のコントロールができなくなるなど)尻尾の怪我は軽視できないのです。
- 尻尾を踏む
- 尻尾の上に物を落す
- 引っ張る
このようなことのないよう、飼い主さんはくれぐれも注意して下さい。
特に、尻尾を引っ張られて起こる外傷は、尻尾引っ張り外傷という病名があるほど多いと言われます。
《尻尾を怪我している可能性がある症状》
上記のような症状が見られる時は、骨にダメージを受けているかもしれません。
早急に医療機関で診察を受けて下さい。
まとめ
犬の尻尾は、普段何気なく見ていますがこんなに種類があり違っているのですね。
人間では退化してしまっている尻尾も、犬にとっては活発な動きのある、そして日常的に活用する大事なパーツです。
骨が折れたり脱臼したりという怪我のリスクも多いので、飼い主さんも十分に注意してあげて下さいね。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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