犬は飼い主に似るとよく言われます。
私の愛犬も私に似ていると時々言われます。あなたの愛犬はどうですか?
犬は家族の一員であることに間違いありませんが、当然ながら血縁関係があるわけではないですよね。
それなのにどうして飼い主に似ると言われるのでしょう?
今回は、犬が飼い主に似ることについて解説してみたいと思います。
犬は飼い主とどこが似るの?
犬は飼い主に似るという俗説は、もうずいぶん昔から言われていたことのように思います。
そもそも、飼い主とどこが似るのでしょう?
顏?
姿かたち?
性格?
「犬は飼い主に似る」というのは世界的にどこでも共通の説のようで、このことをテーマにした写真を撮っているフォトグラファーもいるようです。
ドイツ人フォトグラファーのInes・Opifanti氏は、自分の愛犬が自分に似ているということに気づきます。
そして、それをモチーフにしてボランティアで募った犬と飼い主の写真を撮りました。
その作品はInes・Opifanti氏の↓HPにあります。
また、イギリス人のフォトグラファーGerrard・Gethings氏も、犬と飼い主の写真を撮り続けてインスタグラムにUPしていました。
Gerrard・Gethings氏のインスタグラムはこちら↓
Gerrard・Gethings氏の写真は、「DO YOU LOOK LIKE YOUR DOG?~あなたは飼い犬に似ていますか?」という写真集にまとめられ、発売もされました。
このような写真を見ると、確かに犬と飼い主は外見的なものも似ているような気がします。
犬と飼い主が似ることは科学で証明されていた
これは外見的な話、顏が似るということについてなのですが、これについて真面目な実験を行った研究者がいました。
その実験を行ったのは関西学院大学の中島定彦教授という心理学者で、この論文は国際人間動物関係学会という学会発行のイギリスの学術誌「Anthrozoös」にも掲載され、マスコミにも取り上げられた本格的な実験です。
この実験は、2009年に行われました。
サンプルとして使用されたのは、愛犬団体のイベントに参加した50頭の犬と飼い主の顏写真です。
その写真から、両目が映ってない写真を除き、40頭分のサンプルを5枚ずつ並べ、それと飼い主の写真を判定者70人が組み合わせるというのが第1の実験でした。
次に、飼い主と犬の正しい組み合わせ20組の写真と、組み合わせの違う20組の写真を準備し、判定者186人が正しい組み合わせを選ぶというのが第2の実験でした。
さらに第2の実験では、目を隠す、目の部分だけを見せるなどのパターンも試みられました。
これらにより、目を隠していない写真では犬と飼い主の組み合わせの正解率は高く、反対に他のパーツを覆っても目の部分を見せたものはやはり正解率が高い、という結果が得られたそうです。
つまり、犬と飼い主が似るのは事実であり、特に目の周辺の特徴が重要なポイントであることがわかりました。
(出典元:http://sadahikonakajima.cocolog-nifty.com/nakajima/2013/10/test-1.html)
飼い主は自分に似た犬を選んでいる
では、どうして犬は飼い主に似るのでしょう?
実は、上の実験でもう1つわかったのが、サンプルの飼育年数はバラバラでしたが、似ているのは飼育年数が長いか短いかはあまり関係がないということでした。
あくまでも外見的なことに関してですが、そこには飼育年数という要素は影響してなさそうだということなのです。
そのことから、犬は飼い主と長く暮らしているうちに似るのではなく、最初から似ている犬を飼い主が選んでいるという仮説が立てられています。
人には、見慣れたものに好感を抱くという心理があり、これは心理学の用語で単純接触効果(ザイアンスの法則)と呼ばれます。
犬と飼い主が似るのは、飼い主が犬を選ぶ時にもこの心理が働き、見慣れた犬、つまり自分に似た犬に好感を抱くからではないかと中島教授は説明しています。
この分野はまだ研究途中だそうですが、いつか続きの実験がおこなわれることに期待したいですね。
同じ環境の中では性格も似るもの
犬が飼い主に似るのは、どうやら外見的なことだけではないかもしれません。
例えば私の愛犬は私と似ている、いえ、私が犬に似ているのかもしれませんが、外見というより性格が似ているように感じています。
上記のフォトグラファーも、飼い主と犬の写真を撮り始めたきっかけは、愛犬を見ていてそのしぐさなどが自分に似ていると気づいたことからでした。
性格の形成には、それぞれの基本となる遺伝的な要素、持って生まれた素質というものがあります。
しかし、人も犬も同じように、育つ環境もまた性格形成に大きな影響を与えます。
生活習慣、食べる物、住んでいる家、行動のパターン、接し方などは、その家ごとに決まりがあり、違っているのが普通です。
長く一緒に暮らした夫婦が似てくるのは、同じ環境や同じ習慣を共にしてきた結果だと言われます。
これは、犬にも同じことが当てはまるのではないかと思われます。
生まれ持った性格の傾向に加え、暮らしている環境や犬を取り囲むいろいろな要素が、犬の性格を形成していくのです。
つまり、その犬の性格は、飼い主の性格や暮らし方がおおいに影響するものであり、飼い主に似る傾向は自然なことかもしれません。
犬がどのような性格の犬に育つのか、それは全て飼い主にかかっているのです。
まとめ
犬が飼い主に似るには、次第に飼い主に似てくるわけではなく、最初から飼い主が自分にどこか似た犬を選んでいたのです。
出会った時に何となく運命を感じたという表現をする飼い主さんも多いですが、その犬にどこか自分との共通点を見つけるのかもしれません。
今、傍にいるのは、あなたが選んだ特別な犬です。
どうか大事にしてあげて下さい。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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