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【愛犬の体験談】僧帽弁閉鎖不全症で肺水腫を発症し手術決断するまでの経緯

犬の病気
この記事は約7分で読めます。

私が飼っている愛犬は、7歳の健康診断の際に行った心臓エコー検査で、僧帽弁閉鎖不全症が発覚しました。

それからは薬を飲ませてコントロールをしていましたが、病気は進行し、10歳の時に肺水腫を起こしてしまいました。

獣医師からは、この状態からの平均余命は約9か月と説明され、私は愛犬を何とかして助けたく、僧帽弁閉鎖不全症の手術を決断し、2021年に手術を終えました。

手術を決断するまでの経緯と手術前後の体験談を2回に分けて書こうと思います。

この体験談が飼い主さん方の参考になれば幸いです。

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僧帽弁閉鎖不全症とは?

病気の詳細について

心臓の中は4つの部屋に分かれていて、4つの種類の血液逆流防止弁があります。

心臓の拍動に合わせて弁はそれぞれが開閉し、心臓の中を流れる血液を逆流させることなく一方通行に保ってます。

僧帽弁も逆流防止弁の一つで、左心室と左心房の間にある弁です。

弁の異常の中では、僧帽弁の閉鎖不全が高い頻度で発生します。

犬の心臓病ではこの病気がとても多く、特に中高齢の小型犬に好発します。

この病気は進行性で、薬で進行を抑えることはできても治癒させることはできません。

いつか急激に悪化して重度の心不全になり、肺水腫を起こす危険とも背中合わせということでもあります。

ただ、重度になるのがどの時点なのかは個体差があります。

生涯にわたる薬や生活の上での注意が必要でも、うまく病気がコントロールできて悪化することなく寿命を全うできている犬もいます。

愛犬に実際に行われていた薬物治療

病気がどの段階で発見できたのか?というのは重要です。

私の愛犬はまだ症状がない時に検診の心エコー検査で判明し、心拡大にも至ってないステージB1という初期段階でした。

僧帽弁閉鎖不全症の初期でどう対処するかは、獣医師の考え方や治療方針によって多少異なるところもあるようでした。

ある程度進行するまで薬は処方しないという獣医師もいると聞きますが、うちの主治医はできるだけ早期に薬を開始した方が予後がよいとの考えでした。

そして心不全治療薬であるエースワーカー(0.5㎎)1錠×夕が開始となりました。

 

《投薬治療では半年後の生存率が50%》

しばらくは特に変化もなく、外見的には病気の進行などないかのように見えましたが、定期的な心エコー検査では血液の逆流の増加が確認されていて、病状悪化は否めないものでした。

診断から1年経ち、薬をもっと強いものに変更した方がよいということになり、強心剤のピモベハート(1.25㎎)1/2錠×朝夕に変更になりました。

その量は、3/4錠×朝夕→1.5錠×朝夕→2錠×朝夕と段階的に増えていきました。

また途中から、利尿剤ルプラック(10㎎)1/16錠×朝が追加になり、これも同様に1/8錠×朝に増量になりました。

この後に書きますが、肺水腫を起こしてからは、降圧剤アムロジピン(10㎎)1/4錠×朝が追加になりました。

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突然の肺水腫の発症

肺水腫に気づいた日~愛犬の様子がおかしい~

愛犬の心雑音はいつからか、外からでも異常がわかるほどになっていました。

体を抱いているだけでザーザーと濁った大きな振動音が伝わって来て、この子の心臓は今にも破裂するのではないかと不安で仕方ありませんでした。

そして、強心剤が開始になって1年経った頃、ついに肺水腫の発症です。

それはいつもと何ら変わる様子のなかった日の翌日に突然起こりました。

その日、愛犬のトリミングの予約をしていて、出かける準備をしていました。

しかし愛犬は朝から食事をほとんど残しており、ぐったりしているわけではないけれど不安そうな表情で様子が変でした。

私は何かとても嫌な予感がして、トリミング予約を取り消し病院に向かいました。

病院での診断結果

胸部レントゲンと心エコー検査で、僧帽弁閉鎖不全症による肺水腫を起こしかけていることがわかりました。

画像は両肺とも薄っすらと白く濁っていて、私はとても動揺しました。

何でこんなことになったのだろう?いつから具合が悪かったのか?なぜ気づいてやれなかったのか?

それでもトリミングをやめてよかった、様子を見たりせずすぐに病院に来たのはよかった、それだけは正しい行動でした。

僧帽弁閉鎖不全症の進行ステージはすでにB1→B2になっていましたが、肺水腫(心不全の症状)を発症したことにより、さらにステージCに進行したことになります。

肺水腫の治療と再発

今の段階ならまだ自宅で改善できるだろうということで、利尿剤ルプラックが増量、降圧剤アムロジピンもこの時初めて処方されます。

そして一旦帰宅し、薬の増量で症状が改善し愛犬は元気を取り戻しました。

しかしそれもつかの間、3日後に再び様子がおかしく、浅い肩呼吸をしていて前回よりも状態が悪いのが見てわかりました。

再び病院に連れて行き、獣医師はその姿を見るなり急いで酸素室へと運んでくれました。

今度は完全に肺水腫になっていてそのまま入院です。

酸素室で持続点滴に繋がれ、利尿剤と強心剤を使って肺に貯留した水を対外に出す治療が行われました。

この時は3日ほどで改善したため退院となり、私は今後のために自宅に酸素室をレンタルし療養環境を整えました。

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手術を決断するまでのプロセス

内服治療の限界

退院後も病状は不安定で、たびたび病院に行っては利尿剤(ラシックス)と強心剤(ハンプ)の注射を打ってもらい、回復が悪い時は病院に預けて経過を見るという日々が続きました。

獣医師からは、ここまで進行している場合の平均の余命は9か月ほどというシビアな告知も聞いていました。

今できることは対症療法のみで、それで何とか安定すればよいけれど、愛犬はなかなかそれが続かず肺水腫の状態に戻ってしまいます。

僧帽弁を固定している腱索が切れるなどして弁としての機能を果たせない状態のようでした。

率直に言って愛犬は9か月も持たないであろう状態であり、命を繋ぐ方法はもう手術しかないところにいました。

手術に関する不安や疑問の解消

人の医療ではこの病気の治療は手術が基本ですが、犬の僧帽弁閉鎖不全症の手術が可能な医療機関は都市圏の方にわずかしかなく、手術ができる獣医師も限られています。

居住地にそういう医療機関がなければ、紹介を受けて遠征するしかありません。

手術予約が取れたとしても順番待ちは数か月または年単位になることもあります。

手術成功率は、当時のデータでは退院までの生存率を含めて90%超えと高い数字でしたが、100%ではなく、術中や術直後に亡くなる可能性もあります。

もちろん簡単な手術であっても、どの場合もリスクは必ずあります。

しかしこの手術は、一旦心臓を止めて人工心肺装置で血液を対外循環させながら行う大がかりな手術であり、犬の体にかかる負担も大きくなります。

かかる費用は医療機関によって違いはありますが、200万は必要です。

術後の重大な合併症もあり、治療や入院が長引くかもしれず、それを乗り越えられるのか、またその時は費用もさらにかさみます。

私は地方在住ですが、通院していた病院は循環器に特化した医師がいて、手術の情報にも手が届きやすく紹介についての話も早かったので、その点は運がよかったのでしょう。

ただ、長距離移動になるのでその手段のことや、費用の捻出、何より手術によるリスク、愛犬の心身にかかる負担、手術をしたために愛犬を亡くしてしまうかもしれない恐怖、さまざまな葛藤がありました。

だけど何もしなかったら、愛犬の命は近い将来消えてしまうかもしれませんでした。

それならば、手術に賭けてみようという結論にたどり着いて、手術を決断しました。

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おわりに

愛犬の余命が短いであろう現実を受け入れるのも、手術をするかどうかの決断も、とても難しいものでした。

手術がかえって余命を縮めるのではないかという恐怖心、手術が成功するとは限らないことに対する不安は、なかなかぬぐい切れないものでした。

手術の決断には、最悪のことまで考えての覚悟が必要です。

愛犬の命を救えたならば手術が正しい決断だったと言えますが、それは手術が終わってからしかわからないのです。

私の場合は、手術が成功したら、愛犬がまだ数年、元気に過ごせる可能性があると信じることで手術を決断しました。

後悔しないためにも、できる限りの情報を自分で集め、人に左右されるのではなく自分で考え、しっかり現実を受け止めて向き合い、覚悟を持って決断することが必要です。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

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