「犬を叱ったら腹いせでわざと粗相した!」飼い主さんがそんな話をしているのを耳にすることがあります。
犬は、わざと粗相したりするのでしょうか?
たしかに、困らせようとしているようにも見えることもありますね
そして粗相は無視する方がよいと言われます。
今回は、犬の粗相の理由と無視の効果について、情報共有したいと思います。
犬の思考パターンは単純
犬の思考はとてもシンプル。
自分が体験した行動についてだけの思考回路が作られていきます。
そして、犬はその行動の結果が自分にメリットをもたらすかデメリットをもたらすか、というように学習をします。
その行動と結果を関連付けて覚えていくのです。
ですので、成功体験を積ませていけばいくほど、その行動は犬にとってメリットをもたらすものとなります。
そして犬の積極的な行動を引き出して習慣化に導くことができます。
反対に、習慣にさせたくない行動は、できるだけ体験をさせないということがポイントです。
人間にも同じことが言えるところはありますが、人はそれほど単純な思考にはなれません。
過去の経験と外部から様々な形で入ってくる情報を組み合わせ、時に物事を追求してみたり、掘り下げて考えてみたりします。
犬の、行動=結果というストレートな思考とは違い、人は抽象的な思考ができます。
犬は現在自分が置かれた状況の中で、自分の持てる全ての知恵でその場その場を判断していきます。
犬は常に今を生きていると言われますが、思考パターンも「今」が全てです。
自分の置かれている状況が自分のキャパを越えてしまった時は、不安で混乱して吠えたり暴れたり、その場にそぐわないようなあらゆる行動さえも試します。
人間の目からは、それらは問題行動と呼ばれることになるわけです。
粗相もそのいろいろな問題行動の中の1つと言えます。
犬はわざと粗相したりはしない
犬の粗相にははっきりと理由があるものもあります。
下の記事を参考にしてみて下さい。
このような明らかな理由が見当たらない場合、やはりわざとでは?と考えてしまいますね。
でも犬の行動は、その結果が自分自身にとってメリットかデメリットかが基準です。
相手(飼い主さん)にとってどうなるか?という思考パターンはありません。
つまり、腹いせで悪いこと=粗相をしてやろうとか、飼い主さんに対する当てつけで「わざと」する発想はないのです。
唯一あるとすれば、その行動(粗相)が、飼い主さんの関心を集めることができた「成功体験」になった可能性はあります。
それは何よりも犬には嬉しいこと。
きっと、よい結果に結びつく行動として学習してしまったに違いないです。
犬は、粗相はいい結果に繋がる行動と思い込んでしまっているのです。
そのいい結果を再び得る為にわざと粗相をする、ということはあり得ると思います。
粗相は、飼い主さんの関心という最大のご褒美に繋がっているのですから。
「いや、待って。ご褒美を与えたつもりはないけど・・。」
飼い主さんはそう思うかもしれませんね。
もしかして、犬を叱りませんでしたか?
飼い主さんは叱ったつもり。
でも犬は叱られたことが理解できてないことはよくあります。
飼い主さんも嬉しそうに大騒ぎして喜んでくれていたように見えていたかもしれないのです。
粗相の背景にある本当の意味
留守番をさせている時などに、粗相だけでなく物を壊したりする行為もひどいようなら、分離不安の可能性もあります。
犬は抱えきれないほどの緊張や不安を必死で解消して落ち着こうとしているだけかもしれません。
分離不安は、犬の飼い主さんへの依存が大きすぎて、少しでも離れていることで生じる不安に耐えられない状態です。
叱ってはいけませんし、叱っても治りません。
関心を得る為に(飼い主さんに喜んでもらうために)粗相するよりも深刻な状態なので、根気よくケアしていく必要があります。
無視することは有効なのか?
背景に複雑な問題はなく、間違った学習の結果でわざと粗相しているようであれば、学習内容を修正してやらなくてはいけません。
粗相=飼い主さんの関心を得られる良い結果という関連付けになっているので、それを消して上書きして下さい。
それは単純なことで、犬が粗相したらひとまず「無視」しましょう!
粗相を見つけても騒がず、一切反応しないようにして下さい。
片付けは、犬を静かに他の場所に移動させてからにしましょう。
そして、トイレでできることこそ大きなメリットがあるのだと体験させてあげて下さい。
トイレでできたら大げさに褒め、おやつをあげて遊んであげましょう。
飼い主さんが機嫌よく振舞いながら構ってあげて下さい。
トイレでの排泄=良いことが起こると教えてあげるのです。
粗相しても軽く無視され、飼い主さんの関心を集めることはできませんが、トイレで排泄すれば良い結果が得られると上書きして下さい。
犬は改めて正しい学習をします。
犬はいつも大好きな飼い主さんに喜んでもらいたいのが本能、無視されるのは悲しいのです。
望ましくない行動は無視して相手にしない、習慣化したいことを褒めるという接し方を基本にして、正しい学習に導いてあげて下さい。
まとめ
犬は、「こうしたら飼い主さんが困る」などと考えてわざと粗相するわけではありません。
ただ飼い主さんの関心を得たいがための行動と考えられます。
それは、以前、飼い主さんが反応してくれたという勘違いが原因かもしれません。
そして、もしかしたら、普段、犬が飼い主さんとの関わりに満足を得られてなくて、ストレスを抱えているのかもしれません。
普段の関わり方もどうか見直してみて下さいね。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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