犬のフィラリア予防薬の種類・投与の時期・副作用について

犬のフィラリア症は、フィラリアという寄生虫によって起こる病気です。

フィラリアは犬の心臓周辺に寄生し、時間をかけて犬の体を蝕んでいきます。でもこの病気は、一定の期間、犬に予防薬を投与することにより予防ができるものです。

フィラリア予防薬もいろいろな種類のものがあります。

今回はフィラリア予防薬の種類や投与時期、副作用や注意点などについて解説したいと思います。

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犬のフィラリアは蚊が媒介する

のフィラリアは、「犬糸状虫」とも呼ばれる寄生虫が、蚊によって媒介される寄生虫感染症です。

犬の体内に寄生したフィラリアは、毎日幼虫を産み続けます。

ミクロフィラリアと呼ばれる幼虫は血液と一緒に蚊に吸われ、蚊の体内で成長します。

そして感染力のある大きさに成長し、今度は蚊の唾液と一緒に犬の体に移動します。

フィラリアは、犬の体内と蚊の体内と行ったり来たりしながら成長し、最終的には犬の肺動脈で成虫になって寄生し続けます。

【フィラリアの感染経路とフィラリア症の参考記事】

犬のフィラリア症はどんな病気?感染経路・症状・治療について

フィラリアを媒介する蚊は、日本では、アカイエカ、トウゴウヤブカ、シナハマダラカ、コガタイエカ、ヒトスジシマカなどが確認されています。

また、人に寄生するフィラリアというものもあり、さらに犬のフィラリアもまれですが人に寄生することがあります。(情報の出典元 http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/MM1207_05.pdf

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フィラリアに感染する確率

フィラリアの予防をしなかった場合、その感染率はどのくらいのものなのでしょうか?

もしフィラリア予防薬を投与しなかった場合は、一夏経過で38%、二夏経過で89%、三夏経過すれば92%と言われており、かなり高い確率でフィラリアに感染してしまいます。

つまり予防をしないで3度の夏を経過すれば、ほとんどがフィラリア感染してしまうことになります。

ただし、環境的な要因もあります。地域によって、蚊の多い少ないも当然あるからです。

周囲にいる犬がフィラリア予防をきちんとしているために感染源になるものがなく、感染せずにすんでいる運のいいパターンもあるでしょう。

または、フィラリア予防をしていたにもかかわらず、薬の投与の方法が不確実だったためにその合間で感染してしまうパターンもあるかもしれません。

室内で飼育している犬は安全でしょうか?室内飼育の犬もやはり散歩で屋外に出ますね。

アロマなど蚊を寄せつけないと言われる工夫をしている、人が刺されていないので蚊はいない、それは間違った認識です。

蚊は、呼気を感知して飛んで来るのだそうです。アロマや蚊よけがどのくらい効果があるかはわかりません。

犬は人よりも地面に近く低い場所にいます。人が気づかないだけで、蚊は瞬時に飛んできて犬を刺しているかもしれないのです。

フィラリア症は100%予防が可能

フィラリアは何もしなければ感染確率が高い病気ですが、正しく薬を投与すれば100%予防が可能な病気です。

しかし、飼い主さんがフィラリアのことや予防薬のことを知らずに、犬に全く予防がなされていなかったということも多々あります。

統計的にフィラリア予防の普及は地域差があり、昔ながらの外飼いの多い地域では予防されていない傾向にあると考えられています。

フィラリア予防薬は駆虫薬である

一般的にフィラリア予防薬という呼び方をしますが、正確にはフィラリア予防薬=フィラリア駆虫薬です。

予防するのはフィラリア症という病気についての予防という意味です。幼虫であるミクロフィラリアの感染そのものを防ぐことはできません。

ミクロフィラリアの感染があったものという前提で、毎月1回、薬で駆除しているのです。

以前は私も、フィラリアの薬を投与したら1ヶ月予防効果があるというように勘違いしていました。おそらくそのように思っている飼い主さんは多いと思います。

しかしフィラリア予防薬は、すでにミクロフィラリアが体内に入ったと仮定して、それが成長してしまわないうちに(1ヶ月の期間ごとで)駆除することを目的とした薬です。

フィラリアの予防時期と期間

フィラリアの予防時期は、地域によって多少ズレがあります。

その地域ごとに予防時期を決める基準になるのは、蚊の活動時期です。

フィラリア予防薬は、ミクロフィラリアが体に入って(蚊に刺されて)1ヶ月以内に駆除する薬ですので、開始時期は、蚊が活動しだしてから1ヶ月後が最初の投与になります。

そして、蚊が活動しなくなってから1ヶ月後の投薬を最後として、その年のフィラリア予防は終了になります。

蚊は、気温が14℃以上で活動を開始して吸血もするようになりますが、それ以下の気温においては活動ができません。そして、その気温になるには、同じ日本国内でもかなり時期が違います。

そういう理由で、フィラリア予防薬の投与は、春先4月~5月くらいの時期に開始しているとは思いますが、全国的にいつからいつまでという共通の期間は設けられません。

そして最近は、温暖化で冬に近くなった時期にも蚊が飛んでいることがあります。

前の年がここまでの時期だったからとか、何ヶ月投与したから終了というような判断ではなく、あくまでも蚊がいつまで飛んでいたかということが目安で、その1ヶ月後の投与で終了ということになるのです。

その為、予防薬は通常8ヶ月くらいの期間、継続するのですが、場合によっては期間延長が必要になることもあります。

また、年中蚊が生息しているような地域では、予防時期を設けずに一年を通して予防し続けるという方法が取られます。

フィラリア予防薬の種類

画像出典元 http://ts-vet.main.jp/pg108.html

フィラリア予防薬の種類は、内服するタイプや皮膚に滴下するスポットタイプなどいくつかあります。それぞれの種類でメリットとデメリットがありますので、よく検討して犬に合った種類の薬を選択して下さい。

♦錠剤

錠剤は、確実に内服できるのなら、一番シンプルな種類の従来の予防薬だと思います。しかし、投与したつもりでも実は吐き出しているということもあり、この種類の薬はそれに気づきにくいというデメリットはあるかもしれません。

そして、錠剤にも成分の違いがあり、純粋にフィラリア予防薬という種類の薬と、フィラリア以外の消化管寄生虫やノミダニの予防も兼用できる種類の薬があります。

他の寄生虫も、一つの薬でまとめて予防できるのが便利そうではありますが、その犬の体質や持病の有無などによってはその成分がリスクになることもありますので、獣医師とよく話し合って下さい。

♦チュアブル(犬の好みの味のおやつタイプ)

錠剤の投与が難しくても、チュアブルだと喜んで食べるという犬もいます。チュアブルタイプにも上記のように他の寄生虫の予防も兼ねられる種類の薬があります。

チュアブルタイプは犬の好みもあるのでしょうが、犬にとってはおいしく、食べることにストレスがないようです。

私はこのタイプのシンプルなフィラリア予防だけの種類の薬にしています。チュアブルタイプはとても食いつきがよく、まるでご褒美でもあげるかのようにして投与が簡単というのが私の感想です。

しかし、チュアブルの味が嫌いな犬ももちろんいるようです。

♦スポットタイプ

スポットタイプは皮膚に垂らす薬で、ノミダニ予防も一緒にできる種類のものがあります。内服が難しい犬の場合は、こちらの方が確実に投与できます。

ただし、スポット薬は、うまく滴下できてなくて、実は必要な量が確実に投与されてない可能性があるなどのデメリットがあり、また、皮膚が弱い場合などは不向きと思います。

そして、スポットタイプの薬を嫌がり、投与のたびにパニックになる犬には、ストレスが大きいので別の種類のものが良いかもしれません。

♦注射

注射薬は、一年に一度の注射で予防ができるという薬です。注射はうっかり忘れもなくてすみ、確実に投与できるということが一番のメリットでしょう。

ただ、注射薬は使われるようになってまだ新しく、重篤な副作用の報告などもあり使用していない病院もあるそうですので、かかりつけの獣医師によく説明を聞いた方がよいでしょう。

その獣医師の方針などもあると思います。

重篤な副作用についての参考サイト

農林水産省 注射用モキシデックSR http://www.maff.go.jp/nval/iyakutou/fukusayo/jyohou/2619.html#2

また、注射は対象の犬の制限があります。子犬には注射薬は使用できません。一度注射するとその後薬の量の調節ができませんので、体重が著しく変動する犬にも投与ができません。

フィラリア予防薬にかかる費用については、それぞれの病院の規定があり、統一ではなさそうですので直接お聞きになった方がよいです。

毎月病院で一回分の薬をもらうパターンもありますが、まとめて処方してもらうと割引になるというシステムの病院もあります。

フィラリア予防薬投与での重要事項

投与前は必ず検査をすべき

フィラリア予防薬の投与前には、血液検査をしてフィラリア感染がないかを確認しなければなりません。

前年に予防薬を投与していたとしても、投与を忘れた月があるとか、終了したつもりだったがまだ蚊が生息していて刺されていたなど、なきにしもあらずです。

もし気づかずにフィラリア感染していた場合、血液中にミクロフィラリアが育っていることになり、そこに予防薬を投与すれば、ミクロフィラリアは駆除されて死滅します。

そうすると、大量のフィラリアの死骸が血管内に詰まってしまったり、その大量の死骸が産生する物質が異物となって、犬がアナフィラキシーショックを起こす危険性があります。

ミクロフィラリアが一定の大きさに育っている状態での駆虫は、慎重に注意深くおこなわれなければなりません。

このようなリスクを避け、安全に予防薬を投与するために、投与前のフィラリア検査と体重の確認は必須です。

ネット上には、投与前のフィラリア検査に関していろいろな説が飛び交っていて、フィラリア予防薬投与前の検査は獣医師の営利の為であるので本当は必要ないという主張も見かけます。

そもそもフィラリア予防が必要ない、治療薬があるのだから感染してから治療すれば良いという意見まであります。

あらゆる情報を見比べて、何を選択するかはもちろん飼い主さんの意志です。犬は自分で選ぶことができず全ては飼い主さんの判断です。飼い主さんはそれらの情報をよく吟味して最善を選択すべきだと思います。

私の考えを述べるとすれば、私は、年に一度のフィラリア検査は、投薬の安全の為であると同時に他の血液検査も含めて、健康診断のよい機会ととらえています。

せっかく血液を採取する機会ですから、他の項目も調べて簡単な健康チェックをしてもらっています。それは犬の健康管理であり、獣医の営利だとかはわざわざ考えたこともなく、考える必要もないと思います。

飼い主はただ、質のよい医療や信頼できる獣医師を選択するだけです。そして飼い主が納得しているものが動物病院の利益になるとしても、それの何が悪いのでしょう?

副作用をチェック

全ての物質はその量や使用方法によって薬にも毒にもなり得るものです。

フィラリア予防薬は、比較的安全で副作用も少ないとされていますが、薬である以上、副作用が出ることもあります。

一般的な副作用として挙げられている副作用は次のようなものです。

下痢、嘔吐、元気消失、食欲不振、ふらつき、虚脱、横臥、ふるえ、目の周りの腫脹、流延(よだれ)、呼吸困難、起立困難、皮膚アレルギーなど (参考 http://www.maff.go.jp/nval/iyakutou/fukusayo/jyohou/3353.html

フィラリア予防薬の成分は全て同じではなく、それぞれ成分の種類が違います。

イベルメクチンという成分が使われている種類のフィラリア予防薬は、コリー系の犬に神経症状の副作用が出やすく要注意とされています。

コリー系の犬種は、血液脳関門という、脳に薬物が入り込むのを防ぐ役割を持つ部位のバリアが弱く、イベルメクチンの影響を受けやすいとのことです。

その為、コリー系の犬には、大抵、異なる種類の薬が処方されているようです。

薬の投与スケジュールを守る

蚊によってミクロフィラリアが犬の体内に入って、フィラリアが成長し活動するまでに全滅させることが予防薬(駆除薬)の目的です。

それに間に合うように、投与は月に一度というサイクルになっています。

薬の投与を忘れ、間隔が開きすぎると効果が確実ではなくなりますので、忘れることのないように投与スケジュールを守らなければなりません。

もしも忘れていたとしても33日以内の間隔に調整できれば間に合うのですが、5日以上ずれると確実ではなくなります。

投与を忘れた場合もフィラリアの感染の量を最小限にとどめるという意味で、予防継続が必要になります。まずは獣医師に相談するようにして下さい。

内服の場合は、飲ませたつもりが飲んでいなかったということもありますので、確実に服薬確認をするようにしましょう。

まとめ

フィラリア予防薬は、フィラリアに感染しない効果があるのではなく、体内に幼虫のフィラリアが入ったことを前提に、それが成長し始める前に駆除することを目的とした薬です。

駆除するタイミングは、成長する前の時期でなければならず、それは33日以内の間隔での投薬でなければなりません。

投与したりしなかったり、あるいは投与の時期が大きくずれたりすると、それは確実ではなくなってしまい、フィラリアの体内寄生の危険が生じることになります。

フィラリア症はじわじわと犬の体を蝕んで大変な苦痛を背負わせる病気です。それぞれに合う種類の薬を選び、確実な予防ができるようにしてあげて下さい。

フィラリア症という病気になるかならないかは飼い主さん次第です。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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