ノミ対策は大丈夫?犬が尻尾の付け根を噛む・舐める 

♦寄生虫/感染症

犬がしきりに皮膚を舐める・噛む時に一番考えられる原因は、単純に皮膚に異常がある時です。

そして、尻尾の付け根はノミの寄生の好発部位です。

犬が尻尾の付け根を舐める、噛むという動作をしつこくしている時は、ノミが関与している可能性があります。

犬の最も日常的な寄生虫ノミの繁殖を防ぐ為にも、ノミとノミアレルギーについて正しい情報を共有したいと思います。

ノミは犬の外部寄生虫

犬の寄生虫には、内部寄生虫と外部寄生虫の2種類があります。

《犬の内部寄生虫》

腸内などの体内に寄生する

回虫・鉤虫・鞭虫・条虫・フィラリアなど

【参考記事】

犬のフィラリア症はどんな病気?感染経路・症状・治療について

《外部寄生虫》

体の表面に寄生し主に皮膚のトラブルの原因になる

ノミ、マダニ、アカラス、疥癬(かいせん)など

外部寄生虫は、犬の皮膚の表面や皮下に寄生して、被毛や皮膚、フケなどを餌にします。

これらの寄生虫のために、犬は常に激しい痒みや不快を感じて、しきりに皮膚を舐める、噛むなどの動作を繰り返します。

ノミは昆虫の仲間に属し、それ以外の寄生虫は全てダニの仲間に入ります。

ノミは人間にも寄生します。

過去に病院で対応した患者さんで、家で寝たきりだった方にノミが寄生していて大変驚いたことがあります。

ノミにも、「イヌノミ」「ネコノミ」などの種類がいます。

日本の場合、イヌノミは現在減っているようです。

なので紛らわしいのですが、日本で犬に寄生するノミの種類は、ほとんどネコノミと考えられています。

反対にイヌノミの方が多く生息している国や地域もあるようです。

春から夏にかけ、暖かい気候になると、寄生虫の活動は活発になります。

ノミを始めとする外部寄生虫による犬の皮膚トラブルは増えます。

そして、それぞれの寄生虫が媒介する病気があります。

  • ノミ:消化管内寄生虫の瓜実条虫
  • マダニ:原虫バベシア

媒介する病気は多数あり、そのような病気を予防するためにも寄生虫を予防することは重要です。

また、それぞれ、体のどこに寄生するかという好発部位があります。

マダニは毛のない部分を好み、まぶたの縁や耳の裏側に寄生することが多く、疥癬は腹部や胸部、肢などに寄生ノミは腰から尻尾の付け根などに寄生が多く見られます。

【参考記事】

ここが怖い!マダニが原因の犬の病気と飲み薬などの予防法

犬が尻尾の付け根をしきりに噛む、舐めるという動作が見られて、尻尾の付け根をよく観察すると被毛の中に黒いごま状のものが見られるようなら、それはノミの糞の可能性が高いです。

つまり、そこにノミが寄生しているということが考えられます。

ノミに刺されて発症するノミアレルギー性皮膚炎

ノミに刺されると、刺されたことによる痒みだけではありません。

ノミに刺されると、ノミアレルギー性皮膚炎(ノミ刺咬性過敏性皮膚炎)という皮膚炎を起こします。

この皮膚炎を起こしてしまうと、さらに尻尾の付け根を噛む、舐める動作が加速します。

ノミは、口に2本の管を持っています。

そのうち、血を吸うのに使用するのは1本だけなのです。

もう1本の管からは、吸血と同時に、血が固まらないように自分の唾液を流し込んでいます。

ノミの唾液中に含まれるタンパク質は、犬にアレルギーを引き起こす原因物質でもあります。

これがアレルギー性皮膚炎を発生させるのです。

《ノミアレルギー性皮膚炎の症状》

  • ノミの寄生部位の腰や尻尾の付け根の皮膚が赤く腫れる
  • 皮膚が熱を持つ
  • 湿疹が出てひどくなるとただれる
  • 痒みが激しい
  • 尻尾の付け根をしきりに舐める・噛む
  • 体を地面にこすりつける

皮膚を掻いたり刺激することによって状態は悪化していきます。

そして、そこに細菌による二次感染が起こるとますます悪化します。

尻尾の付け根やその周囲の毛が抜け、かさぶたなども見られるようになります。

ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミの唾液に対するアレルギー反応です。

それゆえ、尻尾の付け根という局所だけにとどまらず、ひどい場合は全身に広がります。

その苦痛は犬の精神状態にも影響します。

痒みで寝られないことを人に当てはめても簡単に想像がつくと思いますが、犬も同様で、ノミの寄生による症状で不眠になり、常に苛立って過ごすようになるのです。

ノミの寄生に気づき、薬で駆除をしてノミがいなくなった後も、一度起こってしまったノミアレルギー性皮膚炎は、すぐには改善しません。

ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミ駆除後も1ヶ月くらいはおさまりません。

尻尾の付け根を舐める、噛むという刺激を加え続けるために、さらに治りにくい状態を作ってしまいます。

ベースにアトピーなどの慢性疾患があると、ノミによる皮膚病が合併することで重症化もしやすくなります。

アレルギー反応の強さは個体差があるので、激しく出てしまうこともあり、まれですがショック死を起こす可能性もあるのです。

腰から尻尾の付け根にかけて、湿疹や脱毛が見られたり、しつこく舐める、噛むなどの痒がっている様子があるなら、ノミの寄生による皮膚炎を起こしていることも考えてみて下さい。

ノミ寄生の発見方法と対策

ノミは寄生されている動物との接触によって感染します。

ペットホテルなどでは、預かる時に、寄生虫駆除・予防をしていることというのは預かる条件になっているのではないかと思います。

寄生虫は、駆除や予防をしていない状況下では、うつし合ってしまいます。

常識的な営業をしているところでは、それを避けるためにこのような対策をしているはずです。

でも、万が一、衛生状態の悪い場所に預けてしまい、ノミが寄生している他の動物と一緒になる機会があった時は、そこで感染してしまうことがあります。

他にも、散歩の時に藪の中や草むらの中に入ると、ノミが体についてしまうことがあります。

犬が痒がっているような時は、毛をかき分けて皮膚を確認してみて下さい。

ノミは、肉眼で確認することはできるのですが、動きが早いので見逃しやすいです。

ですが、ノミそのものではなくても、ノミの糞を見つけることがノミの寄生の手掛かりになります。

ノミの糞は、黒ごまのような様相をしているので、それを水で湿らせたティッシュに乗せてみて下さい。

濡らすことで血がにじみ出してくるようならそれはノミの糞であるという証明になります。

ノミ寄生の対策

ノミ対策はノミの駆除に尽きます。

ノミ・ダニの駆除・予防のできる薬剤は、スポットタイプのものや内服薬などいくつかの種類があります。

それぞれ利点、欠点があり、同じようなものであっても、成分が多少違っていたり、体質や持病によっては好ましくない成分などもあります。

例えば、私の愛犬はてんかんの持病がありますが、以前、コンフォティス錠(パノラミス錠)という内服薬を使おうとしていました。

ところが、この薬の主成分スピノサドは、「てんかんの既往症に対する慎重投与」という注意があることを主治医が気づいて指摘があり、安全の為、他の薬に変更しました。
(参考 http://www.maff.go.jp/nval/tenpubunsyo/pdf/PanoramisPI.pdf

ホームセンターなどにも手軽に購入できる予防薬はありますが、このような薬の成分濃度や効果は不明な事が多いです。

ハーブなどの忌避(虫よけ)効果に期待する考え方もありますが、これはあくまでも寄り付きにくくなるレベルのものであり、駆除は不可能です。

ノミ・ダニは、正しい方法で予防ができる寄生虫です。

近年のように、年間を通して同一の室温を保てるような環境であれば、季節を問わず予防が必要と考えた方が良いのです。

ただし確実に効果のある薬剤でない限り、使っているということに安心してしまうだけで、結局は予防になっていないことがあるので注意しなければなりません。

↓こちらを参考にご覧になってみて下さい。

寄生虫予防薬の種類だけでもこんなにたくさんの商品があります。

フィラリア予防薬に関しては、事前に血液検査をおこなうのが投与の必須条件です。

安全のためにも自己判断で投与すべきではないのが基本で、私もそう思います。

フィラリア予防薬の注意点については、是非下の記事もご覧になってみて下さい。

【参考記事】

犬のフィラリア予防薬の種類・投与の時期・副作用について

内部も外部も含めて全ての寄生虫に対し、その薬1つで有効とされる薬は確かに便利かもしれません。

そして、それは最終的に飼い主さんの判断でもあります。

しかし、どのような方法がその犬の健康に負担がかからないのか、それが一番大事ではないかと思います。

獣医師の中にもいろいろな考え方があるようですが、薬剤のタイプなどについてはまず指導を受ける方が安全ではないでしょうか。

ノミは、1匹いただけでもノミアレルギーを発症しますし、成虫ではなく卵がついて来ただけでも、あっという間に繁殖しますので予防は必須です。

ノミによる皮膚炎の予防は、ノミを体に付けない予防です。

もし、何かに付着してノミの卵が室内に持ち込まれた場合、13度以上の室温があればノミは繁殖し、活動することができます。

ノミの寄生が判明した場合、使用していた物は全て厳重に洗うか、処分するかです。

カーペットや寝具などを清潔にして室内も徹底して掃除機をかけるなど、ノミの繁殖を防ぐ対策が必要になり、かなり大変です。

私の知人に、全くこのようなことに無頓着で予防もしていなかった為に、自宅でノミが大発生して家族にも広がり、駆除するのに大騒動になった人がいます。

尻尾の付け根を舐める・噛む行為でノミ以外の原因によるもの

膿皮症

膿皮症は、ブドウ球菌などの常在菌が異常繁殖し、化膿する皮膚病です。

尻尾の付け根に限らず、表皮、真皮、または皮下組織という深部まで及び、強い痒みがあります。

体が健康な状態では、常在菌でこのようなことは起こらないのですが、病気や加齢で全身の抵抗力が低下していたり、細菌バランスが崩れた時には、皮膚のトラブルとして発症します。

また、ノミアレルギー性皮膚炎を掻き壊して、そこに二次感染として膿皮症が起こることもあります。

これは全身のどこにでも起こる可能性があります。

ストレス

寄生虫も見当たらず、他に原因が見当たらない場合、尻尾の付け根を噛む、舐めるなどの行動がストレスによるものということもあります。

このような行為により皮膚のトラブルを起こして脱毛してしまうこともあります。

【参考記事】

犬が前足を噛む?犬のストレスサインに気づいた時の対処法

犬がぐるぐる 回る・しっぽを噛む・毛をむしる常同行動とは?

 

まとめ

犬が尻尾の付け根を舐める・噛むという行為では、尻尾の付け根はノミの寄生の好発部位なので、寄生虫トラブルが起こっていないかどうか確認してあげて下さい。

痒みというのはとても強いストレスで、犬も人と同様に強い苦痛を感じます。

また、舐める、噛むなどでよけいに悪化させてしまい、慢性的な皮膚炎に移行してしまうと、なかなか治りづらくなります。

犬は痒みという苦痛を言葉で訴えることもできませんので、そうなる前の予防をしてあげて下さい。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

【おすすめ記事】

犬の命を熱中症から守ろう!症状が重症化する前に対処を


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