『犬の十戒』~犬との約束~のページを開く

何故?飼い主にしっぽを振らない 犬に好かれていない?

♦犬の気持ち

犬がしっぽを一生懸命に振りながら駆け寄ってくる姿、全身で大好きだよ!と言われているようで本当に愛しいですね。

ところが、何故かあまり飼い主にしっぽを振らない犬もいるようです。

しっぽを振らないのは犬に好かれてないから?

今回は、犬のしっぽの役割と、飼い主にしっぽを振らない理由を調べてみたので共有したいと思います。

スポンサーリンク

犬のしっぽには役割がたくさんある

遠い昔は、人にもしっぽがあったと言われますが、人間のしっぽは退化してしまい、その時の名残の小さな尾骨が確認できるだけです。

犬には、尾骨が背骨に続いていて、立派な役割を持っている「しっぽ」というパーツとして存在しています。

しっぽには一本のつるんとした骨ではなく、小さな骨が連なってできています。

先端に向かうほど細くなり、筋肉も神経も豊富にあるので自由自在に動かすことができます。

【尻尾の構造の参考記事】

犬の尻尾にはどんな種類がある?尻尾の形と骨のしくみ

しっぽは人間にはないものなので、私達にはその感覚が分かりづらいですが、犬にとってはとても敏感な部位です。

握られたり引っ張られたりすると痛いし、脱臼や骨折などのケガをすることもあります。

脱臼や骨折をしてしまうと安静にしにくいので治りにくいと言われるほど、しっぽは動きの活発な部位です。

そんな犬のしっぽは、ただ可愛いだけのパーツではなくてちゃんとした役割があります。

しっぽの役割の一つは、犬のいろんな体の動きに合わせて、そのバランスをとることです。

方向転換する時、走る時、ジャンプする時など、犬はしっぽの動きを変えながら体を安定させています。

しっぽはそのようなアクティブな全身の動きに対し、体幹のおもりや舵取りのような役割があるのです。

また、冬に犬が丸まって寝ている姿はよく見られますよね。

気温が低い時には、そのようにして体を丸め、しっぽで鼻先の冷気を遮断し、寒さから呼吸器系を保護する役割があるのです。

そして、しっぽはとても表現豊かな部位でもあり、相手とのコミュニケーションツールとしての役割も持っています。

しっぽのコミュニケーションは、犬同士の間では、普段からさかんに行われています。

犬は、しっぽの動きで自分の感情や意思を表して相手に伝えることで、無駄なトラブルを避けようとします。

犬のしっぽの役割をまとめると

  • 体を動かす時のバランスとり
  • 冷気を防いで呼吸器を守る
  • 犬同士のコミュニケーション
スポンサーリンク

「断尾」でしっぽが振れなくなる影響

メッセージを犬同士の間でうまく伝えられなければ、それはトラブルの原因にもなりうることがあります。

コミュニケーションがスムーズにいかないと誤解を生むのは、人間社会も犬社会も同じです。

犬のしっぽは、仲間に大切なメッセージを発信していてコミュニケーションには欠かせません。

しかし、目的を持って人為的にしっぽを切る(断尾する)という処置を施される犬種がいます。

断尾は、本来、狩猟犬が山の中で怪我をするリスクを減らす為とか、牧羊犬がしっぽを家畜に踏まれないようにする為というものだったそうです。

【断尾の参考記事】

犬の尻尾を切る習慣はなぜ存在するのか?断尾の理由とは

やがて断尾の目的は本来のものから離れ、人間は犬に対して、美容やその犬種の標準スタイルというような、外見的なものを追求するようになってきました。

断尾の目的も、人間の望む外見上の都合になってしまったのです。

断尾を施した犬は、元々しっぽが短いわけではなく、持っていたはずのしっぽを失くしたことになります。

そのせいで、身体のバランスが低下したり、他の犬との意思疎通が難しくなるという影響もあるようです。

現在、ヨーロッパではこの処置について、「苦痛を与えるだけの無意味な手技であり、残酷な改造である」という認識のもとに、断尾を法律で禁じている国も多数あります。

《断尾禁止国》

北アイルランドを除いたイギリス・エストニア・オーストリア・オランダ・キプロス・スイス・スウェーデン・チェコ・デンマーク・ドイツ・ノルウェイ・フィンランド・ベルギー・ポルトガル・ルクセンブルクなど

スポンサーリンク

犬にはしっぽ振りの学習がある

犬は、生後3週目くらいからしっぽを振ることができるようになるそうです。

子犬にとっても、しっぽを振るということは社会性を意味する側面があります。

生後6~7週目くらいまでにはほとんどの犬が、きょうだい達との遊びの中で、気持を伝える手段としてのしっぽ振りを学習します。

しっぽを振るのは、生まれつき何となくやっているわけではなかったのですね。

コミュニケーション手段として学習している、ということに驚かされます。

なので、その感情表現方法を身に着けるはずの環境から、早くに引き離されてしまった子犬の場合、しっぽ振り学習も十分でない可能性があるそうです。

幼い時期に母親やきょうだいと過ごす社会化期が、成長のためにどれだけ大事であるのかということが改めてわかります。

ところで、犬がしっぽを振る行為には、よく見るといろんなパターンがあります。

しっぽ振りは全てが嬉しいという気持ちとは結びついているわけではなく、興奮している状態を表現していることもあるのです。

しっぽの動きでわかる犬の感情の例は次のような感じです。

◆ちょこちょこと小さくしっぽを振る場合

「こんにちは!」「ここにいるよ!」「初めまして!」

◆しっぽの振り幅が大きい

「仲良くしようよ」「逆らわないよ」「これは遊びだよ」このサインを犬同士で上手に伝えることで、遊びが喧嘩に発展しないように保っている

◆腰からしっぽまでの大きな動き

「どこにも行かないで」「どうか私を大事にして下さい」長期に離れていた飼い主との再会などで見られる。甘えや信頼、これ以上ないへりくだりの意味。

◆腰を落として床を這わせるように大きく振る

「なんでも聞きます」優位な相手への最大の敬意。

◆しっぽを水平にしてゆっくり振る

「不安を感じています」しっぽが上がっているわけでも下がっているわけでもないのは、相手との関係性が掴めてなく、少し不安を感じている状態。

◆少し下に垂れた状態で緩い揺らし方

「リラックス♪」心が安定した状態

イタリアの研究では、脳のどちら側が活性化しているかで、右に振るか左に振るかの違いがあるそうです。

例えば、大好きな飼い主さんに対してなど、ポジティブな感情の時にはしっぽが右振り、自分よりも立場が上の犬に対してなど、ネガティブな感情の時には左振りになるという結論があります。

犬の非対称的な尾振りを見ることは異なる感情的反応を生み出す

犬は異なる感情刺激に対して非対称的な尾振り運動を示す[ 4]。] – 体の右側および左側への尾の動きを制御する左右の脳構造の異なる活性化の結果。

犬の飼い主に会うなどの接近傾向を引き出すと予想される刺激は右側への尾振り運動のより大きな振幅と関連しているように思われるのに対し、優勢を見てなどの引きこもり傾向を誘発すると予想される刺激なじみのない犬は、左側への尾振り運動のより大きな振幅と関連しているようです。

出典元:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0960982213011433

https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(13)01143-3

飼い主にしっぽを振らない犬の気持ち

犬がしっぽを振る行動には、想像以上に複雑な意味があることがわかりました。

それなら、反対に「しっぽを振らない」ということにも何かありそうです。

その前に、「しっぽを振らない」と気づいた時、まず、それはしっぽを振らないのか、振ることができないのかを観察すべきです。

振らないのではなく、振れないという可能性もあります。

しっぽに触ると痛がる様子があれば、それはしっぽを振らないのではなく、しっぽを損傷しているから振れないのかもしれないのです。

ケガをしていたり、ヘルニアなどの病気でしっぽをあげることができないなど、身体的な理由が考えられます。

【参考記事】

【しっぽでわかる犬の病気】しっぽが下がる時・痛がる時 

犬の椎間板ヘルニアの初期症状と進行レベルのグレード分類

しっぽを振らない理由が、このような「振ることができなくなっている」のではないなら、ひとまず安心ですね。

しっぽを振れないのではなくしっぽを振らないのは、実はその犬の性格が関係していることがおおいに考えられます。

犬はしっぽで感情表現をしますが、しっぽ以外のいろんなしぐさで感情を表しています。

くるくる回って見せるとか、飼い主さんを舐めてみるとか、お腹を見せるとか、おもちゃを持ってくるとか、犬の感情表現は実に豊かです。

【参考記事】

犬が飼い主を舐めてくる理由 犬が人を舐める心理を知りたい

それほどしっぽを振らない犬も、いろんな方法やしぐさで飼い主さんにアピールしてくるようであれば、それがその犬の得意な表現方法と考えて良いようです。

あまりしっぽを振らないのは、その犬がちょっと不器用なだけという場合もあるそうです。

それに、もしかしたら、飼い主さんには振らないように見えても犬はしっぽを振っていて、振り幅が目立たないだけかもしれません。

あるいは、飼い主さんが犬にとっては少し緊張感が必要な存在なのかもしれません。

飼い主さんに対して、犬も緊張して指示待ちモードになりがちで、しっぽを振らないのかもしれません。

また、早くに親やきょうだいと離された犬の場合なら、しっぽ振り学習が十分にできてないということも考えられます。

しっぽ振りがあまり上手ではないので振らないのかもしれません。

ちょっと緊張感があるような犬には、時には、思いきりリラックスして飼い主さんと遊ぶということを積極的に教えてあげるのはいかがでしょう?

遊ぶ時は、飼い主さんの方も、嬉しさや楽しさを思いきり表現して犬に伝えてあげるのです。

楽しい時間をたくさん共有し、飼い主さんに対してものびのびと感情表現ができるようになってくれば、しっぽを振らない犬がブンブンと振るようになるかもしれませんよ。

 

まとめ

犬がしっぽを振るのは、必ずしも嬉しいだけではないということは知っておいて下さい。

怒りや警戒している時などにも、しっぽの高さや振り幅を変え表現するので、迂闊に近づくと危険なこともあります。

しっぽは、とても忙しいパーツですが、動きを見ることでわかることはたくさんあります。

反対に、しっぽを振らないことが、必ずしもネガティブな理由だけと限りません。

飼い主さんにしっぽを振らないというのは、単にその犬の癖とか個性という可能性もあるということなのです。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

 

コメント

テキストのコピーはできません。