雌犬の発情期(ヒート)における特徴的な行動と対策法

♦犬の発情期

犬は発情期になると、雄も雌も子孫を残すために本能に従った行動をとりますが、その様子はいつもの愛犬と違い、飼い主さんも対応に困ることがあるようです。

特に雌犬の発情期ははっきりしていて、避妊手術をおこなっていない場合は決まった周期でやってきます。

発情期は特徴的な行動も見られるので、雌犬の飼い主さんはそれを理解した上で上手にその時期を過ごせるようにしてあげましょう。

雌の発情期は3段階に分かれている

犬の初回の発情期は、生後6~7ヶ月くらいから見られます。

中には1歳を越えてようやく迎える犬もいます。

大型犬の方がやや遅い傾向にありますが、体格だけでなく、環境などによっても個体差はあります。

気候が温暖な方が発情期も早く起こりやすいと言われるのですが、最近は気温の安定した室内で暮らす犬が多いので、季節はそれほど関係ないようです。

雌の発情期はヒートとも呼ばれ、発情前期・発情期・発情後期の3つの期間に分かれています。

発情前期

発情前期の期間は7~10日ほど続きます。

この期間には、陰部が大きく膨らみ、発情出血(一般的には生理と呼ばれる出血)が見られるようになります。

発情期

発情期の期間は10日前後続きます。

やがて出血の量は減り、この時期には排卵が起こり、雄を受け入れるようになります。

発情期は、雄を拒否するようになるまでの期間です。

発情後期

発情後期の期間は60~80日続きます。

発情期が終了すると、妊娠期間に入ります。

交尾をしていない雌もこの時期はホルモンの内容が変化します。

体は受精卵を着床させる準備を整える時期であるため、雄を受け入れることはなくなります。

【発情期についての参考記事】

犬のオスとメスの発情期はいつ?その違いと期間について

雌の発情期に見られる特徴的な変化と行動

発情期が近くなると、雌の体には特徴が現れ、陰部が通常の3倍近くも膨らむので、その時期が近いとわかることもあります。

陰部の膨らみを見て、何か異常があるのでは?とびっくりする飼い主さんもいるようですが、確かに外見的にかなり特徴があります。

なので気を付けて観察すると予測ができると思います。

陰部からの発情出血は、犬が自分で舐めてしまい、小型犬の場合などは量も少ないので、飼い主さんが出血そのものになかなか気づかないこともあるかもしれません。

ただ、しきりに陰部を舐めるという行動は目立つと思います。

また、おしっこの回数が多くなり、普段はきちんとトイレのしつけができている犬でも、別な場所で粗相をするというような行動も見られることがあります。

発情期の雌の特徴的な行動としては、その他にも次のようなものがあります。

  • 落ち着きがなくなり、ソワソワし神経質になる
  • 食欲が異常に亢進するか、または食べなくなる
  • 興奮し吠える、鳴き叫ぶような声を上げる
  • 雄犬がいるとその近くに行こうとする行動が見られる
  • 気性が荒くなり反抗的になって、飼い主の指示を聞かない、威嚇などの行動がある
  • 不安そうにして元気がなく散歩を嫌がる・飼い主に甘えてくる
  • クッションや人間の手などにマウンティング(腰振り行動)する
  • 偽妊娠、想像妊娠と呼ばれる行動

このうち偽妊娠以外の行動は発情前期~発情期にかけて見られやすく、偽妊娠は本来の妊娠期間である発情後期に見られます。

偽妊娠はホルモンバランスが原因

偽妊娠という行動は、俗に想像妊娠とも呼ばれることが多いですが、人間のように犬が妊娠を強く望む心理的影響で起こるのではありません。

犬も妊娠を望んでいるという、擬人化した解釈をされる飼い主さんもいるようですが、これはホルモンの関係によるもので、想像妊娠というのは適切な呼び名ではありません。

偽妊娠は、妊娠していない雌が発情後期の妊娠期に、まるで妊娠しているかのような行動をとることを指します。

犬は、おもちゃやぬいぐるみ、人の靴下などを自分の子供のように見立て、衣類などを集めて巣作りのような行動をすることがあります。

子供に見立てたものを自分のベッドに運んで、大事に抱いていたり、慈しむように舐めたりして、その行動はまるで子育てをしているかのように見えます。

そこに飼い主さんが手を出して取り上げようとすると、犬はキュンキュンと切なく鳴いたり、抱え込んだものを守ろうとして威嚇することもあります。

また、実際にお乳が張ってきて母乳が出ることもあり、つわりのような症状やお腹が膨らんでくるなど、本当に妊娠しているのではないかと思わせるような現象も起こります。

これは、この時期の雌の体に、妊娠に必要なホルモンの量が増えることによって起こる現象で、妊娠していなくても、この時期は妊娠した状態を保つためのホルモンの分泌が続きます。

子育てのような行動は、そのホルモン=プロラクチンの影響によるものとされます。

こういう行動が顕著に出る犬もいれば、それほどでもない犬もいて、いずれにしても発情後期が終わればこのような行動も、大抵は落ち着いて来ます。

でも、あまりにも偽妊娠の症状が激しい場合はホルモンの分泌が過剰と考えられ、身体への負担も大きくなります。

また、妊娠しているわけではないのに、そういう現象に振り回されている犬のストレスはかなり高い状態と言うことができます。

ホルモン分泌量が過剰の傾向があり、発情期のたびにこのようなことを繰り返していくと、子宮内膜が充血した状態も多くなっています。

それが重なると子宮蓄膿症などを発症しやすく、また、乳腺炎や乳腺腫瘍も引き起こしやすくなるのです。

偽妊娠の兆候が強く見られるような犬の場合は特に、このような雌特有の病気の発症リスクへの注意が必要です。

繁殖の予定がないのであれば、避妊手術を検討した方がよいと思われます。

【参考記事】

犬の胸のしこり・オスにも発生?乳腺腫瘍の手術と費用について

雌の発情期の対策

清潔

雌犬の発情期は、発情出血で体が汚れやすくなっていることと同時に、体の免疫力も落ちている時期なので、感染なども起こりやすい状態です。

清潔に保ってあげることは大切なことですので、汚れた被毛などは、柔らかい温タオルなどで傷つけないようにそっと拭いてあげましょう。

生理用のパンツやパットを使用する場合は、蒸れて感染の原因になったり、皮膚が炎症を起こしたりする危険があるので、絶対に長時間着けたままにしないようにして下さい。

床やシーツ類などが多少汚れることもあるかもしれませんが、可能な限りはオムツを着けたりせず、そのままで過ごす方が、ヒート中のストレスと重ならずに犬も楽に過ごせます。

おしっこの回数も増えるので、パットなどを装着したためにおしっこを我慢しているようなら、膀胱炎のリスクもあがります。

犬が室内を汚さないことより、室内が汚れない対策を取ってあげる方がよいと思います。

汚れると困るようなものは片付け、その期間は洗えるカバーリングなどを使って汚れても構わないように対策し、パッドやパンツなどはできるだけ最小限にしましょう。

犬の体格にもよりますが、小型犬などはほとんど自分で舐めて処理してしまい、出血としてわかるものは少量です。

反対に出血がいつまでもあり分泌物が多かったり、においや性状がおかしい時は何か感染が起きているかもしれません。

生殖器系の病気の可能性もありますので、獣医師の診断を受けて下さい。

ヒート中のシャンプーは、体調が悪くないようでしたら特に制限はないのですが、サロンに任せることは慎重に検討する必要があります。

雄犬は、雌犬の発情期の匂いに刺激され、発情します。

もしサロンに雄が預けられていた場合、発情期の雌の存在が迷惑をかけることになりかねません。

雌によって発情させられた雄は制御が難しくなり、トリミング中に思わぬ事故や交配の危険もあるからです。

発情期の雌をサロンに預けることは、このような理由からも遠慮して下さい。

どうしてもサロンに出す必要があるのでしたら、他の犬へ配慮し、サロンに必ず事前に相談をして下さい。

それが雌の安全を守る為でもあるのです。

散歩

発情期の雌の行動の目的は子孫を残すことです。

雌の匂いに誘われて発情する雄もまた同じです。

いつもは安全な散歩コースであっても、その時期の犬はどのような行動をとるかわかりませんので、どんなアクシデントがあるかもわかりません。

ヒート中の散歩は控えめにして、できるだけ他の犬に遭遇しないように注意し、周囲に犬がいないかに気を配って下さい。

他の犬が集まる公園などの場所は避け、時間帯などにも工夫が必要です。

ドッグランやカフェ

犬が集まる場所では、ヒート中の雌は入れないというところも多いです。

たとえ禁止でなくても、これは飼い主としてのマナーであると認識しておいて下さい。

去勢してない雄が発情期の雌に遭遇すると、その行動は制御不可能になることが多いです。

刺激を受けた雄犬同士での喧嘩がその場で始まることもあります。

混乱を招きトラブルになることを避ける為にも、ヒート中の雌を連れてのそのような場所への出入りは遠慮して下さい。

マウンティング

マウンティングは、雄の交尾の性的な意味だけでなく雌にも見られる行動です。

特に発情期には、興奮してストレスも高まっているので、こういう行動をとる雌犬は多いようです。

マウンティングには、犬同士の順位付けの行動という意味もありますが、ストレスが高い時に表れる行動でもあり、この時期の雌のマウンティングはそれに当てはまる行動と考えられます。

これも発情期が終了すると次第に落ち着く行動と言えますが、人間にそのようなことをする場合、行動が習慣化してしまうこともあります。

そうさせない為にも、マウンティングしてきてもかわしながら相手にしないようにしましょう。

【雌犬のマウンティングの参考記事】

発情期の雌犬 人の足へのマウンティングをやめさせるには

避妊手術という選択肢

避妊手術に対しては賛否両論あり、決定できるのはその犬の飼い主さんだけです。

繁殖の予定がないのであれば、子宮や乳腺の病気の予防のためにも避妊手術は選択肢のひとつです。

避妊手術は決していいことばかりではなく、手術ですから当然リスクもあります。

戸惑う飼い主さんがいることも理解できます。

私の犬は偽妊娠の兆候が激しく、ホルモン過剰の傾向にありました。

私はそれまで、犬にてんかんという持病があることや、当時は体格も小さかったことなどが不安要素になって、避妊手術を躊躇していました。

でもこのままでは子宮や乳腺の病気のリスクも高まること、そして発情期のたびに偽妊娠のストレスがかかると、てんかんの持病へも悪影響であると想定され、主治医と話し合って2歳の時に避妊手術の決心をしました。

避妊手術を受けてからは、周期的に不安定な状態に陥ることがなくなり良かったと思っています。

避妊手術は、発情期を避けて行わなければなりません。

時期なども含め不安なことを納得いくまで相談できる、信頼のおける獣医師を見つけましょう。

ちなみに、繁殖は素人が安易に手を出すべきではないと私は思います。

愛犬の子供が見たい、女性として子供を産ませてやりたいと考える飼い主さんは少なくありません。

しかし、犬は決して安産ではありません。

まして小型犬など、親も子も命がけであることが多く、無事に産まれたとしても健康な子犬であると限らないのです。

出産で愛犬を失うかもしれない、障害を持った子犬が産まれるかもしれない、そのようなケースも多いのです。

愛犬が命を落としても後悔はないのか、重大な病気や障害を持って産まれた子犬でも最後まで医療にかけ、責任を持って育てられるのかなど考えてみて下さい。

そして健全なブリーディングの為には、何代も遡って遺伝病の有無など調べる必要があります。

そのような知識も持たずに、ただ可愛いからと子犬を産ませようとするのは無責任です。

一方で、増やすつもりはなかったにもかかわらず、繁殖制限をしなかった為に増えてしまい、飼いきれなくて困っているという話もあちらこちらにあります。

飼育が行き届かず、多頭崩壊という状態に陥っているケースも多いです。

増えすぎてひしめき合うように暮らし、ろくに食べ物にありつけない、健康状態も悪くなりその中で命を落とす犬もいる、そういう犬達は、それでも自然で幸せな犬の姿なのでしょうか?

【参考記事】

犬の去勢のメリットとデメリット メスの発情期のオスの対策

メス犬の発情期(ヒート)と避妊手術・費用や術後管理について

 

まとめ

雌犬の発情期は1年で2~3回あり、その時にはこのような行動が起こる可能性があります。

犬の本能を擬人化して考えるべきではないし、発情期は避けて通れる問題ではありません。

犬にとって何が幸せなのかは、愛犬の体を一番よくわかっている飼い主さんにしか答は出せません。

どうぞベストな方法を選んであげて下さい。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

【おすすめ記事】

デメリットも調べよう!ペッツベストのペット保険・口コミ評判

アニマルホーダーという精神疾患の心の闇とゴミ屋敷との共通点


関連記事(広告含む)


data-matched-content-ui-type="image_card_stacked"

♦犬の発情期
リアン@しっぽこむをフォローする

《これは使える!》

目や口に入っても安全!優れた除菌効果!

 

しっぽこむ

コメント

テキストのコピーはできません。