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メス犬の発情期(ヒート)と避妊手術の検討・費用や術前術後について

♦犬の発情期
この記事は約11分で読めます。

発情期の犬は、子孫を残そうとする本能のままに行動するため、想定外の事故や予定外の繁殖に繋がる危険があります。

特にメスは、望まない妊娠や将来の病気を避ける為にも避妊手術を勧められることが多いですが、手術にはリスクもあり、ためらう飼い主さんの気持ちもわかります。

我が家の犬は、避妊手術を行いました。

今回はその経験から、費用や術後のことなど情報共有したいと思います。

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発情期は犬も本能に振りまわされる時期

オスの発情期は時期が決まっているわけでなく、時期がはっきりしているメスの発情に誘発されます。

発情期(ヒート中)のメスが放出するフェロモンの匂いがオスを発情させるのです。

メス犬の発情期は一定の周期で起こり、年2~3回くらいはあると考えられます。

その時期にメスの陰部からは出血が見られるので、人の女性の月経と同様のものと勘違いされることがあるようですが、人とはしくみが異なります。

人の月経は、排卵後に授精がなかったことを示すものですが、犬のヒート出血は発情期の真っ只中にあることを意味します。

その時期のフェロモンの匂いは2km四方のオスまで届き刺激になるのです。

しかし交配がなく本能が叶わないことは、オスにもメスにも大きなストレスになります。

メス犬のヒートの周期のたびに性ホルモンが無駄に分泌され、無駄なストレスがかかっていることになるのです。

不必要なホルモンの分泌は、犬の体に悪影響を与えます。

メス犬には、性ホルモンが関与する子宮や卵巣、乳腺の病気がたくさんあります。

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避妊手術はメリットだけでなくデメリットもある

避妊手術を行うことで、メス犬特有の性ホルモン由来の病気は予防することができます。

避妊手術をする最大のメリットはこれでしょう。

また、ヒートのたびにストレスにさらされることがなくなり精神的に安定できます。

でも全て良いことばかりではなくデメリットもあります。

メリット

  • 望まない繁殖を確実に防止することができる
  • 性ホルモンが関係する乳腺腫瘍、子宮腫瘍、卵巣腫瘍、子宮蓄膿症といった病気を予防できる
  • 妊娠や出産のリスクであるブルセラ症(性感染症)や糖尿病、子宮破裂、妊娠中毒症などを避けられる
  • 身体的に繁殖の準備ができているのに交配がかなわないことの欲求不満は、動物にとって多大なストレスであり、そのストレスから解放される。

乳腺腫瘍の約半数は悪性腫瘍です。

犬では初回発情前に避妊手術を行うと乳腺腫瘍の発生率が0.05%になり、初回発情後に行うと8%、2回目の発情後以降に行うと26%となり、2回目の発情前に避妊手術を行う場合は乳腺腫瘍の発生率が下がるという報告が出ています。

猫では未避妊猫と比較し、6ヶ月齢以内の避妊で9%、1歳までの避妊で14%程度まで発生率が下がると言われています。それに加え、子宮蓄膿症などの生殖器疾患の予防にもつながるため、若いうちに避妊手術を行うことは重要であると考えられます。

出典元:しょう動物病院 https://sho-ac.jp/department/tumor/

避妊手術の時期が遅くなれば発症率も高くなりますが、それでも未避妊の犬と比較すれば避妊手術が有効であることは確かと言えるでしょう。

子宮蓄膿症に至っては、避妊手術を受けていないメス犬の場合は10歳までに25%が発症するとされ、高年齢になるにつれて治療のための手術もリスクが高くなってしまいます。

避妊手術をして子宮を摘出していれば、当然ですが子宮の病気にかかることはありません。

避妊手術によるデメリット

  • 創部の炎症や感染症などの術後合併症
  • 血管肉腫、膀胱や尿管、尿道の移行上皮癌の発生率の上昇
  • 術後の尿失禁
  • 肥満や糖尿病の発生
  • 麻酔によるショック
  • 卵巣遺残症候群による再手術
  • 手術に使用する糸のアレルギー
  • 避妊手術をした犬はドッグショーに出場資格がない

避妊手術に限らず手術時の麻酔事故は、どんなに安全に留意して行われたとしても起こる可能性があります。

同じように、手術そのものが成功しても術後の創部や全身の感染症、炎症などは起こることがあるかもしれません。

これは術後管理が不十分であったり、あまりにも若齢での手術(12週齢以前)でより一層リスクが高いようです。

避妊手術を受け性ホルモン由来の病気は予防できても、他の病気のリスクが高まるという報告論文もあるようです。

ホルモン反応性の尿失禁と呼ばれる尿失禁があり、これは卵巣摘出後にエストロゲンというホルモンを失うことが原因であるとも言われます。

小型犬に比較して大型犬の方が多く、5~30%と高率のようです。

卵巣遺残症候群は、卵巣子宮摘出術の手術を行ったにもかかわらず、数か月~数年経過して再びメス犬の発情期の兆候が現れます。

検査すれば卵巣の取り残しが認められ、避妊手術での取り残しミスによるものになります。

これを放置すると、性ホルモンの作用は継続することになり再手術を行わなければならなくなります。

避妊手術の傷口を小さくすることにこだわりすぎると、術中の卵巣の確認がしにくいので卵巣遺残も起こりやすくなるようです。

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避妊手術はその犬に合わせた時期を選べばいい

避妊手術に適した時期は、初回のヒートの前のなるべく早い時期が良いとされ、生後6ヶ月を目安に推奨している意見が多いです。

一方では、初回のヒートが終わってからの方が、臓器も成長していて安全であり、性格も落ち着いていて手術に適しているという意見もあります。

もっと早期で半年に満たない子犬であっても手術は可能でありむしろそれが推奨という意見もあるし、早期に避妊手術すると術後合併症の危険が高まるという意見もあります。

何が正しいのか迷ってしまいますよね。

現在、生後半年~1年以内の時期が一般的に推奨される避妊手術のタイミングというのが獣医師からも勧められる意見ではないでしょうか。

でも避妊手術の時期の選択はその犬によると考えた方が良いと思います。

一般的な基準は基準として特に慌てなくても、犬の成長具合や体調を見てから決心がついたらでよいのではないでしょうか。

私の愛犬は1歳を過ぎてから手術しました。

繁殖の予定があったわけでも避妊手術に反対していたわけでもありません。

でも私の犬は、幼い時から病気があってセカンドオピニオンを受けたり、病状が不安定で薬を調整しながら過ごしていたので、避妊手術にベストとされる時期は逃してしまいました。

そして何よりも、そんな健康状態では私も手術に踏み切れませんでした。

病気の検査の為に全身麻酔を2度もかけたので、小さな体にこれ以上あまり負担をかけたくないという気持ちもありました。

でも、愛犬には発情期のホルモンの影響が強く現れ、そのストレスがかえって体や持病に悪影響を与えることを納得したのです。

そして手術を受けさせる決心がつきました。

こちらの記事にも書いていますのでよろしければ参考にして下さい。

私は基本的には避妊去勢に賛成派ですが、いいことばかりではないし、こういうことは強制ではありません。

飼い主さんが必要性を納得しているかが一番大事なことだと思います。

そしてその上で時期を決めれば十分であると私は思います。

せっかく避妊手術を受けるのなら、もちろん将来的な病気の発生への効果が高い時期が良いに決まってはいますが、自分の犬に無理がないと飼い主さんが決めた時が手術に適した時ではないかと思っています。

ヒート中やヒート直後はホルモンが不安定ですので、この時期の避妊手術は避けなければなりませんが、日程の細かいことについては、獣医師とよく相談するようにして下さい。

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避妊手術は入院が必要

オス犬の去勢手術は日帰りが多いようですが、メス犬の避妊手術は全身麻酔下での開腹手術になるので、基本的に1~2日程度での入院が必要です。

避妊手術の方法は2通りです。

  1. 卵巣摘出術
  2. 子宮卵巣摘出術

1の卵巣だけを摘出する方法では子宮を残してしまうので、将来的な子宮の病気の予防にならないのでは?と感じた方もいるでしょう。

しかし卵巣がなければ性ホルモンの分泌はなくなるので、子宮も自然に委縮し本来の機能はなくなると考えられています。

つまり、ホルモン由来のメス特有の生殖器の病気はこれでも予防できるとされていて、この術式を行う病院もあるそうです。

ただ、その方法で子宮の病気(子宮蓄膿症)の予防は確実か?のデータは少ないようです。

卵巣だけを摘出するメリットとしては、子宮を摘出しないので傷口も比較的小さめですむということです。

ただ、裏を返せばそれはデメリットで、卵巣の取り残しのリスクが高いということにもなります。

上記項目で書いた卵巣遺残症候群の危険性が高まるということです。

日本では2の子宮卵巣摘出術が確実な術式として選択する病院が多いと考えられます。

最近は、腹腔鏡下にて手術を行う病院もあり、そのメリットは傷口が小さくてすむということなのですが、それもやはり卵巣遺残症候群のリスクとなります。

人の胆のう摘出術などで腹腔鏡もポピュラーな手術方法になりましたが、熟練した医師でないとこの術式は難しく、摘出できずに途中で開腹手術になる場合もあるのです。

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術前の準備

避妊手術の前日までは特に普段と変わりなく過ごしていてかまいません。

食事は前日の夕食を食べさせて、それ以降は絶食でおやつもだめですが、水分だけはOKです。

当日の朝からは食事も水分も不可です。

ただ、手術の開始時間や前処置など、病院によってスケジュールが決められているはずですので、それに従うようにして下さい。

事前に手術の説明を受ける時、そのようなパンフレットが渡されると思います。

術後の過ごし方

避妊手術の傷口には縫合糸がついていますので、舐めたりしないように抜糸まではエリザベスカラーを装着させます。

家に連れて帰ったら、傷口が開かないように安静に過ごさせますが、あとは普段と特に変わりなく、ただシャンプーは禁止です。

普段からジャンプすることが好きな犬や激しい遊び方をする犬は、傷が治るまでは激しい動きをさせないように気を付けておいて下さい。

また、傷が濡れるようなことや汚れるようなことは、術後の感染を引き起こす危険があるので要注意です。

散歩については、その病院の考え方によると思います。

でも、たとえ許可があってもいつもと同じではなく、走る・傷が汚れるような場所・長歩きなどは避けるようにしましょう。

抜糸

抜糸は、術後10日前後でおこないます。

抜糸の後も、傷口が離開していないか、しばらくは注意して観察して下さい。

傷口がジュクジュクしてなくて乾燥しているようでしたら良好な状態ですが、そこを犬が舐めたり噛んだりしないように気を付けましょう。

抜糸してもすぐにシャンプーするのは避けて下さい。

シャンプーの許可なども、病院ごとに、また傷や術後の経過などによって違いますので、獣医師にその都度確認してからにして下さい。

手術にかかる費用

避妊手術の費用は、薬剤の量の違いなどから犬の体格で異なります。

また、住んでいる地域の相場やその手術の術式によっても異なるので、統一ではありません。

基本的に動物の医療は自由診療で、保険点数で定められているわけではないので、その病院ごとに多少費用の設定が変わって来ます。

もし犬の医療保険に入っていたとしても、避妊手術は保険適用にはなりません

ただ、補助金制度がある自治体もありますので、その点は確認した方が良いです。

助成金は2000円~1万円くらいの範囲で自治体により差があり、受けられる条件があります。

犬の避妊手術の費用は、2万円~5万円くらいはかかると考えておきましょう。

また、その費用にどこまでの処置が含まれているのかということも確認しておきましょう。

例えば、1泊入院での費用のところ、2泊した場合はその差額費用は別に発生することになります。

抜糸までの全ての費用なのか、費用の中に術前検査は含まれているのかなど、病院ごとにセット内容の規定があるはずです。

一見安くても費用が加算されていくシステムの場合もあれば、高くても全てその費用の中に含まれる場合もあると思います。

 

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まとめ

犬の発情期は人が考えている以上に、犬の心身に負担がかかるものです。

それが自然な姿と考える飼い主さんもいらっしゃると思いますが、人と暮らしている犬の環境は人に合わせたものであり、すでに自然な姿ではないと考えることもできます。

繁殖させる予定がない場合、そのストレスを最小限にする為にも避妊手術の検討は有意義であると思います。

近年の災害が多発している中では、避難先や迷子中に望まない交配で犬の体が危険にさらされる可能性もあります。

考えればきりがないですが、そのようなことも一通り検討してみて、飼い主さんが最善と思われる対策をしてあげて下さい。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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