犬のしつけについては、訓練所での預かり訓練やしつけ教室など、専門家に任せるという選択肢もあります。
ただ、専門家と言ってもどういう人に依頼するのが安心なのか、自分の犬に適しているのか、選び方がよくわからない飼い主さんも多いのではないでしょうか。
今回は、犬のしつけ教室と預かり訓練がどのようなものか、情報をまとめてみました。
犬のしつけ専門家の資格
犬のしつけの専門家は、呼び方もいろいろあります。
「訓練士」と「トレーナー」は、場合によっては同じ意味で使われることもありますが、厳密に言えば違います。
訓練士とは、主に使役犬と呼ばれる、ある目的を持った仕事をする犬に対して、その仕事ができるように訓練する職業です。
例えば盲導犬や警察犬、災害救助犬などを担当します。
訓練士は、犬との関係も、仕事を覚えさせる上司と部下のようなものと言われます。
トレーナーとは、ペットとしての一般の家庭犬に対して、人と暮らして行く上での日常的なルールやマナーなどのしつけをする職業です。
例えばトイレのしつけや散歩、吠えに対するしつけなどを行います。
トレーナーは、犬との関係も親子のような関わり方という表現が近いようです。
犬訓練士資格というのは、日本警察犬協会が発行する公認資格などあります。
一方、トレーナーに関しては、日本ドッグトレーナー協会のライセンスなどあるものの、統一の資格はまだないようです。
また、それぞれを別々に考えずに、総称してドッグトレーナーというように呼ぶ場合もあります。
犬のしつけ教室とは
犬のしつけ教室は、行政や動物病院主催で、様々な場所で開かれています。
しつけ教室は、犬の訓練所とは目的が異なります。
「犬をしつける」というより、その飼い主に対して、犬をどのように扱うべきなのかのコツを教える、どちらかと言えば「飼い主に学ばせる」ということを目的とします。
また、しつけ教室には、集団講習と個人指導があります。
個人指導の教室では、トレーナーが自宅に来てくれて、実際に犬が暮らしている環境の中での指導を受けることができます。
犬のしつけ教室のメリット
飼い主さん自身で犬のしつけ本などを読み、どんなに学習しても、わからないようなことは出て来ます。
しつけ教室での一番のメリットは、細かいことやちょっとしたコツなどを教室のトレーナーから直接教わることができることでしょう。
また、犬のしつけでの悩み、うまくいかないことなども、教室で相談することができるので、その場で教わって解決できるかもしれません。
集団のしつけ教室の場合は、他の犬や飼い主さんとも繋がりができます。
犬も、他の犬や人との関わり方を学ぶ機会が持て、教室は犬の社会性を身に着ける学習の場にもなります。
飼い主さんにとっても、同じ教室の飼い主同士で話しあったり、相談しあったりすることができる機会にもなります。
一方、個別に対応してくれる個人指導では、犬が実際に暮らしている環境下でしつけを教わることができます。
その環境に対するアドバイスも現実的な内容になり、犬の性格に合わせたものになることが期待できます。
また、繊細な性格の犬の場合は、慣れた自宅でならストレスも少なくてすみます。
犬のしつけ教室のデメリット
その教室でできる内容と時間には限界があるので、犬に大きな問題行動がありその矯正を目的とする場合などは、長い日数がかかるか、そのような教室では対応できないこともあります。
また、集団のしつけ教室の場合、犬の性格によってはストレスになり、犬にかかる負担が大きいかもしれません。
犬の預かり訓練とは
犬の預かり訓練とは、犬を一定期間、訓練所に預託して訓練士によって犬を訓練することです。
大型犬・気性が激しく、扱いや飼育が難しい犬種・問題行動があり飼い主さん自身でのしつけが困難な場合の行動矯正など、預かり訓練によってしっかりと犬の服従心を育て、家での生活がスムーズにいくようにします。
預かり訓練は一般に、子犬であれば半年くらい、最低でも4ヶ月ほどの期間が必要と言われ、費用もしつけ教室より高額となります。
預かり訓練のメリット
預かり訓練のメリットは、プロの訓練士から預かり中の犬の性格などを細かく判断してもらい、自宅で生活する上での的確なアドバイスがもらえることです。
また、事前に伝えておいた飼い主さんの希望に沿ったしつけをしてもらえるようです。
訓練所は、預かり訓練の為の環境や設備も揃っているので、集中して高度な訓練を受けることも可能です。
預かり訓練によって徹底した服従心が育てられるので、自分でしつける自信がない飼い主さんにとっても安心でしょう。
また、預かり訓練にも、月単位の期間ではなく、一日単位で預かり対応するプランなどがある訓練所もあるようです。
短期間の預かりでは、本格的な訓練は無理だと思いますが、ホテルに預けるような感覚で訓練の見直しの機会として利用するとよいかもしれません。
預かり訓練のデメリット
最低4ヶ月と言われる預かり訓練は長く、やはり飼い主さん側は、預かり訓練中の自分の犬のことを把握できないことが不安材料になるのではないでしょうか。
預かりに子犬を出したのであれば、一番可愛い時期に傍でその成長を見られない寂しさもあると思います。
預かり訓練士の方に懐いてしまい、自分を忘れてしまうのではないか?と不安もあります。
また、預かり訓練中はきちんと訓練士の命令に従っていたけれど、帰って来たら家では全く飼い主の指示を聞かないというケースもあるようです。
また、例外的な話になりますが、残念ながら悪徳な訓練所も存在しています。
そもそも犬の訓練が実は行われてなかったという信じられないような話もあります。
さらに、健康管理がずさんで戻って来た時にはやせ衰えていた、預けた犬を返してもらえない(行方不明)というようなトラブルもあるようです。
しつけ教室・訓練施設の選び方
自分の犬のしつけに、どのような場所が向いているのか選ぶ時には、
- その犬種や月齢
- しつけの目的
- 今抱えている問題は何か
などが検討材料になります。
特殊なしつけを要する犬種ではなく、問題も特にない子犬などは、しつけ教室が手軽で適していると思われます。
しつけ教室は、各自治体の動物愛護センターや保健所、役所などの公共機関からも教室の情報が得られますが、動物病院などが独自に行っている教室は、直接問い合わせてみると良いと思います。
病院のホームページなどでも確認できるはずです。
有料のしつけ教室を選ぶ場合は、一度見学をさせてもらうことをおすすめします。
お試しで体験ができるところもあるようですので、そのようなものを探してみてもよいかもしれません。
そして、事前に
- かかる費用
- 訓練の方法
- 対応は誠実か
- 担当トレーナーの経験や方針
- 施設が清潔かどうか
などについて、できる限り確認してください。
飼い主さんが求めている内容と、そこでできることが合っているのかが重要です。
通うことになれば場所も大事ですので、通いやすいかどうかも検討して下さい。
預かり訓練をする訓練所では、しつけ教室より訓練の内容が厳しいことも多いようです。
預かり中に、どのような方法で訓練を行うのか、トレーナーの経験や方針、預かり訓練所の設備などを見学し、必ず確認してください。
体罰的な訓練が主体となっている訓練所も少なくありません。
そこで訓練中の犬はどのような様子なのか、のびのびとした様子で過ごしているかも、確認できるのなら見学しておいた方がよいと思います。
自分の犬をその訓練士に預けて本当に大丈夫なのか、よく検討して下さい。
脅すわけではないですが、体罰で大怪我をしてもそのまま治療してもらえず、障害を負ったまま返却されるようなこともある、そんな訓練士もいるからです。
《しつけ教室・預かり訓練の費用の相場》
- 預かり訓練:5万円~/月
- しつけ教室:集団では約2千円/1時間・個別では約3千円/1時間
目安ですが、最低でもこの程度はかかると考えておいた方がよさそうです。
また、預かり訓練所も、預かり中の犬とスタッフが一緒に過ごす24時間対応の所もあれば、夜間は施設に犬を置いて一切対応しない所など、様々のようです。
細かいですが、そのようなこともよく調べて、納得してから預けて下さい。
まとめ
犬のしつけを依頼するには、しつけ教室や預かり訓練などいろいろな形態があります。
何を目的としているのかを明確にさせた上で、その目的に合ったものを選び、しっかり比較検討することが大事です。
迎えた犬との付き合いは長いものになり、しつけを怠ることは将来的に共存を難しくする原因にもなります。
最近は、飼い主を教育するということが重要視されるようになり、飼い主のしつけに対する意識の高さが求められる時代になりました。
しつけを行う必要性を理解し、犬と良好な関係を築きながら暮らしていけるようにしたいものです。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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