SNSなどでは毎日のように、迷子の犬を探している、あるいは迷子と思われる犬を保護しているという投稿を目にします。
迷子の犬の探し方がわからず、途方に暮れている飼い主さんもたくさんいらっしゃるようです。
無事に飼い主さんの元に帰ることができた子もいますが、必ずしも良い報告だけではなく、犬の迷子の話を知るたび心が痛みます。
迷子の犬の探し方をできるだけ多くの飼い主さんに知って頂きたく、その手順についてまとめましたのでここで共有したいと思います。
犬が迷子になる経緯は思いがけないこと
どの飼い主さんも、自分の犬が迷子になるとは想像もしていないと思います。
それは想像しただけでも大変辛く、飼い主さんの多くは、自分の犬だけはそんなことにはさせない、迷子とは無関係だと信じているはずです。
そして、今現在、迷子になった愛犬を探している飼い主さんもきっとそうだったのではないかと思います。
犬が迷子になる経緯には、迷子になることが容易に想像できるようなものもあるのですが、そうではなく本当に思いがけないアクシデントも多々あります。
犬が迷子になる経緯のパターン
行政に迷子犬の届け出をする
犬がいなくなった、迷子になってしまったということに気づいたら、すぐに行政に届け出を出して下さい。
誰かが保護してくれる可能性もあれば、大型犬などは通報によって捕獲される可能性もあります。
その場合、問い合わせや収容の窓口になるところへ迷子の届け出がなされていると、飼い主さんにもたどり着きやすいです。
最寄りの保健所・愛護センター
犬猫に関することを保健所や愛護センターが担当するということは、あまり詳しくは知らない人でも何となく聞いたことがあると思います。
迷子と思われる犬を保護した時、保健所にどうするべきかの相談をする人は多いことも想像がつき、直接そこに連れて行く人もいるかもしれません。
また、捕獲された場合も収容されるのはこういう場所です。
保健所では、迷子と思われる動物が収容された場合、飼い主さんに返還するためにネット上などに収容情報を公開します。
ただ、公示期間というのがそれぞれの自治体ごとに決められていて、1週間程度とそれほど余裕はありません。
公示期間が終了した後の犬の取り扱いも自治体によって差があるのが現実です。
【参考記事】
迷子になった犬の情報は、早急に管轄の保健所または動物愛護センターに届け出て下さい。
そして、行き違いにならないように、届け出たあとも収容状況をそこのHPでチェックするのはもちろんのこと、電話でも問い合わせましょう。
タイムラグがあるので、ネット上にまだ出ていない可能性もあるし、個人宅で保護されていて保健所には収容されず迷子犬としての届けのみ出ているかもしれません。
↓全国の愛護センターの収容情報を閲覧できます。
↓各自治体の保健所と連絡先
管轄の警察署
日本の現行の法律では、犬も「物」として取り扱われ、迷子の犬は「遺失物」になります。
犬は家族という思いとかけ離れてしまうとは思いますが、警察署に遺失物届を提出して下さい。
この届けは24時間365日提出することができます。
保護した人が警察に犬を連れていった場合、その犬は「落とし物」として取り扱われるのです。
そして、警察から保健所あるいは愛護センターというルートで収容されます。
警察署、保健所はそれぞれあくまでも管轄内だけのことであり、人間の行方不明とは違って横の情報共有は期待できないと思います。
犬は大きさにもよりますが、中型犬以上クラスでは想像以上の距離を移動してしまうことがあります。
犬が移動することも考え、念の為に飼い主さんの方で隣の区などにも情報を伝えておいた方が無難と思われます。
清掃事務所
もし不幸にして迷子の犬が交通事故などに遭って亡くなっていた場合は、それを回収して引き取っているのは清掃事務所です。
考えたくないことですが、1つの可能性として管轄の清掃局に一応問い合わせて下さい。
犬に関わる店や病院への連絡
行政機関ではありませんが、事故やケガをした状態で保護され、そのまま病院に運び込まれている可能性もあります。
迷子で彷徨っている犬が事故に遭うケースは多く、病院で治療を受けている犬の飼い主さんを探しているケースも多いです。
もしものことを考え、近隣の動物病院にも連絡をしておいて下さい。
私は、たまたま愛犬と動物病院の待合室にいた時に、彷徨っていて危ないからと小型犬を保護した人が、ケガなどはしてないけど自宅に連れて帰れずに困り、病院に連れてきたという場面に遭遇したことがあります。
トリミングサロンなどでも迷子犬を保護している可能性はあります。
届け出と同時進行で迷子犬を探す
犬が迷子になったことに気づいたら、一刻も早く探して下さい。
時間が経てば、犬もそれだけ行動範囲が広がってしまい、事故などのリスクも高くなってきます。
迷子の犬を見つけるのに重要なのは、特に最初の12時間の探し方とも言われます。
《犬の移動距離の目安》
- 小型犬:200m~1km/日
- 中型・大型犬:1km~5km/日
逃走した場合は、最初に見失った場所からどの方向に去ったのかも重要な情報です。
いなくなった場所を中心にして、1つの場所にこだわらずに探す範囲を広げて下さい。
日数が経った場合、行方不明になった場所を中心に、移動距離に日数を掛け算して最大距離を出し、その円の外側から中心に向かっていく探し方は効率がよいそうです。
迷子の犬の探し方のコツ
- 小型犬や体の小さい犬は隠れている可能性があるので車の下、植え込みの中などまで確認すること。
- 側溝に落ちていたのを発見されたというのはかなり多い。自宅のすぐそばの側溝で、這い上がれない老犬や小型犬で日数が経って命を落としていた報告などをSNSでも見かけるので、必ず確認すること。
- 散歩で行くコースにいることもあるが、散歩に行かないような場所でわからなくなり迷子になっていることが考えられるので、行ったことのないコースは重要。
- 音に驚きパニックで逃走した時は音と反対方向に移動していると考える。
- いなくなった場所の風下より風上の方向で迷子になっている可能性が高い。(匂いを辿れなくなるため)
- 人馴れしている犬などは人に保護されている可能性が高い。
- 警察や保健所に届けてもらってないことも考えて、最近犬を飼い始めた人の情報などもチェック。
- 夜間は隠れている犬が出てきやすいので警戒心の強い犬などは見つけやすくなるが、庭を確認させてもらうなど近隣の協力を得るのは難しい。
- 迷子の犬が戻って来やすいよう、家の前に飼い主の匂いのわかる持ち物などを置く。
迷子犬のチラシを作成する
迷子の犬を探していることをできるだけ多くの人に知ってもらうために、迷子犬のチラシを作成しましょう。
自作でもできるのですが、店先などに貼ってもらいたいので、インクが滲んで消えたりすることは避けたいものです。
手間や仕上がりの良さを考えると、ここは費用がかかりますが、業者依頼の方が時短で効率がよいです。
迷子のチラシ専門の業者がネットでもいくつかヒットしますので、そういう業者を利用すると話が早いと思います。
チラシに記載する内容
電話番号は公開してしまうことになりますので、どの連絡先を載せるのかは慎重に決めて下さい。
もちろん情報を求めているわけなので、連絡が取れるものでないとだめですが、連絡先だけ確実なら、載せる名前は必ずしも本名にする必要はないです。
また、謝礼の内容は、トラブルを避ける為にも具体的にしない方がよいようです。
チラシのポスティングと掲示場所
チラシが出来上がったら、できるだけ多くの人の目に触れるようにします。
近隣の住宅の郵便受けに入れる、飼い主さん達が集まるような場所などで配る、人の出入りの多い店などで掲示をお願いするなどしましょう。
電柱に貼ってあるチラシを時々見かけますが、無断だとこれは違法であり、電柱の所有者(電力会社や市町村など)の許可が必要になります。
リスクを承知の上で、すぐにはがすことを前提に一時的に貼るのは自分の判断になりますが、できれば堂々と掲示できる方がよいと思います。
コンビニも気軽に引き受けてくれそうな印象があるのですが、フランチャイズだと上層部の許可が必要など難しい点があるようです。
個人経営のコンビニや個人商店などは、ちゃんと交渉すれば掲示してくれると思いますので、勝手に貼ることはせず、お願いして下さい。
動物病院やサロン、ペットショップなど、犬に関係する場所、飼い主さん達の出入りのある場所などにも掲示してもらいましょう。
SNSも活用する
SNSでの拡散力は大きいので、迷子の探し方としては期待できるツールです。
ネット環境があるのならアカウントを作成して利用してみて下さい。
アカウントも手軽に作成できますし、チラシの画像をそのまま投稿に使えます。
犬を見つけた時
犬を呼び寄せる為の食べ物、首輪とリード、キャリーバッグなどを準備して探しましょう。
発見したとしても、犬は普段と違うストレス下にいますので、追われると驚いて逃げてしまうかもしれません。
周囲に車などが近づいていないかも確認しながら、慎重に距離を縮めて下さい。
何よりも犬を迷子にしない
犬が迷子になってしまうまでには、それぞれ経緯があります。
しかし、ノーリードで外に出せば、迷子のリスクが高くなるのも当然ではないかと思います。
首輪とリードできちんと守られていたにもかかわらず、大型犬が突然走り寄ってきたというアクシデントに驚いて、必死で首輪を抜け飼い主さんを振り切って逃走し迷子になっている犬もいます。
私の犬も、散歩中に少し緩かったハーネスがすっぽり抜けたことがあり、ヒヤッとしたことがありますし、私の周囲でも同じような経験をした飼い主さんの話があります。
いくら普段はおとなしく従順な犬であっても、犬もパニックになれば必死の力で抵抗するし、想定外の行動を取るものです。
外でノーリードにしないということは、迷子や事故を防ぐのに最低限守るべきではないでしょうか。
【参考記事】
また、夏場になると花火大会に連れていく飼い主さんも多いですが、花火の音は犬にとっては恐怖になります。
人には花火大会を楽しむという感覚もありますが、犬には意味が理解できないです。
中にはそれほど怖がらない犬もいるかもしれませんが、犬の目線で音の恐怖を考えてみることも必要です。
夏場になると、花火や雷の音でパニックになって迷子になった犬の話は後を絶たないのです。
【参考記事】
また、驚くことに犬の誘拐は案外多いです。
もうずいぶん前のことですが、店の前に繋いでいた犬を盗んだ犯人が、居場所を突き止めた飼い主さんから返還を求められ、追い詰められて犬をマンションの6階のベランダから投げ捨て、その犬は亡くなってしまったという事件がありました。
懲役刑になっていますが、あまりにも理不尽で、飼い主としてとても許せることではないはずです。
店の前に繋いで買い物するという人も多いようですが、それで迷子になっている犬は少なくないのです。
人懐こい小型犬などは、そのまま簡単に連れて行かれてしまいます。
店の前を通りかかった人に、わけもなくいきなり蹴られて怪我をした犬の話もありました。
もしかしたらロックされてなかったのかもしれませんが、車に乗せていても、戻って来たら犬を盗まれたという話もありました。
施錠した家で留守番していたのに空き巣に盗まれたケースもあり、そうなると、もうどこも安全ではなくてきりがないかもしれません。
しかし、そのようなこともあるということを知った上で、飼い主として避けられるリスクは出来る限り避けて、守ってやって欲しいと思います。
マイクロチップや迷子札などの対策もしておきましょう。
ただ、誰にも保護されてない迷子の犬には、それを読み取ってくれる人がいない限り飼い主さんの元には帰れません。
付けているから安全なのではなく、何もないよりましかもしれないということです。
【参考記事】
まとめ
迷子犬は、1人で帰ってくることができません。
そのうち帰って来ると思っていても、犬もそれだけ移動してしまって探しにくくなるばかりか、どこでどんな事故に巻き込まれてしまうかわかりません。
当然ですが、まず迷子にしないということが第一です。
そして、迷子になったら一刻も早く、全てに優先して、全力で探して下さい。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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