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犬のフィラリア予防薬の種類・投与の時期・副作用について

♦寄生虫/感染症
この記事は約10分で読めます。

犬のフィラリア症は、フィラリアという寄生虫が犬の心臓に寄生して起こる病気です。

フィラリアは時間をかけて犬の体を確実に蝕んでいきます。

しかしフィラリアは予防薬で予防することができます。

今回は、犬の飼い主には必須の知識として、フィラリア予防薬の種類・投与時期などを確認しておきましょう。

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フィラリアの感染経路

フィラリア=犬糸状虫という寄生虫は、蚊によって媒介されます。

犬の体内に入り込んで成長したフィラリアは、毎日幼虫を産み増やし続けるのです。

ミクロフィラリアと呼ばれる幼虫は、犬の体内と蚊の体内と行ったり来たりしながら成長します。

そして最終的には犬の肺動脈に到達してそこで繁殖を繰り返し、心臓やその周辺の組織を破壊していきます。

【フィラリア症の参考記事】

犬のフィラリア症はどんな病気?感染経路・症状・治療について

フィラリアを媒介する蚊(日本の生息種)

アカイエカ・トウゴウヤブカ・シナハマダラカ・コガタイエカ・ヒトスジシマカなど

ちなみにフィラリアは人に寄生する種類もあります。

まれですが、犬のフィラリアも人に寄生することがあるようです。

参考文献 https://www.eiken.co.jp/uploads/modern_media/literature/MM1207_05.pdf

フィラリアに感染する確率

今でも全く予防されないまま飼われている犬も少なくないです。

フィラリアの予防をしなかった場合、その感染率はどのくらいでしょうか?

もし予防薬を投与しなかった場合、

  • 一夏経過で38%
  • 二夏経過で89%
  • 三夏経過すれば92%

と言われ、かなり高い確率でフィラリアに感染します。

これは、全く予防をしないで3度の夏を経過すれば、ほとんどがフィラリア感染してしまうことになります。

もちろん環境的要因もあり、地域によっては蚊が多い少ないも当然あります。

周囲にいる犬がみんなフィラリア予防をきちんとしていれば、感染源そのものがないので感染せずにすんでいる運のいいパターンもあるでしょう。

反対に、予防をしていたにもかかわらず、薬の投与の方法が正しくなかったために感染してしまうパターンもあります。

室内で飼育している犬は安全だと思いますか?

室内飼育の犬もやはり散歩で屋外に出ますよね。

アロマなどで蚊を寄せつけない工夫をしている、人も刺されていないので蚊はいない、それは間違った認識です。

蚊は呼気を感知して飛んで来るので、アロマや蚊よけの効果が確実とは限りません。

犬は人よりも地面に近い、低い場所にいるので、蚊が瞬時に飛んできて犬を刺していても人が気づかないだけかもしれないのです。

フィラリア症は100%予防が可能

フィラリアは、何もしなければ感染の確率が高い病気ですが、正しく薬を投与すれば100%予防できる病気です。

しかし、フィラリアのことや予防薬のことをご存じない飼い主さんもいるのです。

統計的にフィラリア予防の普及は地域差があり、昔ながらの外飼いの多い地域では予防されていない傾向が考えられています。

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フィラリア予防薬は駆虫薬である

一般的にフィラリア予防薬という呼び方をしますが、正確には予防薬=駆虫薬です。

フィラリア症という病気についての予防という意味であり、幼虫のミクロフィラリアの感染そのものを防ぐことはできないのです。

過去1か月の間にミクロフィラリアの感染があったという前提で、月に1度、薬で駆除(殺虫)するのです。

私もそれを知るまで、フィラリアの薬を投与してから1ヶ月間は予防効果があるものというように勘違いしていました。

おそらくそのように思っている飼い主さんは多いと思います。

フィラリア予防薬は、すでにミクロフィラリアが体内に入ったと仮定し、それが成長してしまわないうちに(1ヶ月の期間ごとに)駆除することを目的とした薬です。

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フィラリアの予防時期と期間

フィラリアの予防時期は、地域によって多少ズレがあります。

その地域ごとで、予防時期を決める基準になるのは蚊の活動時期です。

フィラリア予防薬は、ミクロフィラリアが体に入って(蚊に刺されて)1ヶ月以内に投与しなければ駆除が間に合いません。

ですので、薬の開始時期は蚊が活動しだしてから1ヶ月後が最初になります。

そして、蚊が活動しなくなってから1ヶ月後の投薬を最後にその年のフィラリア予防は終了になります。

蚊は気温が14℃以上で活動を開始して吸血もするようになりますが、それ以下の気温では活動ができません。

その気温になるには、同じ日本国内でもかなり時期が違います。

フィラリア予防薬の投与は、春先4月~5月くらいの時期に開始しているとは思いますが、全国的にいつからいつまでという共通の期間は決められません。

さらに最近は温暖化で冬に近くなった時期にも蚊が飛んでいることがあります。

前の年がここまでの時期だったからとか、何ヶ月投与したから終了というような判断ではなく、あくまでも蚊がいつからいつまで飛んでいたかということが目安になります。

予防薬は通常8ヶ月くらいの期間で継続するのですが、蚊が長い間生息していれば期間延長も必要になります。

蚊に刺されてしまうようでは無意味になるからです。

また、年中蚊が生息しているような地域では、予防時期を設けずに一年を通して予防し続けることが必要です。

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フィラリア予防薬の種類

画像出典元 http://ts-vet.main.jp/pg108.html

フィラリア予防薬の種類は、内服するタイプや皮膚に滴下するスポットタイプなどいくつかあります。

それぞれの種類でメリットとデメリットがありますので、よく検討して体に合う種類の薬を選んであげて下さい。

♦錠剤

錠剤は、確実に内服できるのなら、一番シンプルな種類の従来の予防薬だと思います。

しかし、投与したつもりでも実は吐き出している可能性もあり、この種類の薬はそれに気づきにくいというデメリットはあるかもしれません。

錠剤にも成分の違いがあり、純粋に単独のフィラリア予防薬という種類の薬と、フィラリア以外の消化管寄生虫やノミダニの予防も兼用できる種類の薬があります。

他の寄生虫も一つの薬でまとめて予防できれば便利そうではありますが、その分含有する成分も多く、その犬の体質や持病などによってはその成分がリスクになることもあります。

このあたりは獣医師と相談の上、飼い主さんの好みかと思います。

♦チュアブル(犬の好みの味のおやつタイプ)

錠剤の投与が難しくても、チュアブルだと喜んで食べるという犬は多いです。

チュアブルタイプも、錠剤と同じように他の寄生虫の予防も兼ねる種類の薬があります。

チュアブルタイプの味は、犬の好みもあるのでしょうが、犬にとっておいしくできているようで、食べることにストレスはないようです。

うちの犬は、このタイプでシンプルなフィラリア予防だけの薬にしています。

チュアブルタイプはとても食いつきがよく、喜ぶのでまるでご褒美でもあげるように投与ができ、簡単に食べてもらえるというのが私の感想です。

チュアブルの味が嫌いな犬は少なそうですが、たまたま嫌いだったらこの種類は無理ということになります。

♦スポットタイプ

スポットタイプは皮膚に垂らす薬で、ノミダニ予防も一緒にできる種類のものがあります。

内服が難しい犬の場合はこちらの方が確実です。

ただし、スポット薬は、要領が悪ければ必要な量が確実に投与されてない可能性があるなどデメリットもあります。

また皮膚が弱い犬には不向きかもしれません。

スポットタイプの薬を嫌がり、投与のたびにパニックになる犬にはストレスが大きいので別の種類のものの方が良いかもしれません。

♦注射

注射薬は、一年に一度の注射で予防ができるという薬です。

注射は、うっかり忘れもなくてすみ確実に投与できることが一番のメリットでしょう。

ただ、注射薬は使われるようになって歴史が浅く、重篤な副作用の報告などもあり使用していない病院もあるそうです。

かかりつけの獣医師にリスクなどについて十分に説明を聞いた方がよいです。

その獣医師の方針などもあると思います。

~重篤な副作用について~

農林水産省:注射用モキシデックSRの資料 

動物医薬品検査所/モキシデクチン

また、注射は対象の犬の制限があります。

  • 子犬には注射薬は使用できません。
  • 一度注射するとその後体内に入った薬の量の調節はできない為、体重が著しく変動するような犬にも投与できません。

フィラリア予防薬にかかる費用は、それぞれの病院の規定があり統一ではなさそうですので直接お聞きになって下さい。

毎月病院で一回分の薬をもらうパターンもありますが、まとめて処方してもらうと割引になるシステムの病院もあります。

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フィラリア予防薬投与での重要事項

投与前は必ず検査をすべき

フィラリア予防薬の投与前には、血液検査をしてフィラリア感染がないかを確認しなければなりません。

前年に予防薬を投与していても、投与を忘れた月があるとか、終了したつもりだったがまだ蚊が生息していて実は刺されていたなど、なきにしもあらずです。

もし気づかずにフィラリア感染していた場合、血液中にミクロフィラリアが育っているということであり、そこに予防薬を投与するとミクロフィラリアは駆除されて死滅します。

そうすると、

  • 大量のミクロフィラリアの死骸が血管内に詰まる
  • 大量の死骸が産生する物質が異物となって犬がアナフィラキシーショックを起こす

という危険性があります。

ミクロフィラリアが一定の大きさに育っている状態での駆虫は、危険なので慎重に注意深くおこなわれなければならないのです。

このようなリスクを避け、安全に予防薬を投与するために、投与前のフィラリア検査と体重の確認は必須です。

ネット上には、投与前のフィラリア検査に関していろいろな説が飛び交っています。

フィラリア予防薬の投与前検査は、獣医師の営利の為であるので本当は必要ないという主張も見かけます。

そもそもフィラリア予防が必要ない、治療薬があるのだから感染してから治療すれば良いという意見まであります。

あらゆる情報を見比べ、何を選択するかはもちろん飼い主さんの意志です。

犬は自分で選ぶことができないので、全ては飼い主さんの判断です。

ですので飼い主さんは、それらの情報をよく吟味して最善を選択すべきだと思います。

私の考えを述べるとすれば、年に一度のフィラリア検査は、投薬の安全確認の為であると同時に、他の血液検査も含めれば健康診断のよい機会になるととらえています。

せっかく血液を採取する機会なのですから、うちはついでに他の項目も調べて健康チェックをしてもらっています。

全ては愛犬の安全や健康管理として考えれば、獣医の営利だとかわざわざ考えたこともなく考える必要もないと思います。

飼い主は犬のために、ただ質のよい医療や信頼できる獣医師を選ぶだけです。

飼い主が納得しているものが動物病院の利益になるとしてもそれの何が悪いのでしょうか?

副作用をチェック

全ての物質は、その量や使用方法によって薬にも毒にもなります。

フィラリア予防薬は、比較的安全で副作用も少ないとされていますが、薬である以上は副作用が出ることもあります。

一般的な副作用として挙げられている副作用は次のようなものです。

下痢、嘔吐、元気消失、食欲不振、ふらつき、虚脱、横臥、ふるえ、目の周りの腫脹、流延(よだれ)、呼吸困難、起立困難、皮膚アレルギーなど 

(参考 http://www.maff.go.jp/nval/iyakutou/fukusayo/jyohou/3353.html

フィラリア予防薬の成分は、全て同じではなく種類が違うものもあります。

イベルメクチンという成分が使われている種類のフィラリア予防薬は、コリー系の犬に神経症状の副作用が出やすく要注意とされています。

コリー系の犬種は、血液脳関門という脳に薬物が入り込むのを防ぐ役割を持つ部位のバリアが弱いようで、イベルメクチンの影響を受けやすいとのことです。

その為にコリー系の犬には、大抵異なる種類の薬が処方されるようです。

薬の投与スケジュールを守る

蚊に刺されてミクロフィラリアが犬の体内に入り、成長し活動するまでに全滅させることが予防薬(駆除薬)の目的です。

それに間に合うように、投与は月に一度というサイクルになっています。

薬の投与を忘れ、間隔が開きすぎると効果が確実ではなくなるので、忘れることのないように投与スケジュールを守らなければなりません。

もしも忘れたとしても、33日以内の間隔に調整できれば間に合うのですが、5日以上ずれると確実ではなくなります。

投与を忘れた場合、フィラリアの感染の量を最小限にとどめるという意味で、予防継続が必要になります。

内服の場合は、飲ませたつもりが飲んでいなかったということもあるので、くれぐれも確実な服薬確認をしましょう。

 

まとめ

駆除するタイミングはフィラリアが成長する前の時期でなければならず、33日以内の間隔での投薬が必要です。

フィラリア症はじわじわと犬の体を蝕んで苦痛を背負わせる病気です。

フィラリア症という病気になるかならないかは飼い主さん次第です。

予防できる病気は予防してあげて下さい。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

 

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